ＰＡＲＥＨＡＳ　ＡＮＧ　ＬＡＢＡＮ
（対等なレヴェルで戦う）
　
01年：ソーラー・フィルムズ
監督：ウィリアム・Ｇ・マヨ
主演：イアン・ヴェネラション
　　 　ジョン・レガラ
　　 　デイジー・レイエス
　　　 アンジェラ・ヴェレス
　　　 ブランド・レガスピ
　　　 ジョン・アパシーブレ
　　　 アレックス・ボラド
　異常性格者が正義漢を襲うという、アクション映画のパターンものの一つ。同様のアメリカ映画を下敷きにしたかなと推測するも、冒頭がミンダナオのテロとの対決なのがフィリピンっぽい。ジョン・レガラ演じる軍人が、襲撃戦で頭がおかしくなって民間人を殺害し、軍法裁判で有罪にもなるも精神錯乱から病院送りの処分に。偶然の出来事から輸送中に脱獄すると、イアン・ヴェネラション演じるかつての同僚を狙ってくるわけである。
　主人公のイアンは軍隊を辞めて特殊部隊の警察官となり、麻薬取り引きや偽札印刷の捜査などで活躍するのだが、二つあるその現場への襲撃シーンをハデにして、まずウィリアム・Ｇ・マヨ監督がＢ級らしい見せ場をつくろうとしている姿勢が評価できる。ただし、これらドンパチ・シーンが幹であるストーリーの外にあるため、しょせん主人公たちが悪をやっつけるに決まっていて、ハラハラしないのが残念。
　構成上、甘いと感じる。
　デイジー・レイエス演じる妻が登場して、イアンの家庭描写を盛りこむあたりはまあまあだが、かつてジョンもデイジーに求婚してフラれていたという過去を紹介し、そのとき花束を握りつぶすしぐさなどから、両親がケンカがちだったという回想が挿入されるものの、ジョンは先天的野獣じゃないかと思わせるあたりもイマイチである。
　それにデイジーや警察の仲間たちが連続殺人にあったあと、ケネット・ラモス演じる息子を誘拐されたイアンがジョンと対決するクライマックスで、先に駆けつけていたアンジェラ・ヴェレス演じる女性捜査官をイアンがいとも簡単に助けたり、そのアンジェラがケネットをまた安易に救出するのにはシラけてしまう。アンジェラが舞台になっている倉庫の荷物移動機を使ってうまくジョンを宙吊りにするアイディアも、タイミングの取りかたにサスペンスがなく、なんでこんなに演出がヘタなの、と驚くほど。
　いやはや基本を学び直してほしい、とも感じる。
　もっとも目的はデイジーとアンジェラという大ファンの二女優共演なので、そちらで満足させてくれれば文句はない。
　デイジーはイアンとのベッド・シーンが二回設定されていて、いずれも脱がないのはわかっているにしても、きわどい露出すらなく、いささか期待はずれ。でもジョンにショット・ガンを向けて自己防衛するあたりなど、キリッとした魅力は満喫させてくれる。
　アンジェラのほうはさすがにセクシー・ダイナマイトらしく、まずイアンの上司という役どころが面白いうえ、偽札犯たちの情報を聞きだすために警官たちがディスコ・パブへ行くシーンでは、ダンサーにバケてダイナミックにボディーをクネらせる水着のステージを披露。先に踊っていた女性たちが大胆なＴバックだったのに比べて、ボトムがややホット・パンツに近いタイプのビキニなのが不満だが、ブラからこぼれそうな胸の谷間など、アンジェラのパワーにビンビンビンの悩殺状態。それをみていたアレックス・ボラド演じる警官の一人がトイレへ行くのもうなずけるところ。
　こりゃあ、誰だって我慢できないよ。
　ジーンズからうかがえるプロポーションも決まっていて、アンジェラに目が釘付け。
　あとジョンが安ホテルで売春婦を惨殺するエピソードがあり、被害者を演じたエレイン・ディゾンが全裸になってくれるが、これはオマケ。
　まあ暗い色彩でムードを醸しだす部分がそれなりに効果をあげていたり、イアンとアンジェラが簡単に結ばれないなど、意外とハードボイルドだったりして、楽しめる要素もそれなりに持っている作品だといえよう。