ＳＡＮＡ　ＫＡＨＩＴ　ＭＩＮＳＡＮ
（たった一度の機会があれば）
　
92年：セイコ・フィルムズ
監督：アボ・Ｑ・デラ・クルース
主演：クリスティナ・ゴンザレス
　　　 リナ・レイレス
　　　 ガルド・ヴェルソザ
　　　 レイ・ＰＪ・アベリアーナ
　クリスティナ・ゴンザレスのチャーミングなヌード写真に魅了されて、初期の主演作品を掘りだしてみた。
　冒頭にガルゾ・ヴェルソザ演じる中年相手のジゴロの紹介があり、ブヨブヨしたオバサンに抱かれる様子に、こんな仕事はいくらカネがよくてもイヤだなあと感じるも、一回のセックスで２万５千ペソももらっているから、当時の価値からするとフィリピンでは中流下の一般人の年収ぐらいあり、じゃあ目をつぶってやるかとも思うのだが、熱く抱きしめ、さも愛情があるかように相手を喜ばせるプロのワザに、自分には無理かと判断する。
　まあ、そんなことはどうでもよく、ガルドがアイドルだった頃の西城秀樹のような長髪で、ちょっと笑えるものの、ジムで身体を鍛えていて、どんな職業でも努力しないと成功はありえない、という人物になっている点がよろしい。
　主人公のクリスティナ演じるのは田舎からでてきた娘で、さっそく置き引きにあって、都会の洗礼を受ける。リナ・レイエス演じる従姉妹を訪ね、リナがホステスをしていてびっくり。しかもアパートにはアイアイ・デラス・アラスとイヴリン・ヴァルガス演じる仲間がいて、リナはそこそこかわいいものの、アイアイなどうるさいブスだし、イヴリンはオバサンで、みているこっちもびっくり。イヴリンが水着のブラで現れるシーンがあって、やめてくれー！　アイアイのアクの強い演技はうまいが…
　とそんなことはまたさておき、リナの友人だったガルドと知り合い、デパートで万引きと間違えられたのを救ってもらって、ガルドの家へ。そこで偶然、ガルドがパンツも脱がされて顧客の中年女に抱かれるのを目撃し、大ショック。それでも次々と仕事をみつけては失敗の連続で、クリスティナはガルドを頼ることにする。
　エアロビから始まって、いい娼婦への修行となり、あえぎ声の特訓シーンがやってくれる。なぜか池につかって濡れながらで、下着姿のクリスティナは乳房の大きさも、乳首の形も、お尻の割れかたも、すべてスケてくっきりと浮かびあがらせている。カメラはボディーをなめるように撮り、個人的には全裸よりもそそられるから、もーう、たまりません。クリスティナ大好き。
　最初の顧客に対しては黒いビキニの下着になったときに、やっぱりダメと逃げてしまう。ガルドに処女を奪われ、いよいよ高級娼婦に変身。ボディコンで町を歩くところなどは『プリティ・ウーマン』の影響を受けたかなと勘ぐりたい印象。
　レイ・ヴェントゥラ演じる顧客の夫と、デクスター・ドリア演じる顧客の妻がはち合わせたときに、とっさの機転でごまかしてあげるクリスティナとガルドが面白いものの、このあたりで同じようなシテュエーションのシーンがあった『ＨＡＷＡＫＡＮ　ＭＯ　ＡＫＯ』のことが思い浮かんでくる。
　さらに前の彼女のことが忘れられなくて自閉症になったレイ・ＰＪ・アベリアーナ演じる富豪の息子を男にしてやってくれとトニー・マベサ演じる父親から依頼される展開となって、そうか、順番が逆になったが『ＨＡＷＡＫＡＮ　ＭＯ　ＡＫＯ』はこの作品のリメークだったんだなと気がつく。同じセイコ・フィルムズの製作だから、さもありなん。
　レイの誘惑にあの手この手のクリスティナだが、黒のパンティーでお尻をクネクネ動かすポーズでついに勃起させることに成功。そりゃ、みているこちらもチンポに手をやってしまうから、納得の共感。
　ついに恋人となったレイと一緒に海へ行き、なんとクリスティナの水着は乳房にほんの少し布が当てられているだけの極小ビキニではないか。しかもタプタプと乳房がゆれるうえ、下は陰毛がはみでてもおかしくないウルトラ・ハイレグで、もうカッカ燃えて、鼻血がでそう。
　そこへリナとガルドが現われ、リナも海へ入り、ほとんどＴバックに近いクリスティナに比べれば、さすがにリナの水着は肌をおおっている部分が多いものの、濡れてくっきりとヒップラインが浮かびあがる姿がキュートで、リナにも悩殺される。テラスで水着が変わって、スケスケのパレオを巻いた黒いハイレグ・ビキニのクリスティナがまた素敵。
　ガルドがレイに嫉妬して本気でクリスティナのことを好きになったと示したあと、クリスティナとレイの婚約発表となり、その席上で招待客の一人からクリスティナが娼婦だと指摘され、ついにガルドが自分もオバサン相手の男娼で、ここにも自分の顧客がいることをバラしてしまう。これでもう仕事はオジャンだから、さらばカネのある生活よなのだが、その気持ちをくみとったクリスティナが愛を受け入れる。そして男にしてくれたことを感謝しているレイから五百万ペソという大金をもらい、うち百万をリナに分けてあげて、セブでレストランを開いているエピローグまで、よく考えてみるといいヤツらの物語で、決してダメな印象ではない。
　確かにあとにつくった『ＨＡＷＡＫＡＮ　ＭＯ　ＡＫＯ』のほうが細かい部分で練ってあって、こちらは荒削りかなとも感じるが、クリスティナの魅力を加味すれば、かなり楽しませてもらった。
　まずまずと評価できる作品です。
　なお関係のない話だが、かつて“ＳＥＩＫＯ”というブランドの財布をデパートの“ＩＳＥＴＡＮＮ”で初めてみつけたときに嬉しくなったものだが、エンド・タイトルの協力クレジットを読むと、どうやらセイコの財布はセイコ・フィルムズと系列会社であるようだ。