ＰＡＲＡＮＡＱＵＥ　ＢＡＮＫ　ＲＯＢＢＥＲＹ
（ＪＯＳＥＬＩＴＯ　ＪＯＳＥＣＯ　ＳＴＯＲＹ）
　
93年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：アルヘル・ジョセフ
主演：ガーリー・エストラダ
　　　 チャリト・ソリス
　　　 エディー・ロドリゲス
　　　 ジーン・ガルシア
　　　 ドニータ・ローズ
　　　 ロイ・ヴィンゾン
　　　 ダニエル・フェルナンド
　　　 ハイメ・ガルチトレナ
　フィリピン映画得意の犯罪実録ものだが、悪の権化のほうでなく、やっつけたほうが主人公になっているのがユニーク。１９９３年４月28日にパラニャケの銀行を襲った五人組の強盗を、たった一人で退治したセキュリティー・ガードのホセリト・ホセコの物語であり、ホセリト自身がストーリーを担当し、多少の誇張はあるものの、自伝なのだろう。
　ガーリー・エストラダ演じるホセリトが大の映画ファンで、とくにフェルナンド・ポー・ジュニアにあこがれるのが興味深い要素。ヴィサヤにいる頃、ジーン・ガルシア演じる恋人とデートで映画に行くも、あまりに夢中になってジーンがあきれる。マニラへでてきてからも、ドニータ・ローズ演じる恋人と映画をみるときに、ドニータが「シャーロン（・コネータのロマンスもの）がいい」といっているのに、ガーリーが「フェルナンド（のアクションもの）だ」と主張でケンカしている。女性におけるシャーロン、男性におけるフェルナンドの人気がうかがえるよう。たまたまフェルナンドのロケ現場にでくわし、ガーリーが仕事をさぼって見物に行ったからクビになるあたりも、さもありなん。ふきかえの役者がフェルナンドを演じてみせる。
　物語はエディー・ロドリゲス演じる父親が水田で作業中に水牛の角に刺されて死んでしまい、仕方なくチャリト・ソリス演じる母親とジーンを残し、ガーリーが仕事を探しにマニラへでる。そこで引ったくりの洗礼を受けるも、ラフィー・ロドリゲス演じるセキュリティー・ガードと知り合い、射撃を特訓で同じ職業につく。途中、ジョン・ヘルナンデス演じる不良たちにジーンが殺されてしまうエピソードや、カガヤン・ヴァレーに勤務で盗賊を退治のエピソードを経て、ドニータ・ローズ演じるラフィーの妹と結婚する。そしてラフィーが銀行強盗たちに射殺されたため、ドニータの心配もよそに、復讐の意図もあって、あえて危険な銀行勤務を申しでる。映画はロイ・ヴィンゾンを首領に、ダニエル・フェルナンド、ハイメ・ガルチトレナ、ルエル・ヴェルナル、ダン・フェルナンデス演じる銀行強盗たちの犯行ぶりを並行して描いていたが、ついに対決のときがやってくる。
　『ダイ・ハード』の影響かどうかは知らないが、ガーリーがスーパーマン的なヒーローではなく、ケンカは強いものの普通の男で、死を恐れているし、襲撃のときにたまたまトイレにいたから、抜けだして無我夢中で闘って五人を全滅させるあたりは好意的な印象を抱かせる。まあ、それだけの作品で、とくにどうってことはない。
　本来は美人のジーンとドニータが出演を目的にみたのだが、ジーンは池につかって裸でガーリーと抱き合うシーンがあるのが嬉しい。オッパイはみせてくれないが…　ドニータはいっさい露出なしなものの、とにかくキュートな容貌でドキドキをくれる。
　あと銀行員の一人をテレサ・ロイサガが演じていて、いつもながらの大人の色気を発散している。