“ＯＮＳＥＨＡＮ”
（裏の本音）
　
00年：リーガル・フィルムズ／９２１フィルム・ワークス・プロダクション
監督：ユージン・Ｅ・アシス
主演：カルロス・モラレス
　　　 マリカル・デ・メサ
　　　 ジョン・アパシーブレ
　　　 リカルド・セペダ
　　　 ヘスロ・ラミレス
　　　 ジョアンヌ・ミレル
　　　 リンゼー・アン・ケネディー
　マヌケな強盗というのはコメディーにすれば面白いが、マジなアクションで登場すると困ってしまう。
　リカルド・セペダ演じるボスに対し、裏切ろうと画策しているジョン・アパシーブレ演じる組織の顔役がダイヤモンドの横どりを実行に移すも、カルロス・モラレス演じる仲間が先まわりで盗みだす。それをジョンたちが取りかえすのだが、箱の中にはピカチュー（ペケモンと発音している）のぬいぐるみが入っていたので、怒ってジョンの家に置いていく。
　そんなのすぐにピカチューの中にダイヤが隠してあることは誰だって予想できるというのに、何というマヌケさ。
　カルロスには双子の弟がいて、兄宅にあったピカチューをリンゼー・アン・ケネディー演じる妹にあげるのだが、普通ならわかっていて預ける設定なのに、ダイヤのことにまったく気がついていないのだから、またまたあきれるのみ。
　カルロスにはカラ・クリステル演じるバー・ガールの恋人がいるものの、同じバーでマリカル・デ・メサ演じる美女に目をつける展開になって、偶然ビーチで遭遇するや、マリカルが簡単に落ちてしまうのだから、これだって罠だと丸わかり。まあ、マリカルがセックスの翌朝に謎の電話をかけている伏線があって、実は敵側だと匂わせる扱いはまずまず。ディンドン・アンドレス演じる母とジョアン・ゴンザレス演じる妹を人質にとられていたために、仕方なくジョンに協力していたというシチュエーションは、ヒロインにおくための定石だろう。
　途中、取り引き相手からの現金強奪やジャマな将軍の暗殺などアクションっぽいシークエンスはあるものの、映画は全体的にダラダラ感で続き、テンポがイマイチ。しかもいよいよジョンやリカルドとカルロスの対決となると、ただバンバン撃ちまくるだけの単細胞な構成で、それがまたやたら長いのにあきてしまう。
　いやはや、困ったアクションだ。
　終わってみれば双子のカルロスが一緒に映るカットが一つもなく、手抜きとはこのこと。ユージン・Ｅ・アシス監督からは意欲というものがうかがえない。
　それでも興味深い点はあって、ダイヤの取り引き相手がアキラ・ミモト演じるハルタさんという日本人で、リカルドが電話で話すときに「ありがと」といっている。このハルタさんが現れるや、リカルドの「旅はどうだった」との質問にイミグレーションの悪口をいっているから、最近フィリピンの入管は日本のヤクザの名前のリストをもっていて、入国できないようにしているとの情報を思いだす。警察が組織を一網打尽にすると、ハルタさんが「私は旅行者だ」とごねているのにも笑ってしまう。
　ジョアンヌ・ミレルとリンゼーが演じるカルロスの二人の妹が「チャイナ、チャイナ、ブンブンブン、ありがと、ありがと、ブンブンブン」と手をたたき合って遊んでいるシーンがあり、これは何の遊戯との好奇心も起こってくる。
　もっともマリカルのセクシー・シーンを期待してみた作品だから、そちらのほうはそこそこ納得。ビーチで海からあがってくるときの濡れた赤いハイレグ・ビキニが刺激的で、座るときに浮きでるヒップラインなど文句なしのキュートさ。バストが巨乳ではなく、ほどほどの大きさなのが素敵。海岸をカルロスとビキニのまま歩くときのプロポーションにもうならせてくれる。セックスになると、ジーンズを脱がされ、黒いパンティーもはぎとられるが、肝心の部分の露出はなし。シャワーを浴びるときもうしろ姿のみで、乳首がもう少しのところでみえないままなのが残念だが、後半のアクションではカッコいい黒のピタパンで登場に、キックの姿までみせてくれるから、十分に悩殺もの。
　カルロスがカラを抱いていると、イメージの中でマリカルに変わるというシーンもあるが、ここは二人ともタンク・トップの下着を脱いでいない。
　それとリカルドの愛人役を演じているケート・ロドリゲスが、まずガウンをはおった赤いビキニ下着で視線を奪い、リカルドをマッサージしているシーンでは水色のビキニで馬乗りになって、お尻をつきだすポーズでオッといわせてくれる。その水着で泳いで、プールからあがるカットもあってウハウハだし、黒いボディコン・ミニで誘惑のあとにジョンとセックスするところでは、チラリ乳首がみえるのが嬉しいが、顔のアップが入るとちょっとブスかなあと感じる。
　かわいいという意味では、海岸でマリカルをみつめるカルロスが目移りするカットで、ジーンズのホット・パンツで歩く女性が、マリカルほどではないものの引きつける要素があり、名前を知りたいなと思わせる。