ＲＡＤＩＯ　ＲＯＭＡＮＣＥ
　
96年：スター・シネマ・プロダクションズ
監督：ホセ・ハヴィエール・レイエス
主演：ジェリー・デ・ベレン
　　　 シャーメイン・アルナイス
　　　 ジョン・エストラダ
　　　 クローディン・バレート
　　　 ロビン・ダ・ロサ
　　　 パオロ・アブレラ
　　　 リコ・ヤン
　　　 ジーナ・パレニョ
　　　 ノエル・トリニダッド
　　　 ユーラ・ヴァルデス
　　　 ニッカ・ヴァレンシア
　　　 ジョリーナ・マグダンガル
　　　 ジョシュア・ザモラ
　ホセ・ハヴィエール・レイエスの監督としてよりも、脚本家としてのうまさが際だった作品。ようはたくみにまとまったドラマであって、それ以上でも以下でもない。
　ジェリー・デ・ベレンがパーソナリティーを演じるラジオ番組を軸に、ジェリー本人とリスナーたちによる三組のロマンスが同じ図書館、ライヴ・ハウスなどでスレ違いながら、お互いに面識のないままに展開していく。
　ジェリーが住むアパートにパオロ・アブレラ演じる音楽家が引っ越してきて、なにかとケンカの火種をもちこむ。怒り心頭のジェリーだが、だんだんとパオロに好意を抱くようになる。シャーメイン・アルナイス演じる女性にはジョン・エストラダ演じる恋人がいるのだが、仲間たちとバカ騒ぎばかりのジョンに不満がつのり、就職先で知り合ったロビン・ダ・ロサ演じる知的な上司に引かれていく。クローディン・バレート演じる学生は奥手なものの、ジョリーナ・マグダンガル演じる同居する積極的な従姉妹と遊びに行った先でリコ・ヤン演じる青年と出会い、カレッジで再会して交際へ発展。当初はジーナ・パレニョ演じる母が「娘にボーイ・フレンドができた」と喜んでいたのに、反対へまわり、エルニー・サラテ演じる保守的なリコの父も恋愛に理解がなく、クローディンとリコが家出。これにニッカ・ヴァルデス演じるシャーメインの友人がジョシュア・ザモラ演じるジョンの友人に恋しているも、まったくジョシュアの眼中にないから、なんとか視線を向けようとやきもき。マロー・クリソロゴ演じるジェリーの放送局に勤める肥満のレディーがリト・ヴィリアロエル演じる太った男とカップルになる。ココ・トリニダッドとアマ（アマブレ）・キアンバオ演じるジェリーの隣人の老夫妻が絆を再確認する。オギー・ディアス演じるジェリーの局にいるオカマのスタッフが同性愛の相手をつくる。アンジー・カストレンス演じるシャーメインの妹がモン・コンフィアド演じるおつき合いの男を家に連れこんでいる、などサブ・カップルの存在がからむ。妊娠によって新居へ越していく、ジェリーのお隣さんだったメル・キムラとフロイラン・サレス演じる夫婦もでてくる。
　フラれるジョン以外はいろいろとトラブルがあったものの、最後はラヴラヴ復活のパターンどおり。いわゆる単純によくできたフィクションといえるだろう。
　ただしジョンがビリヤードやバスケット・ボールではしゃいだり、クローディンとジョリーナがライヴ・ハウスで浮かれたり、オギーがカラオケで熱唱といった人気の娯楽がうかがえるうえ、パン屋のジーナが使用人たちにうるさく接しながら小麦粉をこね、ジェリーとパオロが部屋で肉まんをパクつき、シャーメインとパオロが寿司を食い、シャーメイン宅へパオロがワインとピザをもってきて、マローとリトが中華料理店で大皿料理をならべる、など食べものの描写が好奇心を引きつける。シャーメインが就職先でいきなりお茶くみ（フィリピンではコーヒー運び）をやらされたのに、会議で口をはさんで的をえた意見だったので、ロビンのハートを直撃の能力主義はホントかいなとの疑問符がつく。パオロの音楽をジェリーが「騒音だ」と酷評し、なるほど騒音だよと共感したくなるおかしさもプラスだから、細部に捨てがたい要素を秘める作品といえる。
　女優陣ではなんといってもシャーメインがかわいく、ジーンズ、白パン、黒パンで下半身のラインを想像させる。バスケット・ボールの更衣室へ入るとパンツ一丁の男たちがあわてて隠れ、お尻のみえたものもいて、シャーメインのパーティー姿もおがんでみたいとの興奮を抑えきれなくなる。ジェリーはココがのぞくときのジーンズのホット・パンツから伸びた太腿がそそり、パオロの部屋へ抗議に行ったら、パンツをはいたパオロがでてくるシチュエーションがあるだけに、こちらも下着にむいてみたい。クローディンはさっぱり魅力不足のまま。あとクローディンをなぐさめる姉役にユーラ・ヴァルデス、クローディンとジョリーナの同級生役にトゥーシー・ゲヴァラが出演していて、ちょっとときめきが起きる。
　なおジョンがシャーメインへ送るメッセージをジェリーが読んだり、ラジオというメディアは本当に双方向だなあ、とあらためて実感させられた。