（賭けのときに条件を同じにする者）
00/01年：ＭＭＧフィルムズ・インターナショナル
監督：ＪＲ・レデスマ
主演：ロナルド・ガン・レデスマ
レイ・“ＰＪ”・アベリアーナ
アンジェラ・ヴェレス
レス・コルテス
ロミー・ディアス
ブランド・レガスピ
ハナジェン・ヴィリアーメ
ヨヨイ・ヴィリアーメ
ルディー・ドミンゲス
ヤム・レデスマ
エルヴィン・マテオ
レーイ・ロルダン
かつてジョン・ブアマンの『ポイント・ブランク 殺しの分け前』あたりからアクション映画というのは、どちらかというとＢ級のほうが面白いと思うようになったのだが、当たりの確率が低いことも事実。フィリピン映画の場合、最初からＡ級は存在しないともいえるわけで、小気味よい演出のキビキビしたＢ級作品を期待する。
『Ｔｕｍｂａｄｏｒ』という大ハズレ映画のスタッフがつくった作品だから、またダメなんじゃないのと感じつつも、大好きなアンジェラ・ヴェレスが出演しているからみてしまった。
監督のＪＲ・レデスマがどういう経歴を持っているかはわからないが、主演のロナルド・ガン・レデスマといい、主題歌を歌うヤム・レデスマといい『Ｔｕｍｂａｄｏｒ』と同じメンバーで、あの作品で監督だったローランド・レデスマもチョイ役で出演しているようなので、これはファミリー・ピクチャーかと思う。まあ、あまりほめられたような演出ではない。それにヤムなど、前作でもラストにえんえんと歌が挿入されていたが、今回は自らが出演し、殺害シーンが情感たっぷりに描かれたあと、ＭＴＶまがいに歌の紹介が続くのだから、身内でようやるよという感じである。ヘソだしのピチピチ・パンツで拳銃の回転撃ちをして、半ケツになりそうなハッとするカットがあるものの、もうちょっとダイエットが必要なんじゃないかという体形だから、歌だけにしておいたほうがよかったのでは…
物語はクーデター未遂を扱うもので、Ｂ級にしては無理がある。レス・コルテス演じる“セクレタリー”と呼ばれる日本の大臣にあたる役職の一人が、レイ・“ＰＪ”・アベリアーナ演じる変装の名人に依頼して将軍を暗殺させ、その罪をアンジェラ・ヴェレス演じるセクレタリーに押しつけようとする。レイがアンジェラにバケていくシーンでは鏡の前でカツラをつけると、下着姿のアンジェラに変わるからドキドキ。
それにしても国家レヴェルの陰謀であるのに、セコい方法をとるものだと思わせるだけでなく、閣議を開く部屋のインテリアのチャチさなど、企画が背伸びするとこうも説得力を欠くのかという見本みたいなもの。主人公の別荘へ船でアタックのシーンなどの銃撃戦が小人数なのも、犯罪シンジケートとの対決なら違和感ないが、ロミー・ディアス演じる将軍が指揮しているのに、これじゃスケールのケタが違うぞとあきれるばかり。アルトゥーロ・アニャス演じる大統領に貫禄がないのもきついし、集まった民衆のカットがエドサ革命のときのニュースからいただいたヴィデオ映像だから、まったくのどっちらけ。身のほどをわきまえるという言葉を思いだす。Ｂ級なんだから。
ロナルド演じる主人公は大金持ちのビジネス・マンだが、実は“パナブラ”と呼ばれる影の仕事人という役どころ。最初の登場シーンで忍者と対戦していてオイオイと驚かせるが、実はサヴァイヴァル・ゲームで腕をみがいていたという設定。警備のヴィデオに映った姿を検証してアンジェラの冤罪を証明するも、今度はレスがブランド・レガスピ演じる殺し屋に自らの急所をはずして撃たせ、またも罪をなすりつけてくる。ブランドがロナルドとの対決に敗れて死ぬところでは、ベルナデット・スルバン演じる妻とクリスティア・マリー・ペレスとジャージャ・アリマド演じる二人の子どものことを心配して湿っぽくなり、ＪＲ監督は妙な部分に力を入れるものだ。
結局、ロナルドが大統領にバケてレスらの陰謀をあばくのだが、顔のマスクをバリバリッとはがして、実は… となるのは『スパイ大作戦』というか『ミッション・インポッシブル』のマネだろう。どうしてそっくりに変装できるわけといった理屈などはさておき、人を食った話は決して嫌いじゃないが、いくらなんでも『ミッション・インポッシブル』と比べるとアイディアに欠ける。やる以上はもっと奇想天外にしてくれよ、と不満ばかりが残る作品である。
それに一番の目的だったアンジェラだが、メガネをかけて知的なイメージをつくっているのが、けっこうサマになっていてみごと。ヘソだしルックやジーンズ姿がキュートなのは、服を着ているにもかかわらず勃起しそうなくらいのセクシーさ。ただロナルドとのベッド・シーンではシーツで乳房を隠しっぱなしで、エーッとガックリ落胆の露出の少なさに、ほんんど欲求不満が起きる。ロナルドの別荘にプールがあるのに、水着姿すら披露してくれないのだから、あまりにもファンの気持ちを理解していない。ヘリコプターで敵に拉致されるシーンでは、ハダカにひんむかれてレイプされるぞと予想するも、それすら期待はずれで、映画は80％以上の幻滅。
ああ、わざわざみるんじゃなかった。
中佐を演じるハナジェン・ヴィリアーメがちょっと色っぽいのが気になったが、やっぱりヌードにはなってくれなかった。
