ＰＩＰＯ
　
09年：レオ・フィルムズ
監督：アレハンドロ・“ボン”・ラモス
主演：タイロン・ペレス
　　 　マルコ・モラレス
　　 　ミシェル・エステヴェス
　　　 カルラ・エストラダ
　　　 ミスティカ
　　　 ロレイン・ロペス
　　　 ロブ・ダ・シルヴァ
　　　 サマンタ・シークレット
　　　 エース・コーシン
　リサール州ビナンボルでロケし、貧民街に暮らす若者たちがインターネットを通してのサイバー・セックスという新しい性風俗でプロになる姿を描く。
　黒人の映像作家（アル・ブラウン）が性風俗のドキュメンタリーを制作で、その依頼をオカマのコーディネーターが「ハリウッドの監督だ」とかなんとか適当にインターネット・カフェのオーナーのアガタ（ミスティカ）に伝え、アガタが客の若者たちに強引に話して、ピポ（タイロン・ペレス）、マーク（マルコ・モラレス）、ヴェルニー（ミシェル・エステヴェス）への作家のインタビューに、セックス・シーンを含むドキュメンタリーふうのやらせ作品への出演をうけるかどうかから、撮影がどうなったかの流れで若者たちの生活ぶりの描写を平行の構成で、下層の人間模様を浮きあがらせる。それに映像作家のヴィデオ・カメラが盗まれる事件がからんで、狂言回しをドラマに引きこみ、ビエン・オヘダと共同で脚本も担当のボン・ラモスが意欲的な演出をみせる。
　おそらくインターネットが性風俗に使われる実態に興味をおぼえたのではないか。
　主人公のピポは幼い弟と妹が五人の大家族で、道がどぶ川に変わったエリアの粗末な家に住んで母のドロレス（カルラ・エストラダ）を支える。魚の行商の母は、夫と別れている。家の周囲は板を並べたわたり廊下のごときものが敷かれ、みんながその上を歩くようすがまず興味を集める。海岸沿いの水上家屋や、水草が一面にはえた浅瀬にバンカーが停泊の光景も貧困の雰囲気をよくあらわす。ピポがインターネット・カフェにたむろの連中とつき合うのを母が不良だと心配し、ピポも弟のひとりがビリヤード場に出入りをやめさせる。母にはツケなどの借金があり、ピポがホモ売春でえたカネをわたすと、母が「どこで稼いだの」とたずねる。インタビューでピポが「カナダでヘルパー、ハワイでコック、アフリカで動物の世話」なんて海外就労の話をのべていたが、母に海外での仕事の斡旋が舞いこみ、幼いピポの弟や妹たちが「電気代が払える」「学校の授業料がいる」「扇風機がほしい」といい、斡旋料をあずけた代理人がホールド・アップで殺されたとの連絡に、同じく申しこんだ近所のおばさんのタシン（メイ・アンタソ）が気を失うや、母も絶望にフィリピンの海外労働への依存をうかがわせる。母のところへとりたてのおばさんがきて、アングラ性風俗ドキュメンタリーのギャラをピポがわたす。なんて厳しい現実を示しつつ、ろうそくを手に歩く夜に宗教への寄りかかりや、インターネット中に停電でインフラの弱さ、夜の橋のたもとにピポたちがたむろって町民の巡回パトロールが注意などの日常を盛りこむ。ピポたちが大麻でラリッてサイバー・セックスは、無教育と切っても切りはなせない薬物ながら、本来は覚せい剤をあぶりで吸引が主流と感じる。撮影を仲介のオカマが韓国の太極マークのうちわをもつのは、とくに意味がないだろう。
　ヴィデオ・カメラの盗難に対する犯人探しはさほどメインにならず、ピポやマークに、仲間のアウィー（ロブ・ダ・シルヴァ）がノート・パソコンをほしがり、ピポが新しい携帯電話を入手に若者たちのこだわる神器がわかる。女性の仲間のトリシャ（サマンタ・シークレット）がマニラへ定期的にでかけてはパパとセックスでこづかいを稼ぐも、妻（レア・フロレス）が現われて殴られる。アウィーがオカマの恋人とつき合い、仲介のオカマがヴェルニーに撮影でピポとのセックスをすすめ、ヴェルニーには別の場所に子どもがいる。やり手のマークが黒人の映像作家とセックスの撮影をまとめ、ヴェルニーがピポを好きなのに、カネのためにピポとセックスを怒り、ヴェルニーとマークと３Ｐの撮影でピポがホモに拒絶感を起こす。マニラからオカマとトリシャが戻る際にチョコレートを買ってくる細かい嗜好を含め、女性の仲間のジジ（ロレイン・ロペス）が妊娠で出産や、アウィーが死亡のドラマが淡々と語られる。アウィーの葬式に市長（ヘル・ゴンサガ・ガラン）がきて家族に見舞金を握らせ、選挙で投票を呼びかけるあたりが、けっこう本当っぽい。ヴェルニーが町を去るのをみんながみおくり、マークだけがこっそりながめる男女の心理もたくみに描きこむ。
　とにかくインターネットによるチャットがアダルト・サイト化や、アングラ・ヴィデオの撮影に、パトロンや口コミ客とのホモを含むセックスが核といえる。インターネットの客の相手はたいていが白人で、マークが「ここはインターネット・カフェで密室じゃないので、パンツは脱げない」といいながら、まだ少年の弟とパソコンのヴィデオ・カメラの前でシャツをまくるのにはじまり、ヌード・シーンがふんだんにでてくる。密室におけるチャットでマークがチンポとお尻をさらし、車庫でのホモ売春で仲間のブチョイ（エース・コーシン）とアウィーがフェラやアナル・セックスに全裸で、相手の中年男のひとりもお尻をつきだす。全編にピポ、マーク、アウィー、ブチョイにくわえ、黒人のカメラマンのパンツ一丁にとどまらず、ヴィデオ出演でホモ・セックスを撮影のマークの話をうけてブチョイとアウィーが石鹸で身体を洗うショットでは、ふたりのお尻ばかりか、ブチョイのチンポの先っぽがチラつき、アウィーのチンポがプラプラ。もう男の限度をこえる露出に気持ち悪くなる。もちろん女優たちもハダカを欠かさず、ジジ役のロレイン・ロペスは酔って負けたものが脱ぐゲームでアウィーが全裸のあとに当たり、嫌がるときにピポがきて、お尻に貼りつくパンティー一枚でオッパイを布で隠しながらキス。ピポとのセックスで乳首をみせる。プールの撮影中につわりで、ヴィデオのファインダーの画面で遠景が残念でも、花柄のビキニがお尻にくいこみ、ピポとマークの３Ｐの撮影でパンティー一枚のうえに乳首をポロリ。ヴィデオ・カメラが消える朝の全員の雑魚寝で黄色いブラに短パンはオマケ程度で、マークとパソコンのカメラに全裸を披露のプロの意識をもったラストでチンポをバッチリのマークの横に寝ころび、オッパイとお尻をモロ。ローライズ・シーンズが色っぽいし、生意気そうな容貌がそそる。トリシャ役のサマンタ・シークレットはヴィデオの撮影に参加していないため、背中のでるローライズ・ジーンズと、はだけめにブラがのぞくシャツとローライズ・ジーンズでムズムズを誘発のみかと思ったが、やはりラストのパソコンで中継用のブチョイと騎乗位のセックスでトップレスに乳首をおがませる。腰まわりは隠れるも、なかなかの美人だけに興奮を招く。ヴェルニー役のミシェル・エステヴェスの前にドロレス役のカルラ・エストラダにふれれば、太ったおばさんに変化とはいえ、まだ往年の美貌がうかがえる。アガタ役のミスティカはそもそもがファニー・フェイスなものの、年をとった印象が否めないが、ミニスカやバストを強調のヒョウ柄ワンピースで迫る。アウィーの若妻役のグライサ・グマヤオがちょっとかわいく、セクシーな設定がほしかったところ。
　それでミシェル・エステヴェスだが、シャツを着る際の黒いブラでお腹のラインが太めとわかり、ラリってピポを誘惑をマークが目撃でパンツ一丁のピポとマークと寝るときに肌が陰になるも、ふたたびパンツ一丁のピポとマークと愛撫では赤いブラとパンティーでお尻をつきだし、お尻にパンティーがくいこまないが、全裸のピポが浴槽に座ってシャワーを浴びる浴室の横でブラをはずしてバスタオルを巻く背中までをみせる。プールで撮影はヴィデオのファインダーの画面における遠景でも、赤いビキニがお尻にペッタリが挑発的。全員の雑魚寝で唯一、着衣のままながら、町を出発のシーンのジーンズがキュート。でもバストがこぼれそうなワンピースでインタビューをうけ、内容を再現で黒いパンティーのうしろ姿や、マークと座位のセックスで乳首が丸だしのオッパイは顔が隠れていて、おそらくふきかえの別人と判断できる。本作のキャスティング担当のロデル・フェルナンドはオカマの俳優としても有名で、実はウチのキャスティングを頼んでいる友人にあたり、以前にミシェル・エステヴェスに交渉の機会をつくってくれたが、こちらのヌードの要求に「ツー・ピースまでで、それ以上は脱がない」と折れなかった経験が思いだされ、さもありなん。
　まあ個人的にはロレイン・ロペスの全裸とサマンタ・シークレットのオッパイに引かれ、ボン・ラモスの中心的な狙いはピポがホモも平気なサイバー・セックスのプロに変わる過程の青春像だろうし、カメラを盗んだ犯人が誰かはバラさずにおこう。