ＲＯＯＭ　２１３
　
08年：キノ・アーツ・プロダクション／ディジタルＶＩＶＡ
監督：キーツ・スィカット
主演：アレン・ディゾン
　　　 グウェン・ガルシ
　　　 タイロン・ペレス
　　　 マリカル・デラ・フエンテ
　　　 レオ・メイアー
　　　 カルラ・サモンテ
　ソフトＳＭイメージとでも呼びたい作品。
　建築家のマックス（アレン・ディゾン）と写真家のレックス（グウェン・ガルシ）はお互いに仕事で成功した夫婦ながら、性的には倦怠期に陥っている。それで刺激を求めてあれこれと試す内容で、ただそれだけの話。
　刺青があったり、ヘソピーをつけていたりがゲンナリでさほど好きじゃない女優とはいえ、グウェン・ガルシの脱ぎっぷりに期待がかかる。
　黒いボディコンのワンピースで登場し、パンティーを脱げと命じられてぬきとり、ワンピースをまくってお尻をみせると、ワンピースも脱いでガーターのみのうしろ姿でお尻を丸だしの冒頭から興奮が走る。
　黒いボディコンにブーツのレックスが教会でマリカル・デラ・フエンテ演じる女性に目をつけるや、牧師の体をふく幻想で女の狂信ぶりを示す。レックスがモデルを頼み、ガウンの下にビニールのスリップを着てマリカルの乳首がスケスケ。レズに発展で白い下着にグウェンの胸元がそそる。マックスと借りた部屋に水がなく、不満のレックスがバケツで井戸から水をくんで運ぶ象徴的な行動のあと、レックスが水浴びでグウェンがガウンを脱いで全裸になり、お尻の形のよさがうかがえ、陰毛の薄いのがわかる。マックスを縛って鞭打ちでＳＭっぽさが加わり、マックスが準備した山高帽をかぶってトップレスで半ズボンをはき、吊りバントが乳首を隠すレックスのかっこうは一般的な女王様のボンデージと異なる。マックスの女装で倒錯の世界へと思いきや、そうはならず、マックスをロープで吊りあげ、レックスがロープを引くとき、黒いパンティーがグウェンのお尻に貼りつく。ロウソクを並べた部屋で目隠しのマックスに教会の女とともにレックスが愛撫の３Ｐでは、グウェンとマリカルが網タイツに赤い布を頭にかぶる。タイロン・ペレス演じる別の男を連れてきたマックスが目隠しのレックスのパンティーをぬきとり、別の男がセックスは服のままだが、怒ったレックスが全裸でたらいに座っての水浴びはグウェンの半ケツがのぞく。滝のある池やマングローブの浅瀬をバンカーで進み、海の上でマックスとセックスの夢でもグウェンの半ケツが迫り、姿見のみが置かれた部屋でレックスが全身を映すシーンがとくに興奮もの。黒いボディコンを脱いで全裸で妊娠かどうかをチェックで、前かかがみのうしろ姿でお尻を突きだしてグウェンのアヌスがみえそうなうえ、姿見に映るバストはプラプラとオッパイが揺れる。立ったボディーをななめ前の位置に変えると陰毛がチラつき、オッパイのアップのショットが入る。別の男がレックスにほれていいより、ロープで別の男を縛ってレックスが写真を撮ると、別の男を吊るすときにタイロンが全裸でなくてパンツ一丁が不自然だし、教会の女と別の男をカラませての撮影でマリカルが赤いスリップを着ているながら、すぐにスリップをまくってオッパイをポロリ。全裸で寝ている別の男と教会の女をレックスが撮る際にマリカルじゃなくってタイロンのアヌスが露出ギリギリにゲーッ。ふたたびレックスのたらいに座っての水浴びで全裸のグウェンのお尻が誘惑をくれる。カルラ・サモンテ演じる別の女とマックスがホテルのベッドで寝ると、横たわったカルラのうしろ姿のお尻がなまめかしい。滝のある池で別の男とレックスが抱き合う全裸は水の中のみだが、教会の女をプラスに３Ｐのセックスでマリカルのお尻やグウェンのオッパイが視線を引きつける。とくに別の男とレックスのセックスは、ほとんどタイロンのチンポがグウェンに挿入してそうなリアル感が迫力を呼ぶ。嫉妬を抑えきれなくなったマックスが反対に３Ｐのレックスたちの写真を撮るとき、寝ころぶマリカルのお尻の奥にオマンコがのぞく寸前。みたびたらいにしゃがむレックスが愛の崩壊に泣き、全裸のグウェンの腕で乳首の隠れたオッパイがよだれをうながす。
　全体的にＳＭは中途半端にも達しない甘さのレヴェルに終わるが、個人的にＳＭは好みをはずれ、ストレートにヌードに酔いたいだけなので、かえっていいんじゃないのと思えてくる。グウェン、マリカル、カルラの素っ裸がおがめて、ほどほどに満足。
　火事の煙がモクモクとあがる風景といった心象描写をはじめ、キーツ・スィカットの演出が妙にアートを意識にしくのが嫌味っぽいも、単純にエロ目的だと低級との価値基準があるのだろう。レックスが室内撮影なのに照明やストロボをたかず、レフさえあてない現実味の乏しさもアートゆえの確信犯的シンプル化と解釈する。ほとんど無家具の部屋はちょっとロベール・ブレッソンの世界につながると感じたが、低予算を逆手にとったスタイルの考案で、影響を論じるのは見当違いというもの。マックスとレックスが何度か会話のスペースに使う五十年台仕様の電話機やラジオが置かれるインテリアのカフェは、アール・デコなのか狙いの読みとりに苦しむ。ワンピースのお尻のアップを含むカフェのオーナーは演じるレディー・アラリヤーの顔がみえず、容貌が気にかかる。
　いずれにしてもＳＭの表現と同様にアートもぬるく、女優のヌードのみに拍手を送りたい。