ＰＩＥＴＡ　　ＩＫＡＬＡＷＡＮＧ　ＡＫＬＡＴ
（ピエタ＝亡くなったキリストを抱く母マリアの像　第二巻）
　
84年：アマザルディー・フィルム・プロダクション
監督：カルロ・Ｊ・カパラス
主演：ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニア
　　 　チャリト・ソリス
　　　 ヴィヴィアン・ヴェレス
　　　 ダンテ・リヴェロ
　　　 ジーナ・アラハル
　　　 エフレン・レイエス・ジュニア
　　　 パキト・ディアス
　　　 ルシタ・ソリアノ
　　　 イヴォンヌ
　　　 オパリン・フォースター
　　　 マイケル・マクマレー
　　　 ロムニック・サルメンタ
　　　 レオポルド・サルセド
　『ＰＩＥＴＡ』の続編。カルロ・Ｊ・カパラスが前作の好評に応じて制作したものとの推測が成りたつ。
　父親のようなワルにしないため、ヴィヴィアン・ヴェレス演じる母親が異常なまでの厳しさでロムニック・サルメンタ演じる息子を育てていくのが冒頭。ビリヤードしたからと怒り、タバコを吸ったからと不安がる。ダンテ・リヴェロ演じるバランガイの顔役がヴィヴィアンを好いていて、ダンテから腕時計をもらったと投げ捨てる。
　でも周囲の環境がしょうもなさすぎる。息子をラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニアが演じるようになると、カレッジでエフレン・レイエス演じる学生のリーダーが、ジーナ・アラハル演じる自分の意中の女性とつき合っているのと、オパリン・フォースター演じる自分の妹と仲がよいのに腹をたて、仲間たちとボンをボコボコにする。しかもパキト・ディアス演じるヤクザの親分とエフレンがつるみ、ルシタ・ソリアノ演じる叔母と一緒にヴィヴィアンが経営しているサリサリ・ストアーをぶっ壊す。ついにはパキトがダンテを殺し、ボンとジーナをら致。みんなの前でエフレンがジーナをなぶりものにもてあそび、一時的な記憶喪失に陥らせる。ボンにはパキトが麻薬を注射して中毒状態に。
　今回の特徴は、何名かの登場人物への演技づけといえる。前作から二十年近くたっている設定なのでヴィヴィアンやルシタは老けメイクになっていて、とくに心臓発作で倒れたチャリト・ソリス演じるボンの祖母が車椅子生活をよぎなくされ、途中で亡くなるまでチャリトは顔面神経痛により、うまくしゃべれないゆがんだ顔のみで感情を表現する。ハイライトはボンの薬中ぶりで、ベッドにしばりつけられて暴れまくる。『夜を逃れて』のドン・マレーや『フレンチ・コネクション２』のジーン・ハックマンとまではいかないものの、とりあえずは頑張っている。
　回復したボンが復讐に走ってからは、いささか単純な内容。イヴォンヌ演じるパキトの情婦をしめあげて機関銃を奪い、パキト一味を全滅のうえ、パキトに麻薬をうつ。オパリンを脅して居場所をはかせ、今度はエフレン一派の本拠へ殴りこむと、そこへヴィヴィアンが連絡した警官隊が駆けつける。
　パキトとの銃撃戦は配管資材をつかうなどアイディアを盛りこむながら、ボンが一人で多数をやっつけるご都合主義が目だつ。エフレンとの対決も同様で、ボン主演のアクション作というのはこの頃からいい加減だったのね、とあきれるばかり。ヴィヴィアンとルシタが前作のラストでボンの父親が射殺された現場を訪ね、回想がでてくる部分がくどいし、エフレンがヴィヴィアンを人質にとり、ヴィヴィアンがとっさに消火器をエフレンにかけるラストも、イマイチ迫力に乏しい。
　全体的に五十％くらいトーン・ダウンと評価せざるをえない。
　また白髪まじりのヴィヴィアンにセクシーな設定がないのは当然にして、ジーナに期待を向けたのだが、集団レイプのシーンでビリビリッとワンピースを引き裂かれ、下着にむかれる絶好のシチュエーションなのに、エフレンから胸のあたりをもまれる程度じゃないか。一瞬、乳首がのぞきそうなショットがあって、オッと興奮をくれるものの、すぐに元へ戻って落胆に変わる。イヴォンヌはパキトと寝ているベッドでのスリップ姿や、バス・タオルを巻いたボディーどまり。オパリンはボンが押しこんできたときシャワーあとでバス・タオル一枚なうえ、エフレンが逃げた先のボス宅へ案内させる間もずっとバス・タオル姿をとおすとはいえ、思わずとれそうになるハラハラ感を欠くからそそらない。
　女優の魅力もつかいきれず、相当な不満作。
　しょせん続編とは、こんなものか。
　なおジーナの両親役でレオポルド・サルセドとカルメン・エンリケスが出演している。