ＰＲＯＪＥＣＴ　Ｘ
　
08年：レオ・フィルムズ
監督：セザール・アキノ、ミコ・ハシント
主演：アンドルー・シマー
　　　 モン・コンフィアド
　　　 アンジェリーナ・ロア
　家族のシンプルな愛憎劇ながら、同性愛とホモ風俗をからめるのがフィリピンっぽい。
　パンツ一丁の男のダンサーが踊るバーにつとめる女装の歌手のリト（アンドルー・シマー）は、母（デクスター・ドリア）との間に心の溝がある。かつて父（シモン・イバラ＝写真のみの出演）がホモで、その相手にあたる親子ほど年齢の離れたタノ（クリス・ダルス）とのことを母が許さず、父が失意で亡くなった過去が原因らしい。タノはリトの家で暮らし、リトの歌うステージをいつも聞いている。タノを父のごとく世話するリトだが、突然にタノが倒れて入院し、カネのことでアスンション夫人（メリー・ソリアノ）に催促をうける。タレント手配業のロルナ（モン・コンフィアド）はオカマのホモで、リトにほれているが、借金のとりたてでヤクザに殴られ、困ってリトに相談も、タノの入院費の入用でリトが断わる。ロルナが首吊り自殺を試みて病院に運ばれるが、なんとか助かり、ロルナの頼みでリトがホモ・セックス・ヴィデオの出演を承諾する。でも撮影の当日にタノが亡くなり、葬式の手配などでリトが撮影現場に現われず、プロデューサーにみかぎられたロルナがヤクザに殺される。
　母がタノへわだかまりを述べ、リトにもうだうだいう。リトも母に小言をぶつけ、タノがリトに、いかにリトの父を愛していたかを告白。タノの埋葬をへて、やっとリトと母がわかり合うドラマで、かなり表層的なレヴェルにおさまり、脚本のクレジットがないが、たぶん共同監督のセザール・アキノとミコ・ハシントの考案だろう。
　バーの仕事からリトが帰れば、母がトランプで遊んでいて、あきれたリトが顔のメイク・アップを落とすのに疲れをあらわす。近所に越した若い娘のリサ（アンジェリーナ・ロア）がリトに好意の視線を送り、ほとんど誰もこない誕生日のパーティーに誘って、やっぱりリトもこないかとあきらめたら、いきなり家のドアをノックで中に入っての愛撫に、リトが正常な性欲をもつと示す。リサがリトに自己紹介のとき、ロルナの自殺未遂の連絡でリトが急いで去り、また寂しさをまぎらわしてリトとリサがセックスのうえ、タノの埋葬のあとにやっとお互いを自己紹介で結ばれる男女のロマンスを加える。ロルナの死体がゴミの山に転がり、老若男女のやじうまがながめるのに下層の環境がわかる。タノの遺体をおさめる埋葬施設や、リトがわびて祈るロルナの墓にキリスト教の浸透がにじむ。
　なんて興味がわくが、いわゆるディジタルの小品で、さしたる評価におよばないレヴェル。リトが街を歩けばホモ・セックスの海賊版の本番ＤＶＤが屋台で売られる風景の切りこみに、撮影のロミー・ヴィトゥグのうまさを感じるくらい。
　ホモのシーンはリトがパンツ一丁で眠るところへロルナが近づき、もっこりをさわり、なめようとするほか、リトがホモ売春でハゲ男を相手に、まったくの無表情のマグロなのにホモを商売と割りきると描き、ゲイ・バーの店内やホモ・ヴィデオの撮影現場が気持ち悪い。スタンバイの役者が二人、チンポを丸だしのうえ、お尻にどうらんを塗られるメイク・アップ中。
　もちろん三回のリトとのセックスで、リサ役のアンジェリーナ・ロアのヌードがちゃんとでてくるのが最大の見せ場といえる。最初は立ち愛撫で脱いで全裸になり、オッパイがモロに迫り、お尻のアップを含む。二度目は正常位、女性上位、座位と抱き合い、乳首が誘惑的に視線を引きつける。下着のままシャワーで愛撫の三度目はブラをはずしてオッパイがポロリに、なんと美乳と生つばゴクリのみならず、濡れてシー・スルー状態のパンティーが貼りつき、お尻や陰毛をスケスケにみせる。
　まずまずかわいいし、十八歳との設定のアンジェリーナにすっかり悩殺された。