“ＳＡＮＡ’Ｙ　ＩＫＡＷ　ＮＡ　ＮＧＡ”
（あなたの気持ちが本当ですように）
　
93年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：エディー・ロドリゲス
主演：クリストファー・デ・レオン
　　　 ヴィーナ・モラレス
　　　 チェリー・ヒル
　　　 ケンペー・デ・レオン
　　　 エディー・グチェレス
　　　 リザ・ロレナ
　　　 ベンボル・ロコ
　　　 ディック・イズラエル
　　　 ヴィク・ヴァルガス
　かなり歌手としてのヴィーナ・モラレスをセールス・ポイントにした作品。
　クリストファー・デ・レオン演じる主人公が服役中で、ヴィク・ヴァルガス演じる囚人仲間から娘の自慢話を聞く。ケンカでヴィクが殺され、出所したクリストファーがヴィクの娘であるヴィーナを訪ねる。ちょうどディック・イズラエル演じる怪しげなエージェントを通し、エディー・グチェレスがオーナーを演じるクラブでヴィーナが歌手としてデビューするところ。ケンペー・デ・レオン演じるクラブのバンドのリーダーがヴィーナにときめき、偶然にもケンペーがクリストファーの弟とのストーリー。
　エディーが初対面でセクハラのごとくヴィーナの体をさわり、秘めたる欲望を表わす。エディーのライヴァル組織からヴィーナが狙われたのをクリストファーが救い、エディーが副マネージャーに起用。ベンボル・ロコ演じるマネージャーが「アシスタントはいらない」と不満をあからさまにしていて、あとの対立をにおわせる。ヴィーナがクリストファーにほれたため、ケンペーがやきもき。クリストファーはチェリー・ヒル演じるクラブのホステスとつき合う。ヴィーナが大人気となって売りあげ倍増でウハウハだったエディーだが、実は裏で「麻薬シンジケートのボスだ」とチェリーがクリストファーに教える。ライヴァル組織との抗争に巻きこまれるなどあって、ジャマなケンペーをベンボルが拉致したのをチェリーがクリストファーへ連絡。ケンペーを助けてヴィーナを連れ、クリストファーとチェリーが逃走する。レイ・ヴェントゥラ演じるクリストファーとヴィクの旧友宅へ隠れたものの、シャブ中毒のチェリーがグレース・フィゲス演じるホステス仲間に連絡したため、グレースがつけられてベンボルが襲ってくる。
　チェリーが亡くなり、つかまったヴィーナを助けにクリストファーたちが乗りこんで、レイが撃たれるなどの犠牲をはらったうえ、エディーの麻薬工場を破壊する。ヴィーナから告白をうけるも、ケンペーにヴィーナをあずけ、クリストファーが去っていく。
　白衣の作業員たちがいるジャブ工場のようすが興味深い。
　チェリーにイヤリングをあげることでヴィーナの温厚な性格を印象づけ、チェリーが楽屋でタバコをポイ捨てしている行為から、人はよいが、安っぽい女だとのイメージを与える。クリストファー、ケンペー、エディー、ベンボルがストレートな人物像でとくにどうってことなく、ディックのマンガっぽい誇張がイマイチ、と注目点はとくにうかがえない。クリストファー・ストラウス・デ・レオン、つまり主役自らのストーリーをもとにウロ・Ｑ・デラ・クルースとエディー・ロドリゲスの脚本が無難なら、エディーの演出が平凡な表現にとどまる。
　まあ、全編に何度もヴィーナの歌うシーンがはさまれ、これが大きな要素をつくっていてファンには嬉しいかもしれない。
　ただしヴィーナはステージ衣装がいずれもセクシーにほど遠く、後半のジーンズもダブダブで残念。クリストファーとビーチをバイクで二人乗りしたり、ケンペーとビーチでのデュエットが水着じゃない落胆もあって、個人的にはときめき不足といったところ。本来はチェリーを目的にみたのだが、クリストファーと車のボンネットでふれ合うときに脱がないままなうえ、レイの家が海岸沿いなので「泳ごう」とハシャいでいるのに水着がでてこないし、ジーンズ姿が下半身にフィットのタイプとは違うのが惜しい。黒いピタパンのグレースが一番色っぽいものの、容貌がブスっぽいから、いずれも満足に達しない。
　女優の魅力が薄いので、個人的には駄作に思えてくる。ヴィーナの歌をどう評価するかだろうが…
　ほかにヴィーナの母親役でリザ・ロレナが出演している。