（銀貨）
01年：ＭＭＧエンターテインメント・グループ
監督：ローランド・レデスマ
主演：ロナルド・ガン・レデスマ
ジョン・レガラ
ダイアン・ゼン
ヴィア・ヴェロソ
ボブ・ソレル
エルニー・サラテ
レーイ・ロルダン
アヴァ・アヴィラ
ジャード・ヘレス
ラウル・カッシーニ
ルディー・ドミンゲス
マイク・マルティネス
ベン・サグミット
ゴルゴダの丘でイエス・キリストがはりつけになり、イエスを売ったユダが苦悩のすえに自殺する。おーい、またヘンな始まりかたをするじゃないか、とイヤーな予感が走る。Ｂ級アクションのはずなのに、スケールを大きくしようと背伸びして、どっちらけの内容になっているんじゃないかと。
２００１年後とのクレジットが入り、キリストの処刑が西暦０年に起こったわけじゃないから計算が合ってないぞと笑わせるが、中東のある国でセコい銃撃戦があり、殺されたリーダーが仲間に「フィリピンへ行け」と告げて死ぬ。どうやらこれはユダがイエスを売ったときに代金として受け取った銀貨をめぐる争奪戦であることがわかる。不安は現実となって、国際規模の犯罪ドラマをセコく繰り広げることが判明するや、映画は前半にして早くもドーッと疲れが走る。どうしてこうもレデスマ・ファミリーの作品は、無理な題材に手をつけようとするのだろうかとあきれ半分。そりゃ、制作費があれば、話は別よ…
主人公のロナルド・ガン・レデスマ演じるのは賞金稼ぎで、リザ・アサヴィ（だと思う）演じる女性の相棒がいて、エッチな発展を期待したが、それはなかった。ボブ・ソレル演じる将軍に、アラブの潜入者たちから銀貨を奪うように依頼される。このとき将軍にはアヴァ・アヴィラ演じる秘書がいて、勃起ものの色っぽさで、パンティーをチラチラさせて座るのがオーッ。ロナルドとちゃんとベッド・シーンがあるのは嬉しいが、欲望をくすぐるような撮りかたになっていないのが残念。アヴァは以後も意味深に将軍の横に登場するのだが、もっと魅力を爆発させるような使いかたをしてほしかった。
潜入者たちはアラブから追いかけてきたテロリストたちと戦いまくり、だとするとユダヤ教徒かなと思うのが常識。でも服装はアラブのそれだし、「おおイエスよ、我々を助けたまえ」みたいに祈るからカトリックだとも思えなくない。彼らが歩くシーンのＢＧＭにはユダヤの音楽が流れ、やっぱり… なんて真剣に考えるのがバカバカしい。そのあたりの歴史的、民族的、文化的考察など、まったく無視されている。フィリピンのテロリストも登場し、共産ゲリラかイスラム解放戦線かと思いきや、アメリカのカーボーイみたいな格好をしているのが仲間にいて、ようするにムチャムチャ。しょせん雰囲気さえあればよいということだろうから、この大雑把さがフィリピンっぽいが、国際テロに対して実はフィリピン人って何も理解していないんだなあというのが感じられて、いやはや困った連中である。
映画は潜入者たちがロナルドの旧友であることが判明し、ロナルドがカネを返して依頼を断ると、今度はアラブのテロリストとフィリピンのテロリストに共同戦線を張らせて、銀貨強奪にやってくるとの展開。このときロナルドの友人だったジョン・レガラ演じるカメラマンが、カネのためにロナルドらの情報を売って後悔するシチュエーションがきて、冒頭にジョンがユダを演じていた意味がわかる。とはいっても、途中で何回かユダの裏切りやイエスのはりつけの夢をみてうなされるという意味深な挿入まであったのに、だからなーんだという感はぬぐえない。
最後の銃撃戦ではロナルドが立ったまま体をクルクルまわして撃ったりするシーンがあるのだが、なにをカッコつけてんだとクスクス笑いを誘うようなもの。映画は全編がカッコつけのお笑いみたいな内容で、どっちらけである。
これでお楽しみのエロティックなシーンはというと、前半にヴィア・ヴェロソ演じる女性をロナルドが助けて、そのままベッドへとなるところでヴィアがオッパイ全開。まずまず好みの女優のヴィアだから興奮ものなのに、カメラの位置をたいして変化させないヘタくそな撮りかたにイライラもさせられる。せっかくヴィアがでていて、まったく物語にからんでこないのも、ものすごく不満。
ダイアン・ゼン演じる潜入者の女性ともカラミが用意されていて、ダイアンがアラブふうというか、インドっぽい容貌でドキドキするのに、シャワー・シーンもベッド・シーンも肝心のところがみえないから幻滅。大事な部分を隠すにしても、撮りかたしだいでかえってみえない興奮を与えられるものだが…
テロリストの中にはメロニー・マドリッド（だと思う）演じる色っぽい姉ちゃんがいて、こちらもヌードを期待したが、はずしてくれた。
ラストはテロリストたちをやっつけ、銀貨を引きついだロナルドがジョンを許すと、ヴィアと手をとりながら消えて行っておしまいである。ダイアンとはその後どうなったかわからず、突然、まったくストーリーに加わっていなかったヴィアが現れてハッピー・エンド。そこにおなじみのヤム・レデスマの主題歌が流れる。
バカにしとるのか！
つまりヴィアはオッパイをみせるためだけにでてきたのね、とあきれるも、こちとらはそのオッパイを楽しみにしていただけだから、文句をいう筋合いではないが… いくらなんでも、そりゃないだろう。
まあ『Ｔｕｍｂａｄｏｒ』『Ｐａｎａｂｌａ』ときてこの作品だから、仏の顔も三度までじゃないが、さすがにレデスマ・ファミリーの作品は今後もう無視していいんじゃないかと思う。どうせ題材ばかり背伸びして、内容が伴っていない駄作なんだから。
でもまた好みのセクシー・スターが出演していたら、みちゃうんだろうなあ。女優の撮りかたがヘタだとわかっていても、誘惑に勝てないだろうなあ…
トホホ。
