ＮＹＭＰＨＡ
　
03年：リーガル・エンターテインメント
監督：セルソ・ＡＤ・カスティーリオ
主演：マリカル・デ・メサ
　　 　グロリア・ディアス
　　　 アントニオ・アキタニア
　　　 ジョセフ・ヒゾン
　　　 チョロ・メディナ
　　　 ビン・ヴィクトリア
　　　 ティルソ・クルース・３世
　　　 ディーノ・ゲヴァラ
　　　 ジョン・アパシーブレ
　マリカル・デ・メサのセクシーな魅力をアピールしようとのエロス作品ながら、アートふうに気どった内容がどうも趣味に合わない仕上がりである。
　田舎町で殺人事件が起こり、マリカル演じる若い女性が犠牲者。彼女をめぐってライヴァル関係にあった五人の男たちが容疑者として警察に留置され、一人ずつから証言をとっていく展開。警官の荒っぽい捜査態度がフィリピンっぽい、というか、どこの国も権力を持った小物が横暴なのはうなずけるものの、犯人当てのサスペンスがあるわけじゃなく、誰が殺したかが明らかになったあとの、もう一つ意外な真相にしても、さしてショッキングとは思えず、はっきりいって凡作。ティルソ・クルース・３世演じる神父にマリカルが懺悔するときにセックスの表情がダブる冒頭や、グロリア・ディアス演じるマリカルと同居している親代わりの叔母が祈ってばかりなど、カトリック臭がプンプンするあたりもフィリピンだなあとの印象だが、ロウソクを灯した祭壇などが意味深に登場しすぎて、いささかうんざり。しかも、そのロウソクの光を効果的に使って荘厳なイメージの映像をつくろうとしているながら、かえってみづらくなっているだけで、だったら高感度フィルムでちゃんと色温度を計算して撮れよ（カメラはレーイ・デ・レオン）といいたくなる。
　フィリピンでは一部から高評価を得たようだが、表面的な部分に凝っただけのレヴェルのものをホメちゃ、マネする監督がでてくるぞ、と余計な心配までわきあがる。
　でもマリカルはさすがに期待に応えていて、ウハウハとよだれがたれそうな露出を繰り広げてくれる。浴室からボディーにバス・タオルを巻いてでてきたマリカルは、部屋へ入るとパラパラッとほどき、いきなり真正面から堂々のオッパイ全開。
　ウワーッ。
　先制ヌード・パンチで早くもノック・アウトされそう。
　第一の容疑者であるチョロ・メディナ演じる大工とは、屋根で作業するチョロの視界からのぞけるように浴室があって、中で水浴びするときにチョロの目線である斜め上からや、見返すマリカルの目線である斜め下からマリカルのオッパイが丸みえに。のぞかれていることに気がついたマリカルが隠そうともせず、かえって挑発的な流し目を送るあたりが、実に小悪魔的なゾクゾク感を伴う。ネコのような瞳をもつマリカルのチャーム・ポイントを最大限に生かした表現。干してあったパンティーの匂いをかいだり、頭にかぶったりしてマリカルにイカれたチョロは、ついに夜ばいをかけ、ベッドでマリカルのスリップを脱がせると、オッパイがベロッ。すぐにパンディーもおろすのだが、先に述べたように、ツヤツヤした肌の質感をだそうとしたのか、ロウソクの光による撮影が濃淡を強めるばかりで、はっきりとマリカルの全裸を浮きあがらせない。風鈴の音を響かすなどの小細工はうまいのに、チョロのお尻がみえて、なぜかマリカルのボディーが隠れたままだから、やや不満の残るエピソードになっている。
　第二の容疑者であるジョセフ・ヒゾン演じる牛でリアカーを引いて籠などを売る行商人とは、教会の中でマリカルにラヴ・コールをサインし、夜になって物置でセックスへと進む。立位でマリカルは全裸にむかれ、ジョセフにボディーをなめられるときに横からとらえたなまめかしい身体のカーヴがビンビンにそそる。グロリアが目撃して衝撃を受けるマリカルとジョセフのセックスは屋外で、マリカルはずっとスリップのままなのが減点。
　第三の容疑者であるディーノ・ゲヴァラ演じるボーイ・フレンドとは、教会でキスするのみ。
　第四の容疑者であるビン・ヴィクトリア演じるボートの漕ぎ屋とは、ビンにケス・ブリアス演じる妻とレクサス・ページ演じる娘がいて不倫関係で、マリカルが一人でもだえているのを脇でみていたビンが襲う。夜中に雷雨が始まると、うなされたマリカルが庭へでてきて、盛りのついたネコ状態に悶絶するのだが、スリップ一枚でびっしょりと濡れていき、オッパイがスケまくっている。うーん、あまりにおいしそうでむしゃぶりつきたく、モロだしよりもウハウハと興奮を誘発。そのうえ木に抱きつくと、片脚をあげたポーズでパンティー・ラインもあらわにし、お尻の形が理想的じゃないか。ただし小屋の中でセックスへと発展したときに、スリップとパンティーをはがれ、スッポンポンになったマリカルのオッパイは陰におおわれたままだし、騎乗位でまたがるときのお尻つきだしポーズはカメラの位置が遠いし、なによりも画面が真っ暗になる寸前。ホント、妙に芸術っぽさを狙ったセルソ・ＡＤ・カスティーリオ監督のいらぬセンスには、だんだんと腹が立ってくる。
　スケベに徹しろよ、と叫びたいほどで、せっかくマリカルが頑張っているのに、イケないエピソード。演出のダメさぶりを厳しく断罪したい。
　第五の容疑者であるアントニオ・アキタニア演じる写真家とは、ロウソクを灯して墓参りする行事の最中に、モデルとしてマリカルをアントニオがスカウト。この殺人の舞台にもなる、村から海へと続く斜面にだんだん畑形態で広がっている墓地がなかなかユニークな風景を表出していて、ロケ場所の選びかたには素直に感心する。アントニオとはエッチなシーンがないままで、第六の容疑者としてジョン・アパシーブレ演じる知恵遅れの男が浮上。墓で飯を炊いていたジョセフとケンカしたり、マリカルを口説くアントニオをジャマしたり、各人の証言の中に顔をみせてたジョンだが、ほかにもジョセフの牛車に乗るマリカルをチョロが自転車で追跡したり、ディーノと教会で逢い引きするとき、マリカルはチョロに自転車で送ってもらっていたり、巧みに容疑者たちが同時進行でからんでいる構成は、まずまず練ったなとの印象。
　まあ、それだけのことだが。
　マリカルの出生にまつわるキャラクターも事件の核となったといえず、ドラマ的には残念ながら失格。絶賛を贈ってやまない大胆なマリカルの脱ぎっぷりも、余計な撮影へのこだわりから三割型マイナスなので、セルソはそんなにインテリっぽくみせたいわけ、と吐き捨てたくなる。
　ホント、惜しすぎる作品だ。
　なお、熟女のグロリアには、ジョセフにレイプされそうになる幻想をみるシーンがあって、ネグリジェ姿から色気を放つが、さすがに露出なし。
　アントニオの写真のモデル役でローナ・レイエスが出演していて、白いピタパンでプロポーションを強調しているのが、けっこうキュートだった。