ＰＡＴＩ　ＢＡ　ＰＩＮＴＩＧ　ＮＧ　ＰＵＳＯ？
（心臓の鼓動が同じなのか？）
　
85年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：レロイ・サルヴァドル
主演：シャーロン・コネータ
　　　 ガビー・コンセプション
　　　 チャリト・ソリス
　　　 エディー・ガルシア
　　　 ディーナ・ボネヴィー
　　　 エドゥ・マンザノ
　　　 ジョベル・サルヴァドル
　　　 レイ・“ＰＪ”・アベリアーナ
　　　 ジョエル・アラノ
　シャーロン・コネータとガビー・コンセプションのコンビによる、まわりくどい復讐劇。ヘレン・メリズのエスペシャル・コミクスに載った原作をオルランド・ナドレスが脚色し、レロイ・サルヴァドルが演出だから、いかにもつくり話が目だつのは当然か。
　ガビー演じるのが巨大企業の御曹子で、エディー・ガルシア演じる祖父を恨んでいる。ロメオ・リヴェラ演じる父がエディーにはずかしめを受けて自殺のうえ、ローズマリー・ヒル演じる母がとめようとして事故死。ジョベル・サルヴァドル演じる最愛の妹が記憶喪失に陥っているのだが、これもエディーが原因しているようす。会社のあとをつがせるべくエディーが、ディーナ・ボネヴィー演じる重役の令嬢との交際をガビーに仕組むなど、自分の意図どおりに動かそうとなるながら、ガビーが反発。
　との設定において、シャーロンがエディーの屋敷のメイドを演じる。ジョベルの友人でもあったシャーロンにガビーが協力を仰ぎ、エディーに無許可で二人が結婚。怒り心頭にさせると、エディーがガビーへディーナと一緒に海外出張を強制し、ガビーが不在の間にシャーロンをメイドあつかいに戻す。
　いっさい自我を主張することのなかったシャーロンが、きっぱり「私は夫人です」との意志を示すにいたる、弱さから強さへの脱却を描くドラマといえる。
　ほかにも多くの登場人物がキャラクターを変えていくのが特徴をなし、つっけんどんだったガビーがシャーロンへの愛に目ざめてやさしくなり、お高いディーナがガビーを思いやることで理解をみせる。チャリト・ソリス演じる従順そのものなメイドのチーフや、イヴリン・ヴァルガス演じるおとなしいメイド、レイ・“ＰＪ”・アベリアーナ演じるガビーの指導的立場にいる友人、といったエディーに信頼の厚いものまでがシャーロンとガビーの援護にまわり、全員ででていく静かな抵抗を実行に移す。
　一方で、ガビーとディーナが最初に現われるときの極端な単細胞ぶりがバカっぽく、内容を薄めているのは確かなところ。アメリカから帰国したガビーが祝いの席を無神経に立ち去ったり、シャーロンの運んできたジュースをたたき割るかたくなさ。ナティー・サンチャゴ演じる母とともにディーナがシャーロンに対して横柄に接し、結婚式を控えるシャーロンへヴィッキー・スバ演じる仲間と皮肉をいう意地悪さといったシンプルな性格づけに、あきれるばかり。
　ジョベルへ向いたガビーの愛情表現も、いささか度をこえている。
　シャーロンとジョベルがバタンガスへ旅行したとき、ジョエル・アラノ演じる漁師と出会ってジョベルが将来を誓い合い、その駆け落ち現場へエディーの手下が踏みこみ、ジョエルが松葉杖の身にされた。ジョエルとの再会でジョベルの記憶が戻るに違いないと、ガビーが頼んでもヴァンジー・ラバラン演じるジョベルの母が断るあたりは納得なものの、エドゥ・マンザノ演じる主治医が懸命に説得して承諾をえる。どことなくエドゥがジョベルを好きな暗示を含んでいるだけに、ジョエルとの三角関係を無視の構図はどんなものか。
　まったく、全体的にイマイチな印象はぬぐえない。
　ただし、ありがちな銃をもちだすクライマックスではなく、人間はカネに縛られない面があるとの意地をエディーにわからせ、孤立化へ追いこむラストはそこそこに冴えたようだ。
　まあ、ガビーとディーナが日本滞在のエピソードで、はなぞのというレストランへ行くのが、ちょっとぎごちない店員の日本語でマニラにあるものだろうと想像させる。ディーナがホテルでテレヴィをみていて、関西のヴァラエティー番組が流れている点に、ヴィデオ録画をつかったのだろうが、苦笑い的おかしさが感じられた。
　とにかく嬉しいのは、ガビー宅のプールにおいてディーナがワンピース水着を披露するウハウハさに尽きる。相変わらずのキュートなナイス・ボディーにうっとり。シャーロンは表面的な結婚で寝室を別にしていたものの、酔った夜にガビーとセックス、翌朝にハダカで寝ているのに気がつくシーンが挑発をくれる。シーツをボディーに巻いて起きあがると、ガビーにバサッとシーツをはぎとられてオッパイを隠すポーズが、当然、乳首はみえないながら、なんともセクシー。シャーロンとジョベルがビーチで遊ぶところでは、ジョベルがかわいいだけに、水着じゃないのが残念だった。
　それにしても女優の魅力で、映画はときめきをくれるなあ、とあらためて実感。