ＰＩＴＡ
　
93年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ジョー・“カカ”・バラグタス
主演：レイマート・サンチャゴ
　　 　ダニエル・フェルナンド
　　 　ジョコ・ディアス
　　　 ラモン・クリストファー
　　 　レーチェル・アレハンドロ
　　　 アンジャネット・アバヤリ
　　　 ジョン・ヘルナンデス
　復讐を扱う単細胞なアクション映画は、フィリピンの得意とするところ。レイマート・サンチャゴ演じる主人公は、幼い頃に兄を殺した犯人の仇を討つ。それでダニエル・フェルナンド演じる警官に逮捕されるのだが、ダニエルはラモン・クリストファーがボスを演じる犯罪組織とつるんでいる。ちょうどメトロ・マニラの各地でボスたちが縄張り争いの真っ最中で、腕っ節のよさをかわれ、ダニエルから殺し屋として雇われる。レイマートは対立組織のボスたちを次々と血祭りにあげていき、そんな簡単に始末できるか、との疑問が生じるのは当然の印象。
　安易な展開だ。
　レイマートが襲撃され、ヘーゼル・フエルヴェス演じる恋人が命を落とすといったドラマが盛りこまれるものの、もう一つ納得いかない。
　レイ・ヴェントゥラとアリシア・アロンソが演じる両親とのやりとりも、主人公に感情移入させるための設定として弱い。
　カロオカンの警官であるダニエルが犯罪を煽っているので、ケソンの警察が乗りだしてきてレイマートを逮捕すると、収監された刑務所のディック・イズラエル演じる看守がまた腐っていて、ダニエルやラモンの仲間。レイマートを自由に連れだし、再びヒットマンとして活躍させるといった後半は、もはや説得力が皆無。
　無茶苦茶じゃないか。
　途中、ロマンスが二つでてきて、アンジャネット・アバヤリ演じるバーのダンサーがダニエルの愛人なのに、レイマートにホレる展開になる。ダニエルが異常に嫉妬深いから、ＡＪが原因で最後はレイマートとダニエルが対決するだろうことは、容易に想像がつく。レーチェル・アレハンドロ演じる歌手とレイマートは結婚するのだが、こちらは中途半端な扱いで、無駄なエピソードの感じ。実際に人気シンガーでもあるレーチェルがステージとデートのシチュエーションで二曲歌っているから、これを挿入したかったのだろう。
　結局、変態丸だしのディックが死姦しようとＡＪを殺し、その罪をレイマートになすりつける。復讐のかたまりとなったダニエルに対し、レイマートのほうも愛していたＡＪの報復という意味がある。ジョコ・ディアス演じる幼なじみと二人だけで、ダニエルたちの本拠地へと乗りこんでくるわけである。このほとんど無謀以外の何物でもない襲撃によってジョコは殺されるものの、レイマートは組織を全滅させるのだから、ご都合主義だなあ、との結末。
　それでもカーチェスの末にモーターボートでダニエルが逃げようとするや、大爆発で炎上した桟橋を突っきって、レイマートの車がモーターボートの上へダイヴするアクションは、さすがに頑張っていると拍手ものだった。
　本来はＡＪが出演しているので、セクシーな要素を期待してみたのが目的。ダンス・シーンでスケスケのガウンをはおった赤いハイレグ・ビキニで登場し、みごとな胸元と、キュッとしまったウェストのプロポーションで圧倒してくれる。あとで光沢ブラの衣装や、赤いブラにジーンズといった格好も披露だけに、さすがＡＪのフェロモンは強烈すぎる。
　しっかり期待に応えてくれ、みてよかった。
　レーチェルはさして美人じゃないし、シャワーやベッド・シーンを含むものの、オッパイをみせないことがわかっているため、あまり興奮しない。それでも二曲目を歌うときのヘソだしファッションがキュート。
　ヘーゼルは平板な顔だちながらも、そそる雰囲気があるから、脱ぐシチュエーションがほしかった気がしないでもない。
　おそらく本物のＧ．Ｒ．Ｏ．が踊るステージの点描は二回登場し、ともに光沢ビキニと紐Ｔバックが視線を奪ってくれた。