ＰＡＬＡＢＲＡ　ＤＥ　ＨＯＮＯＲ
（名誉のためのフレーズ／約束を守る人）
　
(83)年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：ダニー・シアルシタ
主演：エディー・ガルシア
　　　 グロリア・ディアス
　　　 ヒルダ・コロネル
　　　 エリザベト・オロペサ
　　　 ベット・バウティスタ
　　　 アーミー・オーストリア
　　　 ジャッキー・ルー・ブランコ
　　　 ディンド・フェルナンド
　　　 ロナルド・ヴァルデス
　　　 トミー・アブエル
　　　 マーク・ヒル
　パラブラ・デ・オノールこと地位も名誉もある人たちの、実は欲の皮がつっぱった現実を描く愛欲劇。とにかく豪華な配役に注目する。
　エディー・ガルシア演じるご領主さまを軸に、ヒルダ・コロネル演じる長女は父のエディーに忠実で、ジャッキー・ルー・ブランコ演じる次女は反抗的。グロリア・ディアス演じる良家の中年女性とエディーは再婚を計画しているも、グロリアは完全に財産目的。ロナルド・ヴァルデス演じるヒルダの夫はグロリアと過去があった雰囲気で、ロナルドはアーミー・オーストリア演じる人妻と不倫中。アーミーの夫はトミー・アブエル演じるエディーの部下で、ベット・バウティスタ演じる友人の奥方を口説こうとするが、相手にされずじまい。ベットの夫はマーク・ヒル演じる労働者階級の教師で、唯一、まともな人物といえる。一方、エリザベト・オロペサ演じるエディーのことを嫌っていつも対立するビジネス・ウーマンが登場し、ディンド・フェルナンド演じるエリザベトの夫はヒルダと浮気をかさねている。エディーを困らせるために住民へデモなどを扇動するエリザベトに対し、マークに仕事をくれたエディー側のベットが憎しみを抱いている。エリザベトとロナルドには、コミュニケーションがある模様。
　との人間関係で、アクの強い役者たちがたっぷり演技合戦を繰り広げる。
　ヒルダが妊娠してセックスレスから自分の子じゃないと知るロナルドがヒルダを殴り、ヒルダがディンドを責め、ロナルドがディンドにカネを要求する。トミーに借りのあるマークにかわり、ベットがウタン・ナ・ロオブだと身体を提供しようとするが、やっぱりダメと去る。トミーがアーミーへの愛を認識し、ベットにもう迫らないと告げたとき、アーミーとロナルドの逢い引きを知る。それでロナルドをボコボコな目に合わせ、直後にロナルドが別の男に射殺されたから、トミーが逮捕。ロナルドとの密会をみられたディンドの犯行に違いないとアーミーがディンドを撃ち、真犯人発覚でトミーは釈放されるも、今度はアーミーが牢屋へ。
　なんて皮肉な筋書きの中で、いささか頭で考えたフィクション性が前面に押しでるのは、脚本のマイク・ヴェルガラ、監督のダニー・シアルシタの力量不足だろう。
　父の再婚に反対するジャッキーが、内心ではエディーを愛しているのに、あえて怒らせる態度をとるあたり、モダンなファッションで現代娘を表わすながら、このジャッキーとエディーが絆を取り戻すのが物語の核だけに、もっと突っこみがほしかったところ。スザンヌ・ゴンザレス演じるエディーの女弁護士がジャッキーの相談相手になり、グロリアがロナルドに本音をバラすのを立ち聞きしたジャッキーがスザンヌへ告げる流れも、あっさりしているのがよいとはいえ、どこか底の浅さを感じさせる。
　でもカネ持ち趣味の際だつ部分が、まずまず興味を引きつけて良好。エディーの家族が食事の描写は、さすがにルキノ・ヴィスコンティのような格調さを欠くも、亡き妻の大きな肖像画がかかる階段を中心にした豪邸のインテリアや、弦楽奏者を呼んだそこでのパーティーなど、けっこうみせる。生演奏の『ララのテーマ』があまりにヘタなのは苦笑いだが… 自家用ヘリコプターでエディーが訪問するグロリアの屋敷は私有地の島で、グロリアの親戚たちがモーターボートでやってきて、なるほど上流っぽい。スザンヌが結婚にあたってグロリアの一族と金額の話をしている点も、妙に納得を呼ぶ。エディーがグロリアに領地の美しい自然をみせ「この土地の半分がキミのものだ」といっている内容も地主ふう。
　まあ、マークが講義で学生たちに貧富の格差の問題を説いているのがテーマと推測するながら、作為の目だつイメージで買えないとはいえ、ディンドの葬式とエディーの結婚式が同時進行するラストの皮肉はけっこう生きたようだ。エディーがパラブラ・デ・オノールでちゃんと式をあげたあとにグロリアへ別れをいいわたすメンツへのこだわりから、一応は虚飾体質の批判が成りたったと評価できるだろう。
　もっとも、全編に散りばめられた女優陣のセクシーな見せ場の数々が、作品のすべてと断言しても大げさではない。エディーとのビジネス・ミーティングにおける腹立たしさを家で夫のディンドにぶつけるとき、エリザベトは着がえを始め、黒いビキニ下着のみのボディーがみごと。張りのあるバストや、しまった腹部とウェスト、切れあがったヒップラインなど、この当時のエリザベトはほれぼれするような肉体を持っているじゃないか。ディンドとベッドで会話するシーンがくると、乳首ののぞくギリギリまで露出したオッパイに目が釘づけ。マークとトミーが電話する双方のカット・バックでは、それぞれマークの部屋でベットが脚のむだ毛の、トミーの部屋でアーミーが足の爪の手入れ中。白い下着姿のベットは巨乳だから胸の迫力がすごく、ここはスリップ姿のアーミーを圧倒する。さらにベットとエリザベトは取っ組み合いのキャット・ファイトを繰り広げるシーンがあって、ともに服を破って脱がせ、ブラだけの上半身に。またも巨乳のベットがプラプラ揺らせてウルトラ級フェロモンで悩殺のうえ、スカートからパンチラも披露で鼻血ものながら、エリザベトもピタピタのスラックスを下半身に食いこませ、思わず生つばゴクリ。両者引き分けともいえるお色気合戦になっている。アーミーはロナルドと屋外のセックスで木の塀がジャマしてオッパイが隠れていたり、酔った夫のトミーが帰宅し、寝ている格好でスリップをまくられてパンティーをあらわにするも、トミーが「ハダカになれ」と暴力的に押し倒して平手打ちで気絶させたあと、胸の愛撫だけで結局ヌードがないから不満を抱かせたものの…　警察から犯人を捕まえたとの電話を無視してとらなかったという、タイミングの悪さを強調する殺人の準備をおこなうシーンで、大胆なビキニの黒い下着姿がまぶしい。適度な大きさのオッパイがつくるバストの谷間や理想的なヒップの形など、もうグチャグチャにモミモミしたい誘惑。アーミーの魅力を再確認した次第。さらにヒルダはディンドと屋外でイチャつくとき、驚いたことに池の中をＹシャツ一枚で泳いでいて、水からあがって座るとＹシャツがベッタリ貼りつき、手ではがしてみせるも、やや乳首がスケていてスゲーッ。ボトムにもペタペタで、はたしてノー・パンなのか微妙な感じがさらに刺激を増す。とくにウハウハなのはグロリアで、中年に入っているとはいえ、熟女のパワー全開とはまさにこのこと。エディーに領地を案内されるシーンで乗馬服のごとく下半身のプロポーションを浮き彫りにするピタパンだけでもムズムズなのに、滝のある池へきて「服を脱いで泳ごうかしら」とエディーを挑発する。そしてエディーが横目でみてみぬフリをする中、素っ裸で人魚のように全身をくねらせる。とにかく水中から乳首がくっきりと顔をだし、ウヒョー、やってくれるじゃないか。
　ほとんど、いつ誰の肌をさらすシーンがくるかばかりが気になって、話の進行なんかどうでもいいのが本音。なんたって、ヒルダ、エリザベト、ベット、アーミー、グロリアだから…　！
　欲をいえば一番美人なのはジャッキーだけに、チラリズムでもいいから脱ぐシチュエーションがほしかったのは事実。もしジャッキーのセミ・ヌードが含まれていたなら、手放しで絶賛の声をあげたのは１００％間違いない。