ＳＡＡＮ　ＫＡ　ＭＡＮ　ＮＡＲＯＲＯＯＮ
（そこにいるにもかかわらず、あなたはどこなの）
　
(93)年：レイナ・フィルムズ
監督：カルロス・シギオン・レイナ
主演：リチャード・ゴメス
　　　 ドーン・スレータ
　　　 シャーメイン・アルナイス
　　　 チャリト・ソリス
　　　 リチャード・クアン
　状況のゆがみがつくりだす三角関係の愛憎劇。
　リチャード・ゴメス演じるミゲルが、田舎町に窯業を営んでチャリト・ソリス演じる口うるさい母のエレナと住んでいる。ミゲルはドーン・スレータ演じるバー・ガールのアマンダが好きで、母の反対を「ホステスじゃない」と押しきって結婚する。イーマン・エストゥルコ演じるヴィクが金鉱を掘る話をもってきて、一獲千金にあまり乗る気といえないアーチー・アダモス演じるダニーと三人で目的のスリガオへでかける。そこで地元の強盗の襲撃をうけ、ヴィクが死亡。重傷をおったダニーが「ミゲルは撃たれて命を落とした」と教える。実はシャーマイン・アルナイス演じる現地の女性のシタに救われ、ミゲルはシタの看病で無事に回復している。イマイチ記憶に鮮明さを欠くミゲルはシタと愛し合い、一緒に砂金を探す。エレナとアマンダはミゲルの葬儀をすませるが、どうしても生きていると感じ、ひとりアマンダがスリガオへ捜索に向かう。そしてついにミゲルの子を妊娠したシタをみつける。自暴自棄のアマンダはまたクラブ勤めを始め、かねてから自分を口説いていたリチャード・クアン演じる客の男のルベロと遊びふける。エレナが非難すると「不道徳なのはあなたの息子のほうだ」といい放つ。完全にアマンダの記憶が蘇ったミゲルは、いったんアマンダのもとへ帰ってくる。戦争という背景をおかないものの、どこか『ひまわり』を連想させるストーリー。アマンダがわざとクラブでルベロとイチャついてみせるうえ、復縁を拒否したので、ミゲルがシタのもとへ戻る。でも割りきれない思いの中、シタが結婚指輪やポケットにあったアマンダの写真をこっそり隠していた事実を知って怒り、別れの衝動にかられたとき、すがりつくシタがお産になる。あわててミゲルが赤ん坊をとりだし、誕生を喜んだのもつかの間、シタがしょうすいで永遠の眠りにつく。ミゲルが赤ん坊を連れてアマンダのところへ現われる後半は、まったく『ひまわり』と異なる筋だて。
　ミゲルとエレナの陶器づくりや、山間の川における砂金採りのようす、ミゲルを求めてアマンダが歩く砂丘のような土地の風景などが興味を盛りあげる。「そんなにカネが必要なら、私がまたクラブで働くから」でミゲルがムッとするアマンダのカラオケを主体にした水商売の内容も同様。ミゲルとシタが警察へ問い合わせにきて、目の前で容疑者への発砲に驚くあたりは、金採掘という怪しい連中の多いエリアを表わす。なかなかうまい構成なのだが、シタの出産でふんばりといったリアルさが乏しく、結局はシタの死で三角関係に決着をつける安易さがマイナス。せっかく三者の悲しみをジーンと伝えたのに、あと一歩の評価にとどまる。
　もっともカルロス・シギオン・レイナのこだわりは、白い純潔のイメージにあるといえる。ビーチでウェディング・ドレスを着て戯れるとき、アマンダは白くスケたヴェールに真っ白の衣装で、白い花の冠をつけている。部屋で下着になってミゲルとの追っかけ合うシーンへと続き、白いシーツで胸をおさえ、白いパンティー一枚のセミ・ヌードを披露する。シタが干した白い布をみてミゲルがヴェールに包まれたアマンダの顔をぼんやりと脳裏に浮かべ、シタの家へたどり着いたアマンダがミゲルと再会で、アマンダが白いレースのカーテン越しにいるのをミゲルがみるや、はっきりヴェールの花嫁のアマンダを思いだす。あとでミゲルとの生活をあきらめ、売春したアマンダのところへミゲルがきて、アマンダが「私と寝たいの」と皮肉をいうシーンはタバコを吸うことでスレた性格を示し、ローブを脱いだ下着が黒いブラと赤いパンティーに変わる。葛藤のすえに愛が復活でミゲルと赤ん坊を育てる決心をしたアマンダが白い服に返っていて、なんという白への美意識と驚きがわき起こる。
　まさにフィリピン人が秘める白へのあこがれがにじむよう。白の社会学、とでも呼びたい印象で、個人的にけっこう関心をそそる。
　まあ、本当に気に入ったのは、ドーンとシャーメインという、さながら天女のごとき美女の共演に尽きる。ともに容貌をながめているだけでうっとりなのだが、シャーメインに肌をさらすシチュエーションがないのは残念なものの、先に述べたようにドーンのセミ・ヌードが興奮のるつぼへと招いてくれる。「ここでハダカになろうか。なってほしい」なんてビーチでミゲルを挑発のうえにドレスのジッパーをさげてブラをみせ、家の二階で騒いでエレナが「昼間から近所のスキャンダルになる」と窓を閉める愛撫のパンティー一枚に、理想的なヒップのラインがうかがえて悩殺パンチにノック・アウトされる。ブラをつけた小さめのバストもキュートで１００％好み。あとの赤いパンティーはお尻へ貼りつきタイプじゃないのが惜しいが、黒いブラの胸元がおいしそうすぎて、チンポへの刺激を抑えきれない。
　ドーン、愛してます。最高、最高、最高。
　シャーメインも愛してます。
　なおアルミダ・シギオン・レイナが制作で主演はせず、脚本のラクエル・ヴィリアヴィセンシオが看護婦役で顔をみせている。