ＯＮＥ　ＴＲＵＥ　ＬＯＶＥ
　
08年：リーガル・エンターテインメント／ＧＭＡフィルムズ
監督：マック・Ｃ・アレハンドレ
主演：ディンドン・ダンテス
　　　 マリアン・リヴェラ
　　　 イサ・カルサド
　　　 ブーツ・アンソン・ロア
　　　 テッシー・トマス
　　　 チンゴイ・アロンソ
　　　 ビアンカ・キング
　　 　ジェニカ・ガルシア
　大ブームとなったＴＶシリーズ『ＭＡＲＩＭＡＲ』の主役カップルのディンドン・ダンテスとマリアン・リヴェラにイサ・カルサドを加えた三角関係のラヴ・ロマンス。人気スターのネーム・ヴァリューを使った商業作といえる。
　インターンのミグス（ディンドン）は看護婦のジョイ（マリアン）と結婚を決める。ミグスには初恋の女性のベラ（イサ）がいて、少し前に滞在先のカナダから戻り、ミグスがジョイとベラを会わせる。まだベラはミグスを愛し、それにジョイも気がつき、お互いに嫉妬をおぼえる。結婚式をあげ、ラヴラヴの真っ最中のミグスとジョイだが、突然にミグスが交通事故で頭を打ち、最近だけが消える部分記憶喪失に陥る。ジョイが誰かわからないミグスの脳裏にベラが恋人にうつる。なんとか結婚の事実を教えようと懸命なジョイの努力にもかかわらず、ミグスはベラに迫る。立場をわきまえて拒むベラながら、ついにミグスがジョイとの新居をでて家に現れたとき、キスに負けて抵抗をやめる。ミグスがベラと暮らしはじめるも、ジョイが妊娠。
　とのストーリーで、また頭を打って正常に戻る、定番のおバカな展開なら笑ってやろうと思ったが、そうならない点がよいかな。でもイルマ・ディマラナンとアネット・ゴソン・アブロガルの脚本は、ミグスが記憶をたどる困難さを克服でなく、フラッシュ・バックのごとくミグスにジョイがよみがえる展開を示し、この安易さがフィリピンっぽい。
　ミグスとジョイの結婚にミグスの父（チンゴイ・アロンソ）、母（ピンキー・マルケス）が喜び、妹のアラ（ビアンカ・キング）だけがベラを優先に考え、復縁を画策の家族模様や、ジョイの妹のラヤ（ジェニカ・ガルシア）が姉を心配と周囲の人間をからめ、ジョイの友人で中年の看護婦のロブレス夫人（テッシー・トマス）がミグスの自覚のうながしを助け、入院患者の少女が無意識にジョイの妊娠をミグスに教える媒介になるといった構図は、コミュニティーの存在がフィリピン人の意識に大きな位置を占める社会性をうかがわせる。ミグスの治療でファミリーを救われたタクシー運転手のパショ（アレクサンデル・Ａ・サボテル）がジョイを客に乗せるなど、小さな脇にまで配慮を含むも、ジョイの祖母（ブーツ・アンソン・ロア）がさほど後半のドラマに登場しないあたりは、ちょっとヘンかもしれない。
　建築家（マイク・オーストリア）や技師（リチャード・クアン）がビルを建設で森を破壊の開発へジョイが抗議は、いかにも中途半端のとってつけた感じ。
　とにかく重体のミグスを調べる集中治療やリハビリのもようが興味を引くし、マック・Ｃ・アレハンドレが二時間を退屈なく進める語り口は、まずまずのうまさと評価できる。ハーレクィン的な恋愛ものとして平均レヴェルのでき。
　マリアン・リヴェラの美人ぶりが、いわゆる娯楽作のフィクションに彩りをそえる。冒頭のミグスのプロポーズにおける森の散歩で下半身にピタピタの白パンがそそり、ななめ上からのアングルで赤いシャツにのぞくバストの谷間が視線をくすぐる。新婚初夜は黒いランジェリーでふざけて踊るや、もちろん脱がないが、ベッド・インにドキドキ。自分を忘却のミグスに「私が妻よ」とセックスを求めるときのスリップも色っぽい。さらに食事会でバストの開いたドレスのほか、ブラが浮かぶ黄色いシャツ、下半身にフィットのタイツふうのパンツがセクシーさを増し、いっそう容姿を引きたてる。
　それにしても、もしこれほど美貌の看護婦が本当にいたなら、チンポをみられただけでカチカチになって大恥をかきそう。
　看護婦の仲間をシーナ・ハリリやシャーリン・サン・ペドロが演じ、シーナもけっこうチャーミング。
　プロポーションがバツグンのイサ・カルサドはバストの谷間を強調のドレスがいけるも、全身のスタイルがわかる衣装がほしかった。
　ビアンカ・キング、ジェニカ・ガルシアはマリアンやイサと比べて魅力の方向性が異なり、四者四様のキュートさというか、何れ菖蒲か杜若で、個人的にはジェニカが好きだが、まさに美の競演と呼びたい感じ。ジェニカはバストの谷間のでたワンピースがおいしそうながら、ビアンカに刺激的なコスチュームを欠いて惜しい。
　まあ、ベラがジョイに「私がミグスのファースト・キスの相手だし、初体験の相手なの」みたいに感情的にぶつかり、ミグスにベラがカナダいきで別れの記憶が再現も、実際に初恋は結ばれないほうが幸福じゃないか。自分の場合はファースト・キスも初体験も同じ女性で、童貞と処女だったが、結ばれなくてよかったとの思いがある。長い人生には出会いがいっぱいだから、なんて考えれば、ミグスとジョイもいずれ離婚の危機にぶつかるなあ、なんて夢をぶちこわしの感想が起きる作品だった。
　失意のベラがふたたびカナダへ、の設定がまたフィリピンっぽい。