ＲＯＯＭ　ＳＥＲＶＩＣＥ
　
04年：ＡＴＢ−４フィルムズ
監督：ホヴェン・タン
主演：ナディーン・シュミット
　　　 イネス・ヴェネラション
　　　 チャンダ・ロメロ
　　　 マリア・イザベル・ロペス
　　　 ラッセル・シモン
　　　 パオロ・リヴェロ
　　　 ローレン・ノヴェロ
　ホヴェン・Ｍ・タンとナディーン・シュミットのコンビがホテルＳＯＧＯとのタイアップで撮ったソフト・ポルノ。イネス・ヴェネラションの共演で魅力をプラスし、はたして『ＳＩＮＦＵＬ　ＮＩＧＨＴＳ』のレヴェルに達したかだが…
　ナディーン演じるのは女学生で、ラッセル・シモン演じる同級生との交際を非難されてスーザン・コルプス演じる伯母の家を飛びだす。ラッセルはマリア・イザベル・ロペス演じるカネもちの有閑マダムのツバメだったものの、ナディーンと暮らすためにこれ以上の関係を断わる。チャンダ・ロメロが大家を演じる貧民街のボロ家に部屋を借りると、当然のなりゆきで生活費に困り始める。ローレン・ノヴェロ演じる友人の紹介でラッセルはホモ男やブスのおばさん相手の男娼を始め、それでもカネを貯めたいがため、ときどきマリアと再会。ナディーンはスーザンにわびを入れて援助を頼むが、やはりまだカネが足りない。チャンダのアパートにはイネス演じる娼婦が住んでいて、パオロ・リヴェロ演じる近所の不良に気がある。パオロがナディーンに目をつけ、まともに迫っても無視されたので、イネスに頼んでナディーンを酔わせ、眠っている間にいたずらをする。それならとナディーンがパオロに体を売ると、ラッセルがその事実を知る。自分たちの行為に後悔がわき起こった恋人たち二人がカネの呪縛から解き放たれ、一からやり直すべく田舎へ向かうとの内容。
　勝手にトロッコを走らせる線路沿いにある半スラムにドブ川が流れ、ジョエル・デ・グスマンの撮影が劣悪な環境を臭うようにとらえる。チャンダが便所掃除してイネスが鼻をつまむ不潔さのうえ、ナディーンの水浴びをパオロがのぞく粗末なつくりの家が、高台に立つマリアの豪邸と対比をなす。けっこう住環境の描出がうまい。
　ローレンがマリアを訪ねて代わりにツバメになる狡猾さや、イネスがパオロにナディーンを抱かせてシクシクと泣くむなしさ。パオロにもてあそばれたとわかって落ちこむナディーンと、パオロがナディーンとセックスしていると聞いて複雑なラッセルをチャンダがなぐさめる思いやり。ラッセルにふとあこがれを抱いたチャンダのやるせなさ。ナディーンとラッセルが去ったあと、チャンダがパオロに対していけずな男みたいに挑発的な軽蔑を示し、イネスが「愛している」といいだしたパオロを無視で、チャンダとイネスに芽ばえる連帯感など、脇の人物の心理もそこそこに表わせている。
　ポルノにしては、けっこう評価できるかもしれない。『ＳＩＮＦＵＬ　ＮＩＧＨＴＳ』よりは落ちるながら、ホヴェンが頑張った感じ。
　考えてみれば、かつて日本にも内容のしっかりしたポルノがあったものの、いつの間にか演技でわざとらしくあえぐだけのアダルト・ヴィデオがとってかわり、みるに耐えないジャンルになったようだ。フィリピン映画のほうがはるかにちゃんとしているとの納得がわきあがる。
　ナディーンとイネスのハダカはどうかだが…
　ホテルのシャワーでラッセルと抱き合う冒頭から、ナディーンの素っ裸が素晴らしい。ラッセルにさわられるお尻が絶品。粗末な部屋を借りるや、さっそくのセックスはオッパイ全開が迫力なのに、チャンダの便所掃除とカット・バックが不快感をもよおして残念。パオロがのぞくナディーンの水浴びは真上からのアングルでとらえ、揺れるオッパイがパワーを放つ。極薄の肌色の食いこみパンティーをはいているボトムがまた色っぽい。仕事のセックスでラッセルが疲れ、ナディーンの欲求に応えない際のベッドでの黒いＴバック・パンティーをはいたお尻の突きだし、パオロに服を脱がされていくときのブラからこぼれるオッパイと花柄パンティーに包まれたお尻、パオロとホテルにおけるセックスでのパンティー一枚の座位と上向きになって乳首のアップを含むオッパイのモロと興奮をくれたうえ、パオロなんかになめられて気持ち悪いと全身を洗うガラス越しのシャワーの全裸に思わず生つばゴクリのナディーンだったが、ラッセルと愛情を確認するシャワーでの立ち愛撫にびっくり。背後からラッセルにオッパイをもまれるのがド迫力と舌なめずりしていると、ナディーンのボディーをはうように撮り、ヘソに大きな宝石のようなものを埋めこんでいるのが明らかになる。ヘソ・ピアスというのが生理的に大嫌いなので、いきなりげっそりと萎えて落胆。もうナディーンという女優が百八十度、対象から遠ざかる。
　イネスは前からファンだけに、ナディーンを酔わせた代償でパオロとセックスになるシーンでのオッパイ露出にウハウハと感激。ただしルーム・サーヴィスを頼んだ客に届けたあとのセックスがなく、ほかには下着姿で客から電話をうけるくらいしか見せ場がみあたらず、アレレと肩透かし。
　マリアは二度のベッドでスリップどまりだし、チャンダは鏡の前で自分をながめるしぐさで脱ぎそうなのに脱がず、さすがに熟女二人はセクシーさを控えている。マリアにはカネ持ちの雰囲気が乏しく、ミス・キャストかもしれない。レディー・ゴルゴニア演じるラッセルのブヨブヨのおばさん客がブラになるのは、やめてくれーと叫びたいほどに醜い。ナディーンが妊娠の事実をバラしたので母とケンカするスーザンの娘を演じるリーズル・ペクソンはミニスカがそそるので、中身をおがみたかったところ。
　いずれにしても満足にはほど遠く、正直いってイネスのオッパイ以外、ポルノとしては失格と指摘したくなる。