ＰＩＣＫ−ＵＰ　ＧＩＲＬ
　
02年：タウルス・フィルムズ
監督：カルロ・モンテロ
主演：パム・ラクソン　（カト・デ・サントス）
　　 　パロマ・ロサル
　　　 キム・ロペス
　　　 フリア・テーラー
　　　 モン・コンフィアド
　　　 イーアン・ヴァルデス
　　　 ガブリエル・サルヴァドル
　　　 ジョセフ・バルタザール
　　　 アラン・ギルバート
　　　 ラセル・アンジェラ
　　 　エース・マナラン
　四人の売春婦の生きかたを描く作品。パム・ラクソン、パロマ・ロサル、キム・ロペス、フリア・テーラーが四人を演じ、それぞれ下着姿で鏡を前に化粧するのが冒頭。はっきりいってパムしかかわいくないものの、とにかくみてみようじゃないか。
　バギオが舞台になっていて、マインズ・ヴュー・パークなど、観光要素もしっかり紹介している。
　二段ベッドを二つ並べ、共同で生活している四人。フリアは黒人との混血で、ほとんど肌の色だけなく、容貌的にも黒人。パムがそれをバカにし、しょっちゅうケンカが絶えない。でもどこかで心が通っている関係なのは、なかなか評価できる点。四人のママさんがイーアン・ヴァルデス演じるオカマで、サンドラ・リカップ演じる、どうみても女装した中年男と一緒に取りしきっている。イーアンには日本へ働きに行く夢があって、サンドラが家事にいそしんでいる設定が、けっこうおかしい。前半はコメディー要素を盛りこむも、山岳民族の老人の客がフリアの黒い顔に驚いて逃げるシーンなど、ワザとらしい印象が先に立つ。
　次第に四人の交友関係が明らかになり、パムにはアラン・ギルバート演じる人のよいボーイ・フレンドができる。ラセル・アンジェラ演じる幼い娘をかかえるパロマには、ジョセフ・バルタザール演じる男のストリップ・ダンサーとの愛が芽ばえる。ちなみにジョセフのステージで、オバサンやオカマ連中がキャー、キャー騒いでいるあたりから、風俗的興味がわきあがる。キムにはガブリエル・サルヴァドル演じる不良っぽい恋人がいるも、もっとワルであるモン・コンフィアド演じる警察から追われている男とつき合い始める。
　ドラマのクライマックスは二つあり、覚せい剤でおかしくなったモンにキムが撃たれ、モンも警察に射殺されるエピソードと、パムがエイズをうつされ、自殺未遂を起こすエピソード。殺人事件のほうは、キムたち人間の描きかたにおよそ説得力というものを欠いているから、とう突以外の何ものでもない。エイズのほうは自暴自棄になったパムの演技がうまいし、自分も検査を受けるアランの心情もでてきて、まずまず核となっているのに、エルウィン・モンテス演じる医者が検査を間違えていて、実は陰性だったとわかるオチがひどい。
　マジで考えたのかと疑いたいほど。
　カルロ・モンテロ監督は、観客をバカにしてるのか。
　全体的にも売春婦の問題に正面から踏みこんでいないし、相当に低レヴェルなできだ、といわざるをえない。
　まあ、パムとアランのカップルと、ラセルを連れたパロマとジョセフのカップルがマニラへでて人生のやり直しを決意し、その出発をフリアとイーアンとガブリエルが見送るラストの情感がじーんとさせるから、最悪ではないようだ。
　それで期待したエロスの表現だが、残念ながらイマイチなのが本音。パムはエイズのキャリアと知らずにセックスするシーンで、黒いパンティー一枚になったあとにオッパイをバッチリおがませてくれるものの、そそるような撮りかたじゃないのが不満。パロマは初老の客とセックス中に心臓マヒを起こされるシーンで、オッパイがチラッ。しかも全裸のまま胸と陰毛のあたりを腕で隠して助けを呼ぶポーズもあって、けっこう興奮なのだが、好みのタイプじゃないのが惜しい。プールでは赤いハイレグのビキニを披露してくれるも、プロポーションだって平均程度かな。キムはガブリエル相手とモン相手のベッド・シーンが二度あり、ともに全裸になっているのに、はっきりとボディーをみせないまま。フリアはシャワーを浴びるショットで、背中から撮っていてお尻モロだしなのだが、オッパイは隠れた状態。といった感じで、むしろ四人のブラやスリップなどの下着姿や、パムとキムの白パン、キムの黒パンなど、脱いでないシチュエーションのほうがそそるくらい。
　ハズレ作品だ。