ＯＮＥ　ＮＩＧＨＴ　ＯＮＬＹ
　
08年：オクトアーツ・フィルムズ／カナリー・フィルムズ
監督：ホセ・ハヴィエール・レイエス
主演：カトリナ・ハリリ
　　　 ダイアナ・スビリ
　　　 アレッサンドラ・デ・ロッシ
　　　 ジェニリン・メルカド
　　　 ヴァレリー・コンセプション
　　　 リッキー・ダヴァオ
　　　 マニリン・レーネス
　　　 パオロ・コンティス
　　　 ジョン・アヴィラ
　　　 ジョロス・ガンボア
　ホセ・ハヴィーエル・レイエスが脚本のうまさでみせるコメディー。ちょっとしたヒットといえる。
　かなりの人物数を配しながら、たくみに接点をつくり、同じモーテルへ集めるまでの構成が、いかにもフィクションのワザとらしさ。
　カトリナ・ハリリ、アレッサンドラ・デ・ロッシ、ジェニリン・メルカド、ヴァレリー・コンセプション、ダイアナ・スビリの美人女優の共演にも期待が高まる。
　友人同士のジャスミン（カトリナ・ハリリ）とヴィヴィアン（ダイアナ・スビリ）は、ジャスミンが中国人のカネもちの初老（ジョージ・リム）と知り合い、マカオへの買い物旅行へいくのを前に、現在のパトロンの国会議員であるファランド（リッキー・ダヴァオ）の情事をうける。ヴィヴィアンは恋人のポンス（ジョン・アヴィラ）がボラカイから帰り、前回のデートでセックスを拒んだため、今度はさせようと思っている。ポンスはヴィヴィアンではなく、ボラカイで知り合ったヴィッキー（ヴァレリー・コンセプション）とセックスの予定で頭がいっぱい。ヴィッキーの従姉弟のエルヴィー（ジェニリン・メルカド）はレズだが、中年女性のお相手のジョージ（マニリン・レーネス）との関係に終止符をうちたい状況。エルヴィーはファランドの娘で、ヴィッキーのちゃんとした恋人のバメイ（ジェーソン・ガインサ）はファランドの秘書をつとめる。ポンスの友人のジェーゴ（パオロ・コンティス）は女たらしの映画スターになり、撮影でエキストラにきたアンジェラ（アレッサンドラ・デ・ロッシ）をくどく。オカマの芸能レポーターのメルトン（オギー・ディアス）はジェーゴを嫌い、プライヴェートやスキャンダルを暴いている。メルトンのオカマ仲間のエドワードは美容院をいとなみ、ファランドの妻のインダイ（テッシー・ヴィリアラマ）をおだて、お得意さまにする。メルトンのホモの恋人にあたる、まだ若いネストル（ジョロス・ガンボア）は、メルトンとの精算を思案中、なんて全員が微妙につながる図式において、四人はダメだという従業員のグド（エンボイ）ともめたすえにジャスミンがファランドとモーテルに入り、バメイが運転手のロジャー（ベントン）と部屋の駐車場にとめた車に待機。ジェーゴがアンジェラをモーテルに連れこむ。エドワードがネストルと、ジョージがエルヴィーとモーテルへくれば、同性のカップルはダメだとグドが断わり、エルヴィーとネストル、ジョージとエドワードと相手をチェンジのみせかけでモーテルの入室を許可させる。あとでパートナーが合流とヴィッキーがモーテルに入れば、同様にヴィヴィアンも一人でモーテルへ、となぜか同じモーテルなのが愉快。
　グドがメルトンの弟でジェーゴが泊まっていると連絡すれば、カメラのクルーを連れてメルトンがモーテルにあらわれる。ファランドが興奮のショック死でバメイたちがこっそりと死体をもちだしてゴジップの隠蔽工作に、メルトンのスタッフをマスコミがかぎつけたと勘違い。ヴィヴィアンの６号室との伝言をポンスにグドが教え、電話ではヴィッキーが９号室といったのにとポンスが６号室にいけばヴィヴィアンがお待ちかね。エドワードの車がガス欠の間にネストルの携帯電話の充電がなくなり、エドワードとジョージがエルヴィーとネストルの先に入った部屋を探せない、などのタイミングの悪さがかさなって、パンツ一丁でポンスがヴィヴィアンの部屋とヴィッキーの部屋を走って移動のうえ、ついにヴィッキー相手にインポになる。ジョージと一緒のエドワードをみて、まさか女性ととメルトンが驚く。お互いを警戒のエルヴィーとネストルが自然と意気投合とテンポよく運び、ジェーゴのメルトンの振りきりとともに、バメイとヴィッキーが、ヴィッキーとヴィヴィアンが、ヴィヴィアンとジャスミンが、エルヴィーと死体のファランドがハチ合わせのクライマックスを築く。
　なるほど笑って楽しめる、ホセ・ハヴィーエル・レイエスらしい小品のまとまり。
　役者たちのアクの強い演技がプラスに働くあたりが評価できる。
　また、会社の会議中にポンスの携帯電話がなり、上司（ジョン・アチャヴァル）が部下全員の携帯電話の電源を切らせ、ヴィッキーが連絡をとれずにイライラのほか、全編に携帯電話を活用で、容易にコミュニケーションが可能なのが便利さを生んだ反面、かえって生活を窮屈に追いこむ現実がうかがえる。携帯電話へ依存の現代人の風刺ともとれる。エドワードの家に尼僧の妹（ヴィヴィア・パラルタ）がレズっぽい尼僧仲間のシスター・ロサリー（マデル・フロレス）とシスター・チャリティー（アレクシス・ラグダメオ）といたためにエドワードがネストルと泊まれないとき、エドワードのシスターとの紹介を尼僧なのか姉妹なのかとネストルが迷ったり、エドワードからの通話をエルヴィーがネストルにかわるときにボーイフレンドかガールフレンドかに困ったりのギャグは、言葉の盲点をつく。エドワードの助手がアイコ（バッシ・ガルシア）という名前や、ポンスの会社のフロレンス（マルヴィー・ラポス）が男まさりなど、ホモやレズのネタの盛りこみはオカマのホセ・ハヴィーエル・レイエスゆえん。ジェーゴがお付きのラリー（ジョーイ・デーヴィッド）にマッサージさせるのはよいも、アンジェラがブスの友人のパーリー（ラニ・タピア）とジェーゴを観察の映画撮影の現場は、あえてリアルさと違えたかもしれない。監督の役でホセ・ハヴィーエル・レイエス自身が顔をだしている。
　あと、モーテルのおのおのの部屋がジャスミンとファランドのいる中華ふう、ヴィヴィアンのいるジャングルふう、ヴィッキーのいるフルーツふう、アンジェラとジェーゴのいる神殿ふう、エルヴィーとネストルのいるビーチふう、ジョージとエドワードのいる宇宙ふうと多彩なインテリアなのがおかしく、ヴィクトリア・コートがこんな感じだったが、マニラのラヴ・ホテルのセンスがわかる。
　女優のセクシーさではカトリナ・ハリリの圧勝といえる。銀ラメの短パンで登場からスケベ心をくすぐり、ジムでダイアナ・スビリと並んでウォーキング・マシーンで歩くときに二人のお尻がキュッキュッと動くのにレオタードじゃなくて残念でも、ピンクのワンピースのミニスカが視線を奪い、モーテルのベッドに座ってパンティーをチラつかせる。さすがにダイアナの肩紐なしのワンピースやヴァレリー・コンセプションのバストの谷間を強調のワンピースも一歩およばずかな。しかもモーテル内での露出がカトリナだけガアアンと悩殺をうける。ダイアナ、ヴァレリー、アレッサンドラ・デ・ロッシはボディーにタオルやシーツを巻き、アレッサンドラはブラをつけていないはずのショットで、ブラがチラッとうつる撮影ミスがあるし、ジェニリン・メルカドは脱がないままだけど、カトリナは紐なしブラとパンティーの白い下着姿を披露する。オッパイがプラプラ揺れて、それはもうおいしそう。
　容貌的にもカトリナがイチバン好みかな。
　ほかにファランドの女性秘書にあたるラヴリー役のマリア・テルマ・マルティネスが色っぽく、ジャスミンへ中国語を通訳の女性役のシャリル・チャンがおばさんながら、横顔がそそる。