ＲＥＳＣＵＥ　ＴＥＡＭ
　　　　
83年：シルヴァー・スター・フィルム・カンパニー
監督：ジョン・ゲール（ジュン・ガリアールド）
主演：リチャード・ハリスン
　　　 ロマノ・クリストフ
　　　 ドン・ゴードン・ベル
　　　 ジェームズ・ゲーンズ
　　　 マイケル・ジョーンズ
　アメリカ合衆国用に制作のフィリピン映画で、合作の部類に入る。ジョン・ゲールの名義でジュン・ガリアールドが監督し、隊員のひとりのマンチーニ役でロマノ・クリストフが助演する。
　いわゆるミッシング・イン・アクションの救出劇になり、ヴェトナム戦争の後日談ものといえる。脚本のクレジットが落ちるが、おそらくテッド・コッチェフの『地獄の７人』に影響をうけた企画に思え、ひょっとして本作のほうが先かもしれない。
　個人的にはカロル・ロバーツの名義でテッチー・アグバヤニの出演に期待がかかる。
　ヴェトナム戦争のヒーローだったバートン（リチャード・ハリスン）がアル中に陥っているも、ＣＩＡ長官のおどしめいた命令で嫌々ながら、同じく英雄の戦友がヴェトナムで捕虜と判明に救出へ向かう。
　同行のマンチーニ、トーマス（ドン・ゴードン・ベル）、グリーン（ジェームズ・ゲーンズ）、ロジャーズ（マイケル・ジェームズ）とバートンの五人がボーリングのときに飲むビールがサンミゲルで、フィリピン・ロケをうかがわせる。タイ航空の飛行機の挿入でタイからヴェトナムへ侵入と示すも、全部がフィリピンでの撮影だろう。タイの兵士を「英語がうまい」とおだてるあたり、東洋人の英語コンプレックスを利用が、フィリピン人による演出っぽい。
　各メンバーのプロフィールに特技が書かれるも、あとの戦闘にそれを実践のシチュエーションを入れない適当さ。おのおのの個性や過去のトラウマもおざなりな内容におさまる。
　全編のかなりの部分はタイの共産軍やヴェトナム軍と交戦しつつと、戦友のコールマンを助けだしたあとの帰還過程における銃撃戦によるジャングルの行軍が占め、飲んだくれのバートンたちが簡単に勝てる相手じゃなく、アメリカ人の東南アジア蔑視に満ちるが、ジュン・ガリアールドのたくみにアメリカ人の観客のプライドをくすぐる構成に違いない。また、だからこそ度をすぎてマヌケで、中盤の途中ほどであきる。ヴェトナム軍の残虐性も、アメリカ側へのウケ狙いが読みとれる。
　逆転のラストにいたっては、ＣＩＡ長官が自らあらわれるリアリティーの欠如にくわえ、簡単に毒殺の安易さ。
　さすがといっては失礼だが、ジュン・ガリアールドのロー・レヴェルに皮肉なうなずきが起きる。
　でも、テッチー・アグバヤニが興奮をくれる。バートンとセックスが暗い画面ながらも全裸で、オッパイやお尻がうっすらとみえる。ジャングルを歩くときはスカートなため、せっかく川につかって濡れたりにボディーのラインが浮かばず、野戦の合間のラヴ・シーンで脱がないが、とりあえずはベッドの素っ裸に納得。
　トップレスでオッパイをバッチリに踊るバーの二名のダンサーは、たぶん実際のゴー・ゴー・ガールだろう。

※　この作品は『地獄の報酬／ベトナム捕虜救出作戦』の題名でヴィデオ発売されたことがある。