ＰＨＯＮＥ　ＳＥＸ
　
99年：リーガル・エンターテインメント
監督：ホセ・ハヴィエール・レイエス
主演：アラ・ミナ
　　　 サマンタ・ロペス
　　　 ジョン・アパシーブレ
　　　 リー・ロビン・サラザール
　　　 マリタ・ソベル
　　　 マイク・マガット
　アラ・ミナがテレフォン・セックスをすると聞いただけで勃起してくるから、これは必見の作品であると確信してしまう。ファンにすれば、あまりにも嬉しい企画だ。
　アラの役どころは平凡な主婦だから『団地妻』シリーズのような作品か（とはいっても、このシリーズを一本もみたことないのだが）と勝手な想像をしてしまうが、もう少し真剣に女性の自立を考えた作品だった。もっとも深く心理を掘りさげるまでにはいたっていないし、中途半端な仕上がりに終っているのが残念。思いだしてみれば70年代の終りにアメリカでもフランスでも女性映画のブームがあったが、あのときの『さよならの微笑』のような飛んでる女性をフィリピン映画に求めるのは無理としても、『結婚しない女』のような主人公が意思を強くしていく過程は描けるはずで、ポール・マザースキーとホセ・ハヴィエール・レイエスを比較するのはちょっと酷かもしれない。
　まあ最大の欠点は主人公がテレフォン・セックスを容易に受け入れてしまうシーンに説得力がないことで、まだフィリピンでは日本のようにイタズラ電話や迷惑電話は少ないのかなあとも思ってしまう。ストーカー（個人的にはこの言葉が嫌いで、タルコフスキーの映画じゃなし、はっきり痴漢とか変態と呼ぶべきだといいたいのだが）という存在も。日常に退屈しているというよりは、自分を性欲のはけ口ぐらいにしか扱っていないリー・ロビン・サラザール演じる夫への軽蔑意識と、自分のみじめさのようなものを表現することには成功しているのだが、それでもわいせつなささやきをしてくる電話に抵抗感は示すにしても、応じてしまうのはヘン。いきなり一回目ではなく、なんとく悩みを聞いてくれるような話し相手となって、それからテレフォン・セックスに発展してしまうというような構成にすべきである。一度、快感にもだえてしまえば、次から電話を心待ちにしてしまう心理にも納得がいくし、直接会ってセックスするなりゆきにも疑問が生じないはず。
　サマンタ・ロペス演じる欲求不満の隣の女性が浮気するエピソードも、夫の自殺という結末が血生臭くて、ドラマティックにしたかったのだろうが、もっとほかの展開はなかったとかと思わせてしまう。個人的にはしっかり人間ドラマを描こうとする場合、人の死を安易に取り入れてはいけないと感じているだけに。
　でもマリタ・ソベル演じる家政婦がいて、車があって、息子一人という中流よりやや下くらいの核家族化が始まっているマニラの生活ぶりが興味深いし、フィリピンにも主婦の倦怠現象が起きていることがわかるし、バランガイと宗教の関係やバクラの存在など興味深い点はいくつかある。
　それに何といってもアラのテレフォン・セックスが見せ場なのだから、他の要素なんてどうでもいいじゃないかとも思ってしまう。
　始まってしばらくして、夫がセックスを強要してくるシーンでアラはパンティーを脱がされ、ノー・ブラのシャツをめくりあげられると吸いすきたくなるような乳首がバッチリおがめて、早くもサーヴィス精神に嬉しくなってしまう。あとで夫の愛を確かめようとするシーンでもオッパイ全開だが、パンティーをはいたままの浮きでたヒップラインが驚くべきセクシーさ。肝心のテレフォン・セックス・シーンになると、相手を演じるジョン・アパシーブレの裸のほうが多くて、パンツに手を入れてオナニーする描写など実に意味深で、もっとアラを魅力的にみせてくれよと声をだしそうになってしまう。二回目以降もジョンの全裸のほうに重点が置かれていて、勘弁してくれよという感じで不満。アラがもだえる姿は、もちろん興奮ものだが。でも二人が直接会ってのセックス・シーンで、いよいよ全裸にされたアラが座位で抱き合い、騎乗位はないもののセクシーさに爆発しそうになってしまう。他の作品も含めていえば、アラほど座位と騎乗位が絶品な女優はいないのではないか。もみがいのありそうなオッパイの形と揺れかたが理想的だし、くびれからくるお尻の割れかたが美の極限に達している。個人的な好みもあるだろうが、決して大げさな表現ではないと思う。またうつむせになったアラをジョンがなめる描写が鼻血もので、口からのばした舌の動きがお尻の割れめにきて、もしアナルをなめたらどうしようと心臓がバクバク状態に。
　サマンタが共演しているのだから、当然、彼女も脱いでくれるだろうと期待していたが、おみごと予想通りだった。マイク・マガット演じる浮気相手との昼間からのセックス・シーンで、自らオッパイをペロッとだしてくれると、まずオーッと歓声。乳首を露出しながらも、ブラはつけたままパンティーを脱いだ姿が妙にエロティックで、そのまま抱かれてベッドでからむと、一瞬アナルまでみえたのではないかと思わせるお尻のアップに目が釘づけに。これ以上ないオマケのサーヴィスだ。
　今回もまたアラのセクシーさの前に、作品のできなどどうでもよくなってしまった。