“ＰＡＨＩＲＡＭ…　ＫＡＨＩＴ　ＳＡＮＤＡＬＩ”
（貸して　ちょっとの間）
　
98年：リーガル・エンターテインメント
監督：マリオ・Ｊ・デロス・レイエス
主演：クリストファー・デ・レオン
　　　 アラ・ミナ
　　　 アリス・ディクソン
　　　 ルーカス・レオナルド
　　　 カリダッド・サンチェス
　　　 アリ・ソット
　　　 レス・コルテス
　　　 ウィニー・コルデロ
　　 　ニカ・ペラレホ
　　 　ジョヴィー・ロング
　　 　ダニエル・フィゲロア
　　 　ジェリー・オハラ
　おそらくアラ・ミナのセクシーな魅力が炸裂しているという意味では、トップの作品の一つだろう。だから何なの的な浮気劇だが、ストーリーや演出なんてどうでもよく、ただアラに目が釘づけ。
　クリストファー・デ・レオンとの共演で、アラはホーム・ページの中で好きなローカル俳優にクリストファーをあげているから、相手役として最高かもしれない。
　スーパーの役員がクリトファーの役どころになり、アンヘレスの店へ出張に行ったときにたまたまアラと知り合う。アリス・ディクソン演じる妻に「疲れているから」とセックスを拒まれがちな日々で、しかもその妻が仕事で留守にしていたときだったのと、アラがルーカス・レオナルド演じる恋人とケンカ別れした直後だったことから、酔った拍子にセックス。それ以来というもの、やさしいクリストファーにアラが夢中になり、妻がいるとわかっていながらもアタックをかけてくる。どちらかというとアブナイ状況を避けていたクリストファーは、アリスとの夫婦生活を大切にしようとするが、誘惑に負けがちなうえ、アラが睡眠薬の飲みすぎで入院したりで別れられない。通話記録の明細から浮気に気がついたアリスは、アラに会いにアンヘレスへとやってくるものの、普通なら「よくも私の夫に」ととっくみ合いのケンカになるところだが、クリストファーの妻だと告げずに親切に接し、アラが悪い子じゃなかったため、帰りの車の中でポロポロ泣く。ルーカスが戻ってくる設定になって、映画はよくある最後は元のさやへおさまる展開か、との予想がつき「なーんだ」といった印象だが、実はちょっと尊敬を抱いたアリスが不倫相手の妻だったと知ったアラは、家まで謝りにきて、アリスから「あなたを許すわ」の言葉をもらうと、二人は和解する。
　一時の間違いを扱う大人の恋愛劇だといえるかもしれないが、ストーリー的にはほとんど評価する要素はない。
　ただクリストファーとアリスが料理に凝っているというキャラクターづけに、意外な面白さを感じる。
　フィリピンが料理のまずい国なのは有名だが、確かにレストランなど「失敗したあ」と感じさせるケースが多い。やたら友人、知人、恋人がいるから、複数の家で食事していて家庭料理にも内容や味つけの好みにけっこう傾向の違いがあることを実感しているものの「ここはちょっとおいしいな」と思わせることはあっても、驚くような美味には遭遇していない。かなりのフィリピン人がいつも同じメニューばかりで、食への冒険心を持っていないから「こりゃ、繊細な味覚がわからないのは当然だわ」と妙な納得をしてしまい「アメリカ人なみの味オンチなんだろう」とのイメージもわき起こってくる。もっとも日本人だって海外へ行っても和食しか受けつけない者がいるし、自分がフィリピン人の間で「何でも食べるね」と歓迎されていることから、やたら「まずい」と文句ばかりいったり、あれは「イヤだ」これは「イヤだ」と食わず嫌いな日本人がけっこういる事実が目に浮かぶようでもある。
　思えば友人のフェロリン杉浦のように食に命を賭けるほど精力を傾け、隠し味に何を使っているかまで判断できる舌の持ち主は別格で、ああなると世の中の料理の８割は満足できないのだから、カネばかりかかるし、かえって不幸なんじゃないかとも想像するが、自分だって食への興味が高じて「本場の麻婆豆腐が食べたくなった」と成都まで行き、「餃子が食べたくなった」と瀋陽まで行き、「フィッシュ・カレーが食べたくなった」とスリランカまで行き、といったバカな旅行をしているから、人のことはいえないかもしれない。でもそれほど味覚が発達しているほうじゃなく、調理法などさっぱりわからないし、素材の違いだって意外なほど気がついていない。にもかかわず某雑誌のグルメ記事を書いていたし、今は某スポーツ新聞のレストラン情報を担当しているから、メディアで紹介されるおいしい店というのは信用しないほうがよい。
　なんて話はさておき、フィリピンにも食を第一に置いている者がいるのは当たり前の話で、カニ、魚、野菜、肉を洗い、切り、調理し、盛りつけていくトップ・シーンから、やたら料理がでてくるのは興味深い。
　クリストファーがアラの家でココナッツ・ソースのカレーをつくり、それを口にしたアラがむせるところは、フィリピンで辛いものが苦手な者とよく出会う経験を思いだす。アラ本人は、イタリア、日本、フィリピンとともに、タイ料理をお気に入りとしてあげているが…
　アラの食べているデザートを「インスタントだ」と非難のうえ、料理を教え、どれどれ「味見しよう」とチェックし、それでクリトファーにほめてもらおうとアラが時間をかけてつくった日に、待てどもこなかったからぶちゃけるシーンなど、ちゃんと料理を小道具として活用しているのは感心。
　アリスがアラと会ったあとも、やはりアラに料理を指導し、バゴオンやアティスを使って調理していくようすなど、好奇心のかたまりになりそう。アラがスーパーの食品売り場でチキン・ナゲットの試食販売をしていたり、肉の加工工場や、食品をパックする工場の現場など流通の裏側も登場で、ラストはクリストファーとアリスら家族によるディナー・シーンで終わるから、日本のフィリピン紹介グルメ番組ならスタッフの切り口と味覚の解釈をまったく信用していないからみる気にもならないが、映画として食を背景にセットしたことは成功のようだ。
　それでもアラの魅惑的なボディーの前では、副次的な要素としてかすんでしまうのはしょうがないか。
　全編各所へのヌードの盛りこみかたは文句なし。
　まず最初に酔ってセックスとなるところではブラまでなものの、翌朝、シャワーのあとにバスタオルを巻いてでてくると、クリストファーがみないように反対向いている間に白いパンティーをはくのだが、キュッとヒップが切れあがり、そのうえに黒いピチピチのホット・パンツを重ねると、お尻の肉が横からハミでるのが色っぽい。たいした露出じゃないが、早くもビンビンに。
　クリストファーが手料理をごちそうしたあとのセックスは、テーブルの上でシャツをまくりあげると、アラの腹や胸にキスをする。そのまま続いてベッド・シーンにかわり、ほとんど信じられないくらいのウハウハ・ショットがつながれている。全裸のアラがフェラチオをするときに、お尻をつきだすポーズを斜めうしろから撮っているのだが、もし照明で暗くしていなければ、おそらくアナルもオマンコもみえていただろうと思えるもの。さらにオッパイがクリストファーの首のあたりをこすり、うわー、気持ちよさそう。
　ああアラ、そんなことまでしていいわけ。
　クリストファーの家へ電話し、アリスがいるのでクリストファーが会社の部下からのフリをするというありがちなゴマかしの場面は、アラのランジェリー姿がキュート。
　待っていたクリストファーがやってきて、嬉しさから抱きつき、そのままクリストファーがアラを持ちあげたまま歩く姿では、ミニからアラのパンティーが丸だしで、これがややスケたものだから目がテンになる。
　ケーキを体にぬりたくっての愛撫を始め、アラのおヘソにゼリーが一個落ちると、クリストファーが吸って食べるしぐさがそそるが、ここはクリームでベタベタにしたクリストファーのお尻をアラがペロペロする光景にゲーッ。
　料理したのにクリストファーにすっぽかされたあとのシーンでは、むなしく一人で寝るのだが、まずアラは服を脱ぐと白いビキニの下着になり、浮きあがるヒップラインがみごと。ベッドの横までくると、ブラをとって、惜しげもなくオッパイを全開。あのモミモミ、チュッチュしたい美乳がそこにあるわけで、もはや冷静ではいられない。しかも睡眠薬を飲んで眠っている姿で、またもパンティーを丸みえにしているじゃないか。
　もう完全にノック・アウトなのだが、セクシー・パンチはまだまだ許してくれない。風呂に入っているクリストファーの横でネグリジェのアラが体を洗ってあげているところで、スーッと立ちあがって自分も全裸になると、オッパイどころか陰毛もバッチリ。その陰毛を隠そうともせずにバス・タブへと入ると、前かがみになってクリストファーに体を乗せてくるポーズでオッパイがプルンプルンと揺れる。カメラが真上からのポジションに変わると、バス・タブの中には全裸のアラがいて、お尻の割れ目をクリストファーの指が愛撫する。
　ああアラ、陰毛までみせていいわけ。
　肉体的な興奮だけでなく、精神までパーになりそう。
　いやいや、さらにダメ押しのカウンター・パンチがある。ルーカスが戻ってきたあとのセックスでは、全裸でベッドにいるアラのお尻をくねらせたポーズが度を越えてエッチ。ルーカスがそのお尻をなでなでするしぐさがドキドキもののうえ、アラが上を向くとオッパイがアップになる。しかも乳首がドバーンと画面から迫ってきて、もはや唖然、ため息がでるばかり。精液ドピューッ、なんてレヴェルをはるかに凌駕している。
　アリスの家へ謝りにきたときのジーンズのカッコよさにもうっとりで、中身をみたあとでも想像力を刺激するあたり、魔法にでもかけられた気分。
　ああアラ、美しすぎて、ミス・ユニヴァース、ミス・インターナショナル、ミス・ワールド、全部あげてもたらない感じ。
　さすがにアラの前ではアリスも形なしだが、家族でプールへ行くシーンがあって、水着の上にロングＴシャツを着ているのはオイオイと思わせたものの、濡れてＴシャツが貼りつく姿が刺激的。スライダーからすべり落ちたあとには、ボトムがホット・パンツ風の露出の少ないセパレーツ水着なものの、ヒップに食いこんでいる瞬間もみせてくれて、嬉しいサーヴィスじゃないか。
　それにしても、アラ三昧のみごとな内容に、心の底から満足で予想以上の納得。ほかの要素など、オマケ程度といえよう。
　なお、クリストファーが髪の毛の生え際が後退し始めたのとともに、お腹の肉のたるみを気にしている設定になっているし、レス・コルテス演じるカロリー過多で倒れる人物もでてきて「健康に悪影響のないような食生活をしましょうね」というのはフィリピンも同じようだ。インタヴュー記事で読んだが、アラは体型を維持するために運動を日課にするだけでなく、ライスを食べないことにしているというから「セクシー・スターの座を維持する努力は大変だなあ」と感心。美と健康のために、食を犠牲にできるアラのプロ根性はエライ。