ＳＡＢＡＤＯ　ＮＩＧＨＴＳ
（土曜の夜）
　
95年：ＮＥＯフィルムズ
監督：ロミー・Ｖ・スサラ
主演：イナ・レームンド
　　　 ミシェル・パートン
　　　 ピア・ピラピル
　　　 ランデル・ヴェラ・ペレス
　　　 アントニー・コルテス
　　　 マット・メンドーサ
　　　 シンタロ・ヴァルデス
　　　 パオロ・アブレラ
　　　 ジェシカ・ロドリゲス
　「九十年代に出現した新しいタイプのフィリピン女性を描く」と冒頭にクレジットが入るが、ようはセックス好きの三人娘を題材にとるだけのこと。
　イナ・レームンド、ミシェル・パートン、ピア・ピラピルがルーム・メイトの仲よしを演じる。ブティックにつとめるイナはランデル・デラ・ペレス演じる恋人がいるが、マチュー・メンドーサ演じる男と二股をかけている。しかもパオロ・アブレラ演じる隣人にも手をだし、パオロと一夜をすごした翌朝、ランデルとマチューが現われてはち合わせのケンカを招く。映画の裏方のミシェルは、エディー・メルカド演じる監督のすすめで女優に転じるが、あまりパッとしない。撮影現場でアントニー・コルテス演じるタクシー運転手と知り合い、アントニーから強引に体を奪われて交際を決める。コマーシャル・カメラマンのピアはシンタロ・ヴァルデス演じるモデルと親しくなり、シンタロが口説き口調。でも本業はパイロットで、香港へ仕事にいくピアと空港で出会った際、同僚のスチュワーデス二人に「彼女はただ友だちだ」と説明しているのを聞く。香港でタイ人の男性にアタックをうけ、一夜の情事を楽しむ。やがて三人はエイズの恐怖にさいなまれるようになり、病院へ検査にいく。
　興味をそそる風俗がいくつか登場し、土曜の夜になると三人がディスコで遊ぶのが、確かに現代ふうか。ディスコにはメンゲー・コバルビアス演じる中年の政治家が愛人をはべらせてうろつき、別のレディーにちょっかいをだして女たちがもめる。メンゲーを「伯父だ」とガール・フレンドにいっていたボビー・アンドルーズ演じる男がイナをナンパし、たくみに逃げられて悔しがる。メリッサ・ブエンカミノとメイベル・クルース演じる女優二人を従え、両手に花のエディーがミシェルに声をかける。ジョシカ・ロドリゲス演じるピアのレズ相手だったらしい女性もきている。ディスコ以外では、パオロの指導でイナが壁面のロック・クライミングをするのが、やはり現代の趣味。
　さすがに男装で三人がディスコ・パブへでかけ、ホステスとイチャつくランデルをみかけ、イナが騒ぐのにはバカバカしさがこみあげる。ホステスが「オカマ」と怒鳴り、ムカついて暴れようとするノータリンぶり。マッチョ・ダンサーのバーで客のシンタロをみかけ、ピアがホモだったのかとうなずくあたりは、男色天国（？）のマニラらしいかもしれない。
　デクスター・ドリア演じるピアの母が亡くなるエピソードは彩り要素にすぎず、エイズ病棟の患者を見学するのは妙にリアル。映画がエイズへの警告を目的にしているせいとも考えられる。台所で力ずくからアントニーとミシェルのセックスが始まり、流し台の食器やキッチン用品をガチャンと次々に下へ落とすのは、よくアメリカ映画で同様のシーンをみかけたとき、あと片づけが大変だろうなあと想像したもの。当然、軽薄なアメリカ映画では片づけの様子など無視なのだが、ちゃんとミシェルがほうきで掃除しているのが納得を呼ぶ。いくつかよいポイントを含むとはいえ、結局は三人ともエイズの陰性で、ピアだけが妊娠の陽性。タイ人とのセックスでピアはコンドームを「いらない」と投げ捨てていて、それでエイズの恐怖にさいなまれるのだから、タイに失礼じゃないのと思ったり…　イナがランデルをふってマチューにしぼるも、反対にマチューに捨てられる。本気でイナが好きだったランデルが落ちこむのをピアがなぐさめ、妊娠を承知でピアと結ばれる。お坊ちゃんの事実をナイショにしていたアントニーもミシェルとゴール・イン。Ｗウェディングのハッピー・エンドに、イナだけさみしさがこみあげてきて、ちゃんとエピローグに大甘のラストが待っている。日本のさしてできのよくない半端な青春ものと変わらない内容との評価に落ち着き、ロミー・Ｖ・スザラだけにとは失礼ながら、こんなもんでしょ。
　タイトル・バックのエクササイズからレオタードのボディーで誘惑的に迫り、期待が高まった三人の魅力はどうかだが…　帰宅の着がえでピアがブラまででスカートをおろさず、アレッと思っていると、イナはブラとパンティーのみごとな下着姿を披露してくれる。バストや腕に斑点がでたと泣くときのブラとパンティーはさらに大胆なタイプで、駆けつけたスリップ姿のミシェルとピアを圧倒する。マチューとのセックスはバックの座位と普通の座位でオッパイとお尻をもまれ、ガウンの上からなのがイマイチながら、マチューと海岸をたわむれるスケスケのシャツをはおったビキニ水着が濃厚に色っぽい。パオロとテキーラを一気飲み合戦のうえにボディーへたらし、塩をふってなめ合うのがエッチなら、シャワーで全裸になって愛撫を繰り広げる。ただしオッパイがみえず、かなりの不満を残す。ミシェルはアントニーにズルズルっと脱がされて黒い下着姿が、なかなかのナイスなプロポーション。でもハダカにむかれたあとの露出が控えめすぎる。ピアはタイ人とのセックスでシャツをまくりあげられ、乳首がのぞく寸前のハミチチにオットットットと視線を奪われる。バックの騎乗位でのピストン運動がワンピースを着たままなのは、せっかくの興奮をしらけに変えて残念。エイズの妄想でもだえるベッドでの下着姿には、きっと濡れればスケスケに違いない素材の下着でビーチを走る幻覚が加わり、海の中へ入っていったのに貼りつきショットを欠くサーヴィスの悪さにムカムカがこみあげてくる。イナのもとからマチューがでていくときのイナのワンピース下着や、アントニーと海岸を歩くミシェルのワンピース水着はデザインがセクシーじゃなく、エンド・クレジットのバックにうつる三人のビキニ水着が一番の見せ場といえそう。イナのハイレグの股間が挑発的だし、ミシェルの光沢素材が生つばものだし、巨乳のピアの胸がゆさゆさと揺れる。それぞれ二タイプめもでてきて、浅瀬で濡れたピアの赤いビキニに鼻息が荒くなる。イナの肩に刺青があるのがわかって萎えるラストのイメージが個人的には落胆だけに、終わってみればそれほどグッとこなかったのが正直なところ。
　あとピアの撮影風景が、それぞれ六名ずつの水着モデルを被写体に二回あり、お尻のドアップを含む一回目がけっこうイケる。ミシェルが衣装担当をする映画の撮影現場で着がえる女優がオッパイを全開にしてくれる。三人が男装でいくバーのステージで踊るダンサーのビキニのハイレグがドキッとするくらい鋭角。こんなどうでもいい脇の女性に注目だから、いかに主役三人のあつかいがヘタかを、おして知るべし。
　スケベになりきれない弱さだ。