95(96)年：スター・シネマ
監督：エフレン・“ロッジング”・ハルレゴ
主演：アガ・ムーラック
ババルー
カルミナ・ヴィリアロエル
ジミー・サントス
クローディン・バレート
アゴット・イシドロ
パオロ・コンティス
カミール・プラッツ
チン・アベリアーノ
リッキー・ダヴァオ
ニーニョ・ムーラック
モンソール・デル・ロサリオ
ランディー・サンチャゴ
マックス・ラウレル
エンド・クレジットのタイトルや宣材類には『ＯＫＩ ＤＯＫＩ ＤＯＣ ＴＨＥ ＭＯＶＩＥ』とあるから、この前にＴＶ版があったと思われるが、そちらはみていない。独立した映画として評価するなら、もう実につまらないコメディーと切り捨てたくなる。
アガ・ムーラック演じるのが動物の医者で、ジミー・サントス演じる中国系の助手、カミール・プラッツ演じる幼い姪と一緒に住んでいる。ババルー演じる大家がとなりにいて、アゴット・イシドロ、クローディン・バレート、パオロ・コンティス演じる三人の子どもの親。スチュワーデスのアゴットとアガは恋人関係にある。同じ借家にはカルミナ・ヴィリアロエル演じる年ごろの娘が暮らし、クバオのマーケットで小さな服屋を開く。とのシチューションで、犬の体内に宝石を入れて密輸するリッキー・ダヴァオ演じるシンジケートのボスがアゴットの知人だったため、航空会社勤務のアゴットを利用して税関をうまくくぐり、獣医のアガに犬をあずけたので、ドタバタ騒動が起きる。ニーニョ・ムーラック演じる特別捜査官がカルミナにほれているチン・アベリアーノ演じる警官に目をつけ、カルミナを口説いて潜入捜査官にする。カネもちのリッキーのアプローチをババルーが支援したため、貧乏なアガからアゴットの心が離れそうでアガがやきもき。犬がすっかりカミールになつき、アガがレントゲン写真でダイヤの存在に気がつく。
結局は誘拐未遂のすえにリッキーが逮捕され、めでたし、めでたしというだけの話。
本筋に入る前のハチャめちゃエピソードでジミーの飼っていたヘビが逃げだすのはあとへつながらないし、マーケットでクリス・アギラー演じる肉屋が暴れたり、ノノン・デ・アンドレス演じる背中にコブのある男のいる怪奇屋敷へ往診したり、ジミーとババルーが馬に蹴り飛ばされたり、クローディンの花婿を募集すればオカマや老人が集まったり、ババルーがバロット販売の元締めで、ボーイ・ゴメス演じる売り子のカゴの中でヒナがかえっていたりのギャグが冴えず、ちょっと寒くなる。ランディー・サンチャンゴ演じるうさぎのオーナーが顔からはずしても、はずしても下に違うサングラスをかけているのと、ベヴァリー・サルヴィエホ演じる野獣のような女性が所有する山猫に麻酔を注射しようとして、山猫が逃げるのに合わせ、マーケット中のものにチクリとのギャグはクスクスが起きるものの、おさめるタイミングを逸してしつこく感じる。ベヴァリーの化け猫もどきの演技はまあまあ笑えるかな。
ちなみにアゴットが乗るタクシーの運転手役でモンソール・デル・ロサリオ、怪奇屋敷のモンスター役でマックス・ラウレルがゲスト出演しているが、ランディーのかっこうは明らかに“ＡＬＹＡＳ ＰＯＧＩ”だから、本当はラモン・“ボン”・レヴィーリア・ジュニアに顔をだしてもらいたかったのではないか。リッキーの手下にロビン・パディーリアふうを気どるものがいるのも同様。
ドン・ペポト演じる男がペットにするトカゲがだんだんと大きくなっていく部分は、全体へワン・ポイント的にちりばめた構成がまずまずかもしれない。 チェン・アベーリア演じる店主とカルミナが安売り合戦を繰り広げるのは、とりあえず生活を反映していてニヤニヤできる。
いずれにしてもリッキーがアガを撃つクライマックスで、とっさにアガを守ろうとカミールが抱きつき、カミールを守ろうと犬が飛びつき、犬に命中。なんとか軽症ですむのだが、犬の手術がないのが手抜きと指摘せざるをえない。『Ｋ−９ 友情に輝く星』や『ターナー＆フーチ すてきな相棒』とは大違い。このあたりロイダ・ヴィリーニアの脚本と、エフレン・“ロッジング”・ハレルゴの演出のうち、どっちの責任だろうか。
役者陣だと喜劇タッチという意味ではブタのように鼻をすする下品キャラを通すリッキーが合格といえ、自分のポケットに謝って発砲したり、厚底靴で身長を高くみせるニーニョが次第点。二枚目のアガはズッコけるのにいささかつらい。ババルー、ジミー、チンは可もなく不可もなし。
大好きな女優たちはクローディンにさして見せ場がなく、アゴットはイマイチ魅力が足りず、子役のカミールが一番かわいいかな。冒頭、ベッドからカルミナが起きあがってパジャマを脱ぎ始め、えっ、カルミナの下着姿をおがめるの、とカッカ興奮したものの、下にＴシャツとジーンズを着ていたとのオチで残念。
まあ、こんなもんでしょう。
なお、レオ・ヴァルデスが共同監督している。
