ＰＡＧ−ＩＢＩＧ　ＫＯ　ＳＡ　ＩＹＯ’Ｙ　ＴＯＴＯＯ
（キミへのボクの愛は本物だよ）
　
(96)年：ＶＩＶＡフィルムズ／マホガニー・ピクチャーズ
監督：ロミー・Ｖ・スサラ
主演：ラモン・ボン・レヴィーリア・ジュニア
　　　 ナネット・メドヴェド
　　　 ドンナ・クルース
　　　 ティルソ・クルース・３世
　　　 ジョージ・エストレガン（ジュニア）
　　　 パキト・ディアス
　ラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニア主演のアクション映画で、ヒロインが途中交代する。
　ボンは刑事役になり、ナネット・メドヴェド演じる相棒とともにボンバー・モランなどが悪党を演じる麻薬取り引きを壊滅させ、エルニー・サラテ演じる上司の賛辞をうける。一方、ラミル・ロドリゲス演じる実業家がパキト・ディアス演じるシンジケートのボスから不法な事業をもちかけられるも、きっぱり断わる。ラミルが誘拐され、ボンとナネットが対策にあたる。ドンナ・クルース演じるラミルの娘が人気歌手で、身代金をドンナが運んでこいとの指令に、ナネットが娘にバケておもむき、隠れていたボンたちと救出のうえ、本拠襲撃でパキトを射殺する。ボンとナネットはデクスター・ドリア演じるナネットの母も認める恋仲で、ラミルの礼金によって香港旅行を決めるが、空港へ向かう際にナネットが強盗事件をみかけ、警官の本能でとっさに逮捕に乗りだし、ナイフで刺殺される。ボンが荒れまくり、酔ってケンカの日々になる。そんな間にもティルソ・クルース・３世演じるパキトの息子が復讐を誓い、ラミルの身辺を狙うのみならず、家族の殺害を予告してくる。立ち直るきっかけもあってエルニーがボンにドンナの保護を命じ、ベルティン・ラブラが管理人を演じる田舎の家にかくまう。ドンナが鳥かごのような生活を嫌がって抜けだそうとするが、そのたびにボンが連れ返す。でも次第にボンの腕っ節の強さに頼もしさを感じ始め、ナネットを忘れられずに悩む姿に人間味をおぼえ、非があれば謝る素直な性格に引かれていく。やがて二人に愛が芽ばえるも、ジョーイ・ガルヴェス演じるドンナのマネージャーをたくみにダマしたティルソが居場所を聞きだし、手下と襲ってくる。ボンが早撃ちでティルソを倒すと、今度はジョージ・エストレガン演じるティルソの弟の攻撃に合う。
　ラミルの誘拐捜査でボンがミア・グチェレス演じるラミルの妻に会うとき、ドンナにも挨拶するや、理由もなくドンナが顔をそらしているのが、あとの感情的対立の伏線とはいえ、あまりにわざとらしい。ティルソ一味にベルティンが血祭りにあげられる無駄な殺人が不愉快。ボンがドンナに射撃を教えるシーンがあって、最後にドンナが銃をとるのかと思えば、ジョージの首に時限爆弾をかけるのみで撃たないまま。なんて突っこみたいマイナスがいくつか目立つ。イダ・ヤネサ演じる家政婦を巻きこんでドンナがベルティンの料理に下剤をまぜ、ボンじゃなくベルティンが犠牲になるコメディー部分が冴えず、ティルソ死亡の知らせにジョージが悲痛の表情をつくる、彼ならではのオーヴァー・アクトのほうがおかしいくらい。ジャングルを逃げるボンとドンナにジョージたちがバイクやジープで迫り、マシンガンやバズーカ砲をぶっ放すクライマックスがハデさばかりで盛りあがりを欠き、低レヴェルな印象はまぬがれない。
　一応、主題歌をドンナが歌うところで、ボンもヘタなりに歌声をはさみ、デュエットがファン・サーヴィスになっている。主題歌のメロディーもけっこう良好。ジョーイやアルヴィン・ベナレス演じる作曲家がオカマなのは、いかにもフィリピンのショービスだし、ティルソの「ショーを開催したい」の誘いに対して、ジョーイがまず「予算はいくら」とたずねている図式が興味をそそる。
　それでヒロインの二人の魅力だが、ナネットは誘拐のエピソードでジーンズのかっこうがルースなタイプに萌えず、強盗追跡では黒いピタパンがスリムな長い脚を強調してうっとりながら、ジャケットがジャマでヒップラインを隠すのが残念。ボンの回想におけるセパレーツ水着がストライプ柄に、袖のあるブラがデザイン的にイマイチ。でもパンティーはじゃっかんハイレグだし、ボンにかかえられると、お尻の形がくっきりに浮きあがる。美人とはいいかねるも、さすがにセクシーさを再確認させる。ボンが海の中にナネットのまぼろしをみて抱こうとし、ドンナが助けるシーンは、ナネットとドンナともども濡れた服がスケずじまい。ドンナは黒いワンピース水着を披露するが、下に白いスカートをはいているから色っぽさゼロに近い。それほどかわいくないも、プロポーションをおがみたかったのに。
　あと滝つぼへジャンプするドンナのスカートがまくれあがっているのは、スタントのパメラ・パスクアルだろう。引ったくりの犠牲者を演じたミナ・ベルナレスとラミルの秘書を演じたメアリー・アン・ロペスのうち、メアリーがちょっとキュートだった。