ＰＩＬＹＡ
（みだら）
　
03年：ＡＴＢ−４フィルムズ
監督：アルマンド・Ａ・レイエス
主演：トリナ・シールズ
　　　 メリッサ・メンデス
　　　 クリスティナ・カステン
　　　 フランシス・エンリケス
　　　 ラフィー・アニド
　　　 ボビー・ベニテス
　　　 ジョーイ・ガルヴェス
　アルマンド・Ａ・レイエスが『ＭＯＴＥＬ』に続き、ホテルＳＯＧＯとのタイアップによる作品。『ＴＵＭＩＴＩＢＯＫ…　ＫＵＭＩＫＩＲＯＴ』で組んだトリナ・シールズを単独の主役に抜てきしている。ホテルＳＯＧＯの看板にもある浮世絵ふう日本画の女性が扇子を広げた絵とトリナが同じポーズをとるのがポスターで、劇中にも扇子を小道具に使っているから、ホント、ＰＲ映画とでもいいたくなる。
　なんてことは、本質と関係ない要素。トリナはそこそこ美人だし、セクシーさ満開を期待するではないか。
　内容が陳腐なのは『ＭＯＴＥＬ』や『ＴＵＭＩＴＩＢＯＫ…　ＫＵＭＩＫＩＲＯＴ』から予想のつくところ。メリッサ・メンデスとトリナが演じる姉妹がいて、メリッサが異常なくらい信心深いのに対し、トリナはセックス好きの奔放娘。学校で試験が危ないとわかるや、クリスティナ・カステン演じる女教師をレズでメロメロにして合格へ持ちこむ。ラフィー・アニド演じる恋人がいるのだが、一緒にシャブを吸い、警察に踏みこまれて、銃をだそうとしたラフィーが射殺される。教会でフェルナンド・モンテネグロ演じる神学生を誘惑し、相手が夢中になると捨てる。メリッサに追いだされ、ボビー・ベニテス演じるメリッサの夫がニクソン・クルース演じる男と密会している現場を目撃。おどそうと考えるも、ボビーから「ゲイなんだ」と涙の告白を受け、味方に転じる。不治の病に冒されていたメリッサが「実は母だ」との事実を教え、あっさり他界。ボビーはニクソンが望んだアメリカへと出発する。トリナはずっと天国の母を慕っていたものの、メリッサの子と知ってショック。残した資料からジョーイ・ガルヴェス演じる父を訪ねてみるや、教会の神父で、過去のあやまちからできた娘に冷たい。宗教家を恨んだトリナは、フェルナンドが神父に昇格したとわかり、再び誘惑。フェルナンドが受けつけないので、レイプのフリをしてマスコミに訴え、スキャンダルへと発展…　との物語で、ロクに宗教批判にもなっていない薄っぺらさは、何をかいわんや。メリッサにしろ、ジョーイにしろ、宗教に夢中な人間ほど心がせまいのは、キリスト教に限らず、一神教の特徴。やたらメリッサが集会を開いたりなど、祈ってばかりの様子からは、信仰に頼るものほど発展がないとの真実を暗示するも、作者の意図ではなく、無意識に自然とにじみでた本質を、こちらが読みとった次第。
　トリナのヌードはほぼ前半に集中し、後半はくだらない悩みをウダウダ繰り広げるばかりで、ただの退屈な作品に陥っている。ジョーイとの和解で、フェルナンドの無実を認めたトリナが渡米。アメリカ人の夫と帰国するエピローグにいたっては「こいつら真剣にアホや」とのあきれが盛りあがる。アメリカへ行けば、フィリピン以上の偏見が待っているだけなのにね。
　と幻影に生きるフィリピン人のダメさばかりをにじませた皮肉に、低レヴェルな映画から社会的興味をうかがうも、こっちだってトリナのオッパイが目的だから、はるかに大マヌケのバカ。
　トリナは冒頭にホテルへ尼僧のファッションで現れてタバコを吸い、実はコスプレで、ラフィーと部屋へくるや、浴室でどんどん脱いでオッパイを丸だし。バス・タブへ入るとき黒いパンティーをはいたままなのがアレレなものの、ラフィーと中で愛撫し合う。ただし、けっこうお腹のでたボディーが明らかで、ダイエットしなさいともいいたくなる。フェルナンドを堕落させる悪魔のささやきは、勃起を抑えようとチンポに手をやるフェルナンドの前で黒いブラをみせるどまり。ラフィーとシャブのあとのセックスが大胆で、シャツ、ブラと脱いで、上向きオッパイがバッチリ。ラフィーとは三回目もオッパイをモロに露出し、乳首の色合いと形が絶賛に値する。ジョーイの無視で自暴自棄になり、ディスコでケンジー・ミゲル演じる男をナンパしてのセックスは、うつ伏せに寝転ぶと背中を愛撫されるも、ギリギリ・オッパイはみえないし、全裸かどうかはっきりせずイマイチ。でもジーンズや白いピタパンなど、着衣でもトリナはビンビンを招くから、悩殺女優として拍手を送りたい。
　トリナのパワーは、どうやら神を上まわるようだ。
　あとクリスティナは男に変装してホテルへくると、黒いブラをとってオッパイ全開がウハウハ。ジーンズをおろしてパンティーで、オッと、全裸かと興奮したが、すぐにシルエットに変わるのが残念。
　トリナの同級生を演じるサイラ・グレース・ラモスとラニー・サマウェーのうちのどちらかがかわいく、ハダカをみたかった。
　なお、メリッサがトリナのシャブ逮捕に気づく新聞と、トリナがフェルナンドの神父就任の記事を読む新聞が、既成のタブロイド紙に写真を貼りつけたのはよいにしても、紙質の色からして違うし、とくに後者など枠の大きさすらズレている雑なもの。これがちゃんと入場料金をとってみせる作品の仕事とはとうてい思えず、制作サイドの姿勢に真剣さが足らないと指摘せざるをえない。トリナがクリスティナに「ホテルＳＯＧＯで待ってるわ」というほか、フェルナンドを「いいところを知っている」で食事に誘い、ホテルＳＯＧＯのレストランへ連れていったり、アメリカ人の夫にフロントで「私の一番好きなホテル」と説明しているから、ホテルＳＯＧＯへの宣伝配慮だけは本気っぽいが…

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