ＲＯＳＡＲＩＯ，１８
　
01年：タウルス・フィルムズ
監督：ジェット・Ｃ・エスピリツ
主演：アリオーナ・アモール
　　　 モン・コンフィアド
　　 　ヴェヌス・ヴァルガ
　　 　ジェフリー・ゴンザレス
　　　 エルウィン・モンテス
　　　 エリック・ロドリゲス
　　　 アルド・アルヴァレス
　　　 ライラ・ロレナ
　　　 レオン・ミゲル
　転落ものを基本に、ヒーロー交代劇をやりたかったようだ。
　アリオーナ・アモール演じるヒロインはかわいいから周囲の男たちに人気者なのだが、まずモン・コンフィアドとアルド・アルヴァレス演じる不良が争ってケンカ。モンが警察に連行される。先にアルドがナイフをだしているから、こっちだってどうしようもないヤツだと明らかなのに、アリオーナが市場で肉の商売をしているフレッド・エスプラナとライラ・ロレナ演じる両親に紹介するのは、人をみる目がない。ダンテ・リムとロサリンダ・ルエダ演じる親同士が対立するなど、モンの家庭環境の悪さが紹介されるも、とにかく釈放になって、またもモンがアリオーナに接近。今度はエルウィン・モンテス演じるアルドの兄貴分が拳銃で追い払う。そんな飛び道具を使うヤツなんかワルに決まっているといいたくなるも、アリオーナの家の前にストーカーのように張りついて、ついでにカツアゲまでしているモンから守ってやるから、信頼を得る。モンは盗品をわたしてヴェヌス・ヴァルガ演じる娼婦とセックスしているのだが、カツアゲ現場で逮捕され、こんなヤツは収監しなきゃダメだと感じさせるのに、みたび放免されるから困ったもの。ついにアリオーナをレイプする展開になる。
　ちょうど屠殺場へ両親が仕入れに行っていたときの出来事で、処女を奪われるアリオーナとブタをさばく両親のようすがカット・バックされて、ナイフでブタの表面を研ぐ光景など、すごく興味深い。
　激怒した父がモンを殺しに行くも、モンはつかまり、やっと刑務所送りに。
　ここからが転落ストーリーの始まりで、明るさを失ったアリオーナをみて父が飲んだくれるばかりか、交通事故で亡くなり、母は下半身不随に。援助を申しでたエルウィンの家に住むようになると、エルウィンは売春宿を経営するエリック・ロドリゲス演じる仲間にアリオーナを売ってしまう。絶望したアリオーナだが、ほかに生きる道がなく、エリックや、顧客になったその叔父などに抱かれる。
　一方、服役中のモンは、普通なら囚人同士のいさかいから余計にワルになったり、表面だけ取りつくろって刑期を短くしようとするものだが、いっけんそう思わせる展開になっていながらも、マジで改心していく。それで出所してアリオーナの居どころを探しまくり、アルドをしめあげて、売春宿の飾り窓にいる姿を発見。ショックを受けるも、なんとか謝罪しようと思って買い、顧客がモンとわかってアリオーナが騒いだから、駆けつけたエルウィンやエリックからボコボコにされる。このときアリオーナも蹴りを入れていて、怒りを表現しているあたりがすごい。
　モンは前半のいかにもワルっぽい目につきに比べ、後半は顔に柔和さがあり、実にうまい役者だなあと感心。
　アリオーナのことからもめたため、エリックが叔父を殺す現場をアリオーナが目撃してしまい、モンが逃亡を助ける運びになって、ついにアリオーナはモンを許す。助けだしたあとに去って行こうとするモンをみてアリオーナが呼びとめるのだが、通俗メロ・ドラマとしては、まあまあの見せ場だろう。
　最後はエリックやエルウィンの一味とモンが対決して終わりだから、どうってことない内容なものの、基本的にワルしかいなかったアリオーナの周囲からヒーローが転身してくる構成には、そこそこジェット・Ｃ・エスピリツ監督の狙いが成功しているように感じる。
　あらためてホメるほどじゃないかもしれないが…。
　もっとも、けっこうアリオーナの魅力が全開なのは嬉しい要素。犯されるシーンでは、全裸でうずくまっているポーズがオッパイの露出なしで、やや不満。エルウィンとのセックスでは、脱がされて肌色のブラをしているのが色っぽいが、刑務所でアリオーナの刺青を彫るモンのようすに重ねた、わざとピンボケにした描写なのがさらに不満。エリックとのセックスでは座位でオッパイを隠しているし、叔父とはまたも肌色のブラまでで、さすがにオイオイオイと不満の連続なのだが、飾り窓にいるときのオッパイに番号札のワッペンを貼ったパンティー一枚の姿が挑発的なうえ、モンが客だと知らずにベッドで横たわっている全裸や、モンとわかって逃げようとするときのお尻丸みえのポーズなど、ビンビンものの興奮で、とりあえず納得。打ちとけたモンと湖畔で愛し合うところのワンピース水着が、ボディー・ラインを強調していないダサいタイプなのは、再び不満タラタラだが。
　ヴェヌスはモンとの二回ある売春セックスで、オッパイをポロリとさせるのが嬉しい。先輩売春婦役だから、やはり乳房にワッペンでパンティー一枚というポーズがあって、ウハウハのサーヴィス。ただ打算的な女のように登場しながらも、実はやさしい面があるように描いているだけに、エリックらに殺されてしまう設定なのは、悲劇で盛りあげようとしたのかもしれないが、感心しない構成だった。