ＳＡＧＯＴ　ＫＯ　ＡＮＧ　ＢＵＨＡＹ　ＭＯ
（あなたの命は私が守る）
　
00年：リーガル・エンターテインメント
監督：ウィリアム・Ｇ・マヨ
主演：ジェリク・ラヴァル
　　　 クラウジャ・コロネル
　　　 レーモンド・キアヌー
　　　 ブランド・レガスピ
　　　 レヴィー・イグナシオ
　　　 マイク・ガヨソ
　　　 リンゼー・ アン・ケネディー
　　　 テリー・ババサ
　　　 バルド・マーロ
　窓辺でハーモニカを吹く男。アンニュイなムード・アクションの始まりを予感させる。
　暗殺者がライフルをかまえてターゲットを狙う。プロの殺し屋による狙撃の出だしは、かつてフランク・シャノンの『殺しのテクニック』で迫力たっぷりに描かれたものだが、さすがにそのレヴェルに達するには、まだ数段の差があったようだ。プール・サイドでターゲットになる将軍にキスしようと恋人らしい女性が濡れた水着にヒップラインを浮かびあがらせるのは嬉しいのだが、手に汗握るような緊迫感が生まれてこない。やっぱりハズレ作品かなあ、と今度は不安がよぎる。
　結論からいうとウィリアム・Ｇ・マヨの演出もうまくないが、グレン・マルセロの脚本がイマイチで、ちょっとトンチンカンなストーリーのアクション映画に終わっている。
　主人公はジェリク・ラヴァル演じる殺し屋だが、彼が同じアパートに住んでいたリンゼー・アン・ケネディー演じる少女をしょうがなく助けたことから事件に巻きこまれていく。少女の両親は裏金の洗浄に関係していたのだが、クマのぬいぐるみに札束と宝石を隠して、これを何も知らない少女が持ちだしてしまう。まあ、ありがちなシチュエーションである。
　ではどこがトンチンカンかというと、ジェリクの依頼主はレーモンド・キアヌー演じるシンジケートのボスなのだが、このレーモンドが少女を探すようにと部下たちに命じる。一方でブランド・レガスピがボスを演じるもう一つのシンジケートがあって、ジェリクは中華料理店で回転テーブルに乗ってまわし撃ちをして、ブランドの取り引き相手を始末する。とまあ、そのへんはよいのだが、ブランドにはクラウジャ・コロネル演じる愛人がいて、クラウジャはジェリクにホレているから、ブランドがジェリクのところへきて女性問題で殴り合ったりする。これって人間関係の設定がヘンすぎないか。
　結局はまずジェリクがブランドをやっつけ、なりゆきから本気で少女を守ることになって、最終的にレーモンドも倒すのだから、お決まりパターンだなあとあきれるのみ。クラウジャともマジで愛し合うようになり、警察のお縄をちょうだいしたジェリクは服役のあと、両親を殺された少女も引きとってメデタシ、メデタシ。けっこう重罪を犯しているように思うのだが、意外と早く出所できるのには疑問を抱く。クラウジャのヘソと、ノグ・ノグ演じる友人のバーテンの入れ歯に、実は二個ダイヤモンドを隠していたというオチも、それほどシャレているとは思えない。
　しょせん、Ｃ級アクション映画ね、という感じだろうか。
　小道具としてのハーモニカはそれほど生かされていないし、途中でラップを挿入したりするが、ムードづくりもあまり成功していないと感じる。撃たれたジェリクが町医者に救われるあたりのエピソードはジーンとくるものを狙ったのだろうが、ジョゼ・ジョヴァンニの『ル・ジタン』あたりを参考にしたと想像するも、平均点ほどの表現力。
　また、もっとも不満を抱くのは、一番のお目当てだったクラウジャの魅力が不発に終わっていることで、最初に酔って登場するあたりのコメディー演技はよいのだが、ブランドとのセックスの終わりを匂わすシーンでは上半身裸のうしろ姿を写すだけで露出不足。ジェリクの部屋で待っているシーンではスケスケ衣装にドキッとさせてくれるものの、横からほんの少しとらえただけで、かえって欲求不満になりそう。ジェリクとのセックス終わりのカットでさえ、ベッドに半裸で横たわっている背中を写すだけで、あの豊満は乳房はついにみせずしまい。海岸でのビキニははちきれんばかりのボディーが圧倒的に迫ってきてさすがだが、ここでももっときわどい水着だと鼻血ものなのになあ、と満足できないイライラが残る。レーモンドのアジトに連行されて追求を受けるシーンもあるのだが、ヘソだしのセクシーな衣装を着ているものの、ガバッと脱がされてオッパイがポロンくらいのサーヴィスがほしかった。とホント楽しみにしていたクラウジャのヌードもないのだから、期待はずれ度80％。ビキニのシーンがあっただけ、20％ほど大目にみておこうという感じである。
　中途半端だなあ。
　余談ながら、ノグ・ノグが経営するバーの店内にアラ・ミナのポスターが貼ってあるのには、つい目を奪われてしまった。