ＯＮＥ　ＭＯＲＥ　ＣＨＡＮＣＥ
　
07年：ＡＢＳ−ＣＢＮフィルム・プロダクションズ／スター・シネマ・プロダクション
監督：カティー・ガルシア・モリナ
主演：ジョン・ロイド・クルース
　　　 ベア・アロンソ
　　　 デレク・ラムジー
　　　 マッハ・サルヴァドル
　　　 ナネット・インヴェントル
　　　 アル・タンタイ
　『ＭＹ　ＦＩＲＳＴ　ＲＯＭＡＮＣＥ』『ＮＯＷ　ＴＨＡＴ　Ｉ　ＨＡＶＥ　ＹＯＵ』『ＡＬＬ　ＡＢＯＵＴ　ＬＯＶＥ』『ＣＬＯＳＥ　ＴＯ　ＹＯＵ』とラヴ・ティームを組んできたジョン・ロイド・クルースとベア・アロンソのロマンスもので、カティー・ガルシア・モリナなヘタな演出が手伝い、いちだんとくだらない。
　ポポイ（ジョン・ロイド）とバシャ（ベア）は浮気の機会があっても、相手のことを思いだして実行に移せない仲。さんざんと別れるともめたあと、元のさやへ戻る。ポポイは建築技師で、バシャは建築デザイナー。同じ会社に勤めるながら、上司（ボジー・パスクワ）に理不尽に怒られ、バシャが辞めるというのをポポイがとめる。でも上司がバシャの仕事を自分の手柄にしたため、ついにバシャが辞職でポポイとの同棲も解消に。
　まずベアがアイドルを脱し、大人の女優へチャレンジがうかがえるが、ちょっと魅力不足かな。メガネをかける安易な小細工でインテリふうにイメージし、ポポイがヘレン（ニッキ・ヒル）、バシャがフランシス（ロベルト・ウッズ）と浮気の危機で、ベアがワンピースに太腿をみせるも、お互いに氷を口にくわえてボディーを愛撫やキスの幻想を抱くとき、さほど肌の露出がない。それは前ボタンの白いワンピースのニッキ・ヒルにも同じことがあてはまる。あとで仲直りでバストの谷間がのぞくワンピースでバシャとポポイがベッドでジャレたあと、シーツの中でバシャがワンピースを脱ぐのにベアはスリップの肩をチラリのみで、冷蔵庫から氷をだすも、ポポイとボディーの愛撫を欠く。バシャが去って、まだ家にいるとポポイが夢想でバス・ルームから現われるや、ベアがバスタオルを巻いたままだし、ホッケーの試合後に雨が降ってきた思い出で、バシャがピタピタにフィットの競技服なのに、ベアに濡れるシチュエーションをおかない。ただしポポイの友人のケネット（ジェームズ・ブランコ）、チノ（ヤヌス・デル・プラド）、ＪＰ（アーロン・ヴィリエーナ）、バシャの友人のクリシー（ディンプレス・ロマナ）、アンジ（ベアトリス・ソー）、カティー（ガセーリエ・カンラス）がふたりのケンカを仲裁のとき、バシャが屁をこいてまわりがくさがり、お腹がゴロゴロと鳴ってトイレへ駆けこみ、下痢便を排出の音がブリブリと響くあたりが驚き。いやまあ、こんなシモネタをこなす美人女優はすごい。
　ヴァネッサ・Ｒ・ヴァルデスとカルミ・レームンドの脚本はポポイとバシャを破綻させる原因に弱いと感じるながら、バシャがショート・ヘアーにチェンジで先へ進む。カッティング・ショートは好みだけど、意外とベアは似合っていないと感じる。
　いざ別離を決めれば女性がきっぱりと割り切り、男性が女々しい図式は、まさにそうだとうなづくが、あまりにポポイがダメなヤツすぎてうんざりをもよおす。たまたまバシャは建築家のマーク（デレク・ラムジー）と知り合い、マークに上司（ジャネット・ダンカラン）の紹介をうけてバシャが就職。マークがバシャに好意を示す。クリシーとＪＰがイタリア料理店を経営し、お祝いのパーティーで友人たちが集合の席にバシャがマークを連れてきて、握手で腕を差しだすマークにポポイが挨拶せず、うだうだとからんで場の空気を乱すうえ、暴れるにいたって最低のバカ。まったく同情の余地なく、結局はポポイとバシャが復縁にいたるまでの予定調和のバレバレなドラマにおいて、ここまでのノータリンとバシャが本当によりを戻したら、女のほうも大マヌケと思えてくる。もっともバシャにも雨の道路を携帯電話を片手に運転し、車が故障の状況があり、こちらもアホ女。
　ポポイが母のエルヴィー（メリッサ・メンデス）の友人で家族のごとくつき合うウィリー（アル・タンタイ）とエディット（ナネット・インヴェントル）の夫妻にビルの建設計画をもちかけられ、エディットがバシャとも親しく、バシャにデザイン、ポポイに設計を依頼が復活の発端になる。歌手のトリシャ（マッハ・サルヴァドル）とポポイが交際を始め、バシャがポポイを再び意識してからの展開がしんどい。
　というかカティー・ガルシア・モリナのもたつく語り口がイライラを招き、もはや勝手にせいに近い、しょうもなさが残るのみ。
　スターを起用の商業企画でも、レヴェルの限度を下まわる。もし大衆娯楽作として成立するなら、観客の民度が低すぎる。
　ベアは視線を奪うだけのインパクトに乏しく、Ｔシャツに絵を描くときのカジュアルな服、手で絵を描くときのバストの谷間が浮かぶシャツ、図書館で建築を調べるときの黒い短パンとシャツ、朝に起きたときのハミケツぎみの短パン、建設予定地の草を刈るときのバストの谷間が浮かぶシャツとジーンズ、雨の中で車が故障でポポイが迎えに現われるときの肩だしのシャツとジーンズ、チノの入院で病院へくるときの下半身にフィットのジーンズのほか、タンクトップのシャツと短パン、白パンなどがさほどチャーミングにはえない。ビル建設現場で長髪なので時間の経過を示し、ロング・ヘアーで白いシャツと下半身にフィットのジーンズは、そこそこにうっとりかな。ポポイとセックスに発展で脱がされるも、下着がチラっとのぞくのみはしょうがなくとも、エンド・クレジットに流れるＮＧ集に水着のシーンがあり、このピンクのワンピースの見せ場をなぜ本編から除いたのとの疑問が起きる。
　女優ではマッハ・サルヴァドルが初対面で失礼なポポイへビンタにもかかわらず、過程がなくていきなりポポイとつき合っている役で、脚にフィットの黒いパンツがセクシー。ポポイの妹役のローレン・ヤングは短パンがかわいい。ＪＰの子をクリシーが妊娠や、カティーにチノがプロポーズのほどほどにおさまる友人たちのサブ・エピソードにおいて、中国顔のベアトリス・ソーが少し気になる。
　ほかにセリフのないワン・ショットでシャーマイン・ブエンカミノがバシャの母役で存在感を放ち、バシャの新しいオフィスにおける同僚役のマラヤ・レワンドースキーは、ただの脇のキャラ。クレジットにデニス・ホアキンの名前が読めるが、どこに登場なのかわからなかった。