ＳＡＮＡ　ＴＯＴＯＯ　ＮＡ
（本当なら）
　
02年：ワールド・アーツ・シネマ
監督：アルマン・レイエス
主演：グライデル・メルカド
　　　 トントン・グチェレス
　　　 ジョン・アルシーリア
　　　 ピアール・ミラソル
　　　 リタ・マグダレナ
　　　 アレン・ディゾン
　　　 ジャッキー・カスティリエホ
　　　 ベルティン・ラブラ
　　　 プレシャス・ヴァレンシア
　　　 グレース・リナオ
　　　 イヴァナ・カペス
　いっけん女性ドラマのようでいて、実は男性向けソフト・ポルノなんじゃないか。
　グライデル・メルカド演じる一般的な妻が主人公で、ＢＪ・デ・ヘスス演じる幼い息子を持ち、ジョン・アルシーリア演じるアダルト映画の俳優が夫。撮影現場を訪ねてみれば、ジョンがニコル・ノーブル演じる主演女優と不倫しているのみならず、マリオ・マガリオーナ演じる監督ともホモでショックを受ける。トントン・グチェレス演じる市長がプレイボーイでグライデルをみそめ、交際を申しこんでくる。本気でトントンがイカれ、グライデルから内助の功を得て市民の間で人気急上昇とのストーリー。いかにもフィリピン映画にありがちなドンパチを盛りこむのは、もうあきれるくらいのワン・パターン。トントンのことを好きだったピアール・ミラソル演じるトントンの義妹がグライデルを憎み、アレン・ディゾン演じる政敵に接近。アレンがグライデルを誘拐するも、アクシデントでピアールを撃ち殺すエピソードがプラスされる。
　ジョンがグライデルを殴る暴力夫なものの、いざグライデルが家をでると決意すると泣いて「行かないで」と懇願し、ずっと女々しくつきまとう情けなさが、どことなく女性社会のフィリピンっぽい。プレシャス・ヴァレンシア演じるトントンの愛人の一人で、ピアールの義姉がトントンの女グセを怒ってビンタをくらわせ、別れの啖呵にトントンが未練タラタラで応じるのも同様。ピアールに体よく利用されたあと、あっさりフラれて「捨てないで」と涙で哀願するジョセフ・バルタザール演じる画学生にいたっては、ピアールの冷たい態度に絶望で自殺。ホント、しょーもない男ばかり。
　一方でリタ・マグダレナ演じるトントンの前の愛人を取りこみ、うまく味方に引き入れるなど、グライデルの包容力が目だってくる。正直くだらない内容ながら、マイナス面でのピアールを含め、女性パワーを感じとる。
　またプレシャスがアメリカへ逃避したり、グライデルが日本で働く希望を抱いている設定からは、いわゆるフィリピン人の傾向がうかがえるよう。ミニー・アギラーがオーナーを演じるヴィデオケ・レストランへグライデルが勤め、トントンが客でくるなど、自分でもしょっちゅう現地で体験する庶民の娯楽がイキイキと伝わってくる。トントンとグライデルが市民の労働現場を視察する一連のシーンでは、養豚場、養鶏場、ケーキ工場、裁縫工場などが興味深い。トントンの選挙運動のパレードが雨の中なのは、たまたま撮影日に降ったからと推測するも、いわゆるキャンペーンの再現に風俗的な面白さがにじみでる。といった、簡単だが庶民の生活ぶりにふれているといえる。
　グライデルがジョンとニコルのセックスを目撃して唖然状態に陥ると、シーツの中からモコモコとマリオがでてきて３Ｐと判明するユーモラスさや、ベルティン・ラブラとリリア・クンタパイ演じるトントンの家の使用人同士が老人結婚するほほえましさなど、コメディーっぽい要素もさり気なく加味し、アルマン・レイエスの演出は凡庸一辺倒でないと指摘しておきたい。
　とにかく全編にセクシーさの炸裂は、ただただ嬉しい悲鳴。
　グライデルはトントンとのセックスをピアールがのぞく視線で、オッパイがみえるかのギリギリ誘惑。二度あるプールのシーンで競泳っぽい黒のワンピース水着が刺激的。濡れて貼りつき、腰のくびれやヒップラインなど、よだれものにおいしそう。誘拐監禁されると、アレンが今にもレイプするぞと匂わせながら、服をビリビリッと破られないうちに警官隊が駆けつけ、無事救出が残念かな。
　イチバン過激なのはピアールで、トントンが泡風呂に入浴している横へ現われ、スルスルッとワンピースを脱ぐと黒いＴバックのパンティー一枚。オッパイは丸みえだし、Ｔバックはギュッと食いこんでいるし、うー、スゲー。ジョンを誘惑してのセックスではスカートにトップレスでカッカ燃えさせ、堂々のオッパイをアップで正面に突きだしショットがでてきて、乳首が眼前に迫ってくるからたまらない。下半身にフィットしたピタパンや、プール・サイドにおける黄色いビキニの水着、ジョゼフとのセックス終わりでつけているベージュの紐なしブラなど、中身のみえないかっこうでもビンビンを呼び、ピアールおそるべし。トントンに抱かれる幻想や、アレンとのカー・セックスでオッパイが隠れていたり、ジョゼフへ肖像画のモデルになるときヌードじゃないのが、やや惜しいところ。
　ニコルは映画撮影でプールにつかったワンピース水着がそそり、ジョンとシャワーを浴びながらの愛撫ではオッパイがモロ。ベッドのセックスでもオッパイを完全露出し、こりゃあ、もんでみたい。
　ソフト・ポルノとして十分に合格。
　リタにオッパイ・ポロリがないのは意外だし、サーヴィス不足を痛感する。
　プレシャスのほか、グライデルの姉を演じたジャッキー・カスティリエホや、アレンの妻を演じたグレース・リナオ、グライデルにカネを借りにくる女性役のイヴァン・カペスなど、普段から脱がない女優ながら、やはり肌のチラリズムがほしかった。

※　２００４年、グライデルとトントンが結婚。この作品で二人は主題歌をデュエットしていて、実際に愛し合っていたから息がピッタリなんだ、と妙に納得した。

※　ニコル・ノーブルは、現在、ジネット・ホアキンと改名してスターの座についている。