ＲＯＯＭＢＯＹ
　
05年：シネ・マラヤ／カムラヤウ・ピクチャーズ
監督：アルフレッド・アロイシュス・Ｌ・アドラワン
主演；ポロ・ラヴァレス
　　　 メリル・ソリアノ
　　　 チャンダ・ロメロ
　　　 イネス・ヴェネラション
　　　 レチー・デル・カルメン
　　　 トジ・ガストロック
　　　 ジョン・ポーレット・ノリエガ
　　　 メエル・ガヘダ
　部屋探しを自分探しにかける人間ドラマの小品で、アルフレッド・アロイシュス・Ｌ・アドラワンのディジタル作になる。
　ラヴ・ホテルの従業員のルイス（ポロ・ラヴァレス）がレイプに合うメルバ（メリル・ソリアノ）を「愛してる」と救うも、メルバが刺されて亡くなり、納骨堂にトロフィーをおいて祈りをささげるプロローグからはじまる。ルイスは１９９１年に最優秀ボーイ・スカウトに選ばれ、そのトロフィーを絶えず磨き、抱いて寝るほど大切にしている。妻のマーシー（メエル・ガヘダ）は精神病で入院し、心を閉ざした状態。ルイスの暮らす共同住居では大家のメンガイ（チャンダ・ロメロ）のもと、オカマのフィオナ（トジ・ガストロック）とレズのカウボーイ（レチー・デル・カルメン）が住む。ホテル客の常連であるメルバが自殺未遂を起こしたのを助け、それで自分の部屋へ連れ帰ったのをきっかけに交際へと発展で、ふたりの部屋を探すようになる。マーシーを捨てられないルイスの内面の動きにメルバの変化をダブらせつつ、ケンカばかりだったフィオナとカウボーイに子どもができて、男女の立場が反対のカップルで幸せに部屋をでていき、メルバがつとめていたバーのママであるロキシー（イネス・ヴェネラション）に身の上話を聞くなどが盛りこまれる。同僚のポクロン（ジョン・ポーレット・ノリエガ）とのやりとりがふくらみを与え、メルバがサインを頼んだら自家用車へ連れこむ映画スターのトミー（ニコレット・エリセル・オマナ）がでてくる。客の女性（メリー・アデロン・エチョ）が忘れたネックレスをマネージャー（ジョサ・エピノ）に届け、ルイスが証明の紙をもらっているのに興味がわくなら、主題にあたる部屋探しで強欲な大家（フロール・デリサ・ファクトル）のメチャクチャな家賃の要求から、だんだんとましな大家（ステファニー・アルカンタラ）の提案をへて、良心的な大家（ヴィヴィアン・ファクトル）の部屋をみつけるも、その場で決めなかったため、申しこみにいけば埋まったあとなんてエピソードが語られる。
　でもしょせんは小品の限界か、ルイスがトロフィーをこわす絶望感に説得力を欠き、割れたトロフィーをメルバがみつけ、実はレイプ犯に刺されたのがルイスで、納骨堂にトロフィーをおいて祈りをささげるのがメルバとのラストにウィットが乏しくなる。“汝に部屋を用意してある”というヨハネの福音書の引用が、宗教的な救済に走るのねみたいな非キリスト教徒にはバカらしさにつながるばかりか、納骨堂が自分のおさまる部屋だったのかごとき皮肉もきかない。
　いささか残念な印象。
　エロ表現さを抑えたあたりが不満度を高める。役者的な存在感はさておき、メリル・ソリアノはホテルのベッドの中でボディーにシーツをかけ、浴槽で倒れていたあとにルイスからバス・タオルをかけてもらい、ルイスの家のマットレスでバス・タオルにくるまり、さらに二度のホテルでバス・タオルを巻いている。風呂に入ってもバストが隠れ、バス・タオルをほどいてルイスを誘惑は、うしろを向くのでオッパイがみえない。セクシー女優のイネス・ヴェネラションは演技に目をみはるも、ヘソだしのミニスカと白いボディコンのみで期待はずれ。本当はイネスのヌードが目的だったのに。
　あと「私のこと、愛してる？」のセリフが一つだけのメエル・ガヘダが、無言で深層心理をたくみに視覚化する。