（第四列 復学したヤツら）
93年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ベン・フェレオ
主演：アンドルー・Ｅ
デニス・パディーリア
シェリル・クルース
アンジャネット・アバヤリ
レオ・マルティネス
ラモン・クリストファー
ドンナ・クルース
チュッキー・ドライファス
ジゼル・サンチェス
ベン・フェレオとアンドルー・Ｅによるナンセンス映画は、アンドルーにもう一人コメディアンを組ませるパターンが多いが、ここではデニス・パディーリアが一緒になってバカっぽさを繰り広げている。こういうくだらない作品が大好きなので、とにかく楽しめる。
アンドルーとデニスが演じる凸凹二人組は、セメント工場でドジをしてクビになり、マニラへ向かう途中のバスで強盗に会ってパンツ一丁にむかれ、警察の制服をはいしゃくしたから暴れる男の取り押さえを強制され、その男から仕事をもらうも、ナイフ投げ芸の的役だったといった具合に、冒頭からたたみかけるようにギャグをぶつけてくる。笑えるかどうかは別にして、やる気のエネルギーがすごいというイメージ。芸人の衣装室から旧日本兵の軍服を持ちだすと、すれ違った観光客から「おはよ、ございます」「あぶない」「ちょと、まて」なんて声が聞こえてくる。自分たちが予期せぬ遺産の相続人と知って、指定のある弁護士の事務所へ行くや、事務所ではミスター鈴木いう日本人が何やら怒り狂っている。ノノン・タルヴォが演じているから、どうみてもフィリピン人なのだが… その直後に歩兵の格好の二人が現れたので、ジョン・アチャヴァル演じる弁護士が「撃たないでくれー」なんてギャグは、戦争まで笑いと飛ばす余裕といった感じだろうか…
二人には一千万ペソの遺産が転がってきたものの、それを受ける資格があることを証明するため、カレッジを卒業しなければならないとの条件がついている。落第したら遺産はカレッジに寄付されるのに、レオ・マルティネス演じる強欲な学校のオーナーが二人の入学を引き受けて、やっと本題のストーリーが始まる。
授業ではアンジャネット・アバヤリ演じる美人教師のほか、クラスにはシェリル・クルース演じる有名ファッション・モデルが学生の一人だから、ロマンスの花が咲くことはいうまでもない。デニスはＡＪにほれ、アンドルーはシェリルに夢中になる。ほかにドンナ・クルース、アウドラ・ヴァレロ演じる女学生がいて、アウドラはちょっとそそる容貌。ジゼル・サンチェスはいつものように笑いをとるポジションで、わざとキュートな魅力を隠し、丸ぶちメガネをかけたダサいキャラとしてからんでくる。
二人を落第させるため、レオは三人の息子をクラスへ送りこむのだが、ラモン・クリストファー、ロベルト・オルテガ、ジョン・フェルナンデスが演じているから、いかにもカレッジの雰囲気に不似合いなモサなのがおかしい。三兄弟はシェリルを口説こうとして屋外バーベキュー・パーティーのときに近づくも、誤ってアンドルーがウィンナーを焼いていた串を三人のお尻に刺してしまうギャグなど、アホらしいけど笑いが起きる。
あの手この手のレオは二人のドジを学生裁判に告発すると、シェリルの弁護で無罪になるといったエピソードが盛りこまれ、まずまずのドタバタぶり。ちなみに裁判長になる女性の大学評議員役のムチャ・クリソストモはけっこう好みのタイプで、入学手続きのときや、あとの卒業式のシーンにも顔をみせているが、色っぽくからむ設定がほしかったところ。
もちろんセクシーな要素は、ちゃんと忘れずにプラスされているから嬉しい。シェリルの豪邸に入ったアンドルーはファッションの七変化を目撃するのだが、最初のブラと黄色いパンタロンのシェリルがあまりにも挑発的でドキドキもの。続く赤や黒の衣装も視線を奪うが、ヴァイオレットの短パンに「いい女だなあ」とうっとり。ＡＪはといえば、アンドルーが三兄弟に殴られたのを手当てするときに、胸元の切れたシャツからのぞく谷間がおいしそう。いやー、もみがいのありそうなオッパイだ。すぐにアンドルーが夢をみるエピソードになって、待ってました、水着シーンへとつながってくる。アウドラの大胆な柄ビキニからで、オッと、なかなかのナイス・ボディー。ジゼルの大きめのピンク・ビキニもけっこうみせてくれる。シェリルがワンピースで現れると、ほぼ完璧なプロポーションに加えて、切れこんだハイレグに気がついてみればビンビン状態。ＡＪはスラッと伸びたおみ脚からカメラが引くと、お尻がアップになるというウハウハなショットから登場。トロピカル模様のビキニでビーチに横たわる。しかも走る姿を正面からとらえたときには、バストがプラプラ揺れる光景にカッカ燃えるだけでなく、ハイレグの股間からくるムンムンのフェロモンに降参。
さすがＡＪ。
この水着シーンだけで、みた価値があったという気分。
ただアンドルー一人の夢の中というシチュエーションなのは、構成的にどんなものか。レオもＡＪを狙っていて、デニスとダンス・パーティに誘いをかけるのを争うシーンがある際、デニスの存在がやや後退している。コンビのバランスがうまくいっていないような印象をうける。
ダンス・パーティーでシェリルが踊るところをたっぷりみせたり、アンドルーの歌を挿入してファン・サーヴィスのあと、卒業試験のシーンになって再びギャグの応酬が繰り広げられる。ジゼルがスカートをめくるとズロースにカンニング・ペーパーを貼っていたり、いかにズルするかが何パターンもでてきて『ザ・カンニング〔ＩＱ＝０〕』というフランス映画を連想させる。
まあ、とりあえず評価できるのはここまでで、あとは蛇足といってよいかもしれない。三兄弟を除いて全員が合格したからレオが三人組の殺し屋を雇う展開に変わり、これを学生たちが一致団結してコテンパンにやっつける部分は次第点なのだが、さらに三兄弟が参戦してきて同じ内容のくり返し。いくらボコボコにするギャグを満載にしようとの意図とはいえ、いささかくどい。ぶらさがったシェリルにアンドルーと三兄弟がしがみついて、シェリルのスカートが脱げそうになるあたりはドキドキだし、シェリルまで落下するオチはなかなかのパワーなのに、いかんせん長すぎて退屈。このクライマックスを編集で刈りこめなかった甘さが減点になっている。
それでもシェリルとＡＪの魅力炸裂がカヴァーして、そこそこ満足できる作品ではあるわけだ。
