ＳＡＮＡ’Ｙ　ＷＡＬＡ　ＮＡＮＧ　ＷＡＫＡＳ
（終わることのないように）
　
86年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：レロイ・サルヴァドル
主演：シャーロン・コネータ
　　　 チェリー・ヒル
　　　 ディーナ・ボネヴィー
　　　 ディンド・フェルナンド
　　　 ジェー・イラガン
　　　 トントン・グチェレス
　　　 ジェフリー・サントス
　　　 オルリー・メルカド
　歌手を目指す女の子たちを主人公にするアイドル映画。人気のシャーロン・コネータにチェリー・ヒルとディーナ・ボネヴィーが共演だから、なるほど魅力的な顔合わせといえる。オルランド・Ｒ・ナドレスのストーリーによるオルランドとマウロ・ジア・サモンテの脚本はありがちな設定を適度に盛りこんだ、よくいえばツボを押さえ、悪くいえばアホらしいものだし、レロイ・サルヴァドルの演出は意欲的な手法を欠くも、はずさない姿勢を貫いていて、普通にこんなものレヴェル。
　大衆消費作品の見本じゃないか。
　アマチュアで歌っていたシャーロン、チェリー、ディーナの三人のうち、シャーロンはトントン・グチェレス演じるバンドのヴォーカルと知り合い、アレンジャーに転向したトントンが自分に代わってシャーロンにテレヴィ出演の機会を与える。そのオン・エアをみてディーナが喜び、チェリーが嫉妬をおぼえる。ジェー・イラガン演じる芸能プロモーターがチェリーをみそめ、ついにフレンズというグループで三人がデビュー。一気にアイドルとなるも、ファン・レターの数が圧倒的にシャーロンだったため、売りかたのせいだとチェリーが怒ってグループが解散に追いこまれる。ソロになってもシャーロンほどチェリーは伸びず、ジェーにからむと、愛人のチェリーにジェーが「ビジネスはビジネスだ」という。シャーロンとチェリーの対立にディーナが板ばさみからアルコールに走り、酔ってトントンを誘惑。シャーロンとトントンの恋愛をダメにする。これにディンド・フェルナンド演じるシャーロンの父が売れない音楽家で、ガンの宣告を受けて亡くなるお涙頂戴のエピソードや、アマド・コルテス演じるトントンの父が判事で、息子の音楽活動を非難する不理解のエピソードが加わる。
　いかにもパターン。
　最後はシャーロンのステージにチェリーとディーナが現われてフレンズが復活し、友情の謳歌で終わる。シャーロンとトントンの和解や、ジェーのチェリーへのプロポーズはでてくるながら、ディーナのアル中からの立ち直りをハショれば、観客席にはいつ許したのか、アマドが最前列に座っているうえ、チェリーの軟化がはっきりせず、ハッピー・エンドのご都合主義に苦笑い。
　いい加減だなあ。
　ディーナを支える親友がマニー・カスタニェーダ演じるオカマな点に、ちょっとおもしさがあったかな。
　内容が芸能ものだけにシャーロンのステージが随所にでてきて、ファンにすればサーヴィス満点といったイメージだろう。個人的にはチェリーとディーナが大好きなぶん、こういう色気を抑えたキャラクターだと不満が残る。
　大人の映画をみたいよー、てな感じ。
　なお、ジェーを訪ねてくる歌手役でシャシャ・パディーリアがゲスト出演し、直後にシャーロンが「リコチェやクー・レデスマやシャシャ・パディーリアのような…」というシーンがきて、遊んでくれる。ジェーの秘書役でマリッサ・デルガド、ラジオのＤＪ役でヘルマン・モレノ、クラブの店長役でレス・コルテスがチョロっと顔をみせている。シャーロンの弟役のジェフリー・サントスは、おそらくデビュー作。トントンの母役のローズマリー・ヒルは、中年女性の美しさをうかがわせる。