ＲＥＳＢＡＫ　　ＢＡＢＡＬＩＫＡＮ　ＫＩＴＡ
（五分五分　私のために戻ってきて）
　
99年：セイコ・フィルムズ／ＲＳプロダクション
監督：アウグスト・サルヴァドル
主演：フィリップ・サルヴァドル
　　　 ジェストニ・アラルコン
　　　 チャーリン・ゴンザレス
　　　 ステラ・ルイズ
　　　 バヤニ・アグバヤニ
　　　 リカルド・セペダ
　とくにどうってことないアクション映画。
　フィリップ・サルヴァドルがヒーローを演じ、銀行のガード・マンで、偶然から一人で複数の強盗を退治するのが冒頭。新聞にとりあげられて一躍有名になると、ジェストニ・アラルコン演じる幼なじみが金探しのプロで「仲間に入れ」と誘いにくる。バヤニ・アグバヤニとリカルド・セペダ演じる同じく幼なじみたちと加わるものの、ジェストニがお宝をひとりじめにしようとするストーリー。
　ジェストニがメンゲー・コバルビアス演じる将軍を巻きこんでいて、チャーリン・ゴンザレスが将軍の秘書を演じ、たまたま銀行で強盗の人質になったのを救われ、フィリップに好意を抱く。チャーリンにホの字からセクハラをする将軍は、嫉妬でチャーリンをぶち、部下に命じてフィリップに暴行を加える。ステラ・ルイズ演じるバー・ガールがフィリップにアタックしていたのだが、売春現場をエヴァ・ダレン演じるフィリップの母にみつかり、責めるエヴァに激しくいい返し、エヴァを心臓発作に追いこむ。今度はジェストニに近づき、チャーリン殺しを頼む。といった人間関係を含むながら、いずれもキャラクターが単細胞で、うまく生かしきれていない。ディンド・アロヨ演じるヤクザにバヤニが二度もカツアゲされてフィリップが助けるエピソードでも、クライマックスのジェストニとフィリップの対決に、いつの間にかフィリップ側についたディンドが応援に参加しているドラマが、もっと浪花節にできたはず。
　フミルデ・“ミーク”・ロハスの脚本が練りたりないのだろう。
　肝心の地下に埋められた金塊の発見があまりにもあっけなく、こんなに簡単にみつかるわけー、とあきれを誘発したり、採掘現場でジェストニ一味の乱射にフィリップたちが応戦の際、ダイナマイトの使いかたがヘタなど、アウグスト・サルヴァドルの演出も冴えない。とくにジェストニがアラブの富豪と組んでスタジアムを建設した設定はおもしろいものの、そこへフィリップたちが襲撃してくるリヴェンジがオープニングの祭典中じゃなくてスケールを弱めるうえ、子分たちがやられ、フィリップとジェストニが一対一になる構図への持っていきかたがご都合主義。マイクで「イッツ・ショー・タイム」と叫ぶジェストニは、もはやただの狂人にすぎず、まともに評価するのがイヤになる。
　もっとも、チャーリンとステラの魅力を期待した作品だけに、そちらの要素はどうかだが…
　チャーリンは銀行でタバコを吸っていて、せっかくの美人ぶりがげっそり。どこか引きこまれないキャラクターに終わっている。フィリップの家で寝るとき、赤いドレスからでる太腿が挑発的ながら、とにかくセクシーさの表現がイマイチ。薄いピンクのパンツ・ルックで採掘現場に現われ、撃たれたフィリップと一緒に川を流されて逃げる一連の動きで、濡れたパンツがペタペタ状態で下半身に貼りついているのがよくうかがえるのに、水の中にいるばかりでザバッとあがるショットを欠くではないか。うーん、これじゃ、アンコのない饅頭みたいなもの。障害者になったアバニを訪ねたあと、フィリップが逮捕されるラストの黒いピタパンがそそることもあって、ホント、プロポーション、バツグンのチャーリンなのに、ムムム。
　ステラは正直いってタイプの外だし、エヴァに食ってかかる表情がブス丸だしなものの、脱ぐとまあまあだけに大胆露出を待ったのだが、夜勤のフィリップに迫るセックスでパンティーを脱ぐのに、ハダカを撮らずじまい。ジェストニとのベッドもギリギリまでで、もうオッパイをださないステラは、トロのない寿司屋と同じ。ジェストニに殺されるときのバストの谷間があいたシャツと黒パンの衣装だけじゃ、出演の意味がない。
　なお、ジョシー・タグレ演じる中年女性の銀行マネージャーがチャーリンの知人で、なにかとフィリップの手を握りたがるのが、コメディー的にちょっと笑えたかな。