ＮＡＲＩＮＩＧ　ＭＯ　ＮＡ　ＢＡ　ＡＮＧ　Ｌ８ＥＳＴ？
（最新情報をもう聞いた？）
　
01年：スター・シネマ・プロダクションズ
監督：ホセ・ハヴィエール・レイエス
主演：アガ・ムーラック
　　　 ジョイス・ヒメネス
　　　 グロリア・ロメロ
　　　 テッシー・トマス
　　　 ベルナルド・パランカ
　　　 ジョン・プラッツ
　　　 マンディー・オチョア
　　　 ゲーブ・メルカド
　　　 ジョイ・オルテガ
　　　 カルロ・ムーニョス
　広告代理店というのはロマンティック・コメディーをつくる際、しばしば舞台に選ばれる。それだけオシャレなイメージがあるのかもしれない。でも個人的には職業に貴賎ありとの立場をとっていて、その中でもとくにさげすまれてよい職種の一つだと思っている。「士農工商代理店」といえるかもしれない。実際、クリエイティヴな才能の持ち主なんてあまりいなくて、外見優先の薄っぺらな人物ばかり。だから映画になっても『ハート・オブ・ウーマン』をみてもわかるように、メル・ギブスンとヘレン・ハントでさえバカっぽくなる。しょせん、こういう業界にあこがれるヤツのレヴェルが低いのだろう。
　フィリピンでもライト感覚のロマンスものを展開するにあたって、広告代理店を題材に選ぶとは、といきなりうんざり。
　しかも内容が予想以上にひどい。
　アガ・ムーラック演じるのがホモと勘違いされている管理職で、まだ結婚していない事実と、料理が好きな趣味と、潔癖症である性格が原因でホモ呼ばわり。日常の生活にマメな点が男らしくない、という解釈が面白い。ジョイス・ヒメネス演じるのは脳みそが少量と思われているコピー・ライターで、言動が軽いことが主な原因だが、美人であるのをオバサン連中から嫉妬されている影響もある。
　会社が大きな仕事を受けて、そのためのプロジェクト・ティームを発足。アガとジョイスがコンビを組むわけで、お互い相手のことを「ホモだ」「ノータリン」だとのイメージで接しているうちに、まったく違った本質に気づいてくるというストーリー。
　映画は周囲の人間がそろいもそろってウワサ好きであり、誰が誰とどうした、とのやりとりばかりに熱中している様子を中心に描いていて、広告代理店の人間のくだらなさを強調している点はよろしい。
　でもホテルに泊まりこんでの仕事なのに、同じ部屋で二人っきりになったアガとジョイスが、いつまでたってもキス一つしないのは、いくらなんでも説得力に欠ける。ジョイスが上に乗ってきても抱かないアガは「マジでホモだぞ」とあきれるのみ。一応、ちゅうちょの理由は設定してあるものの、ラヴ・ホテルにまで入って、ジョイスがシャツを脱いだうえに挑発的な台詞をいっているにもかかわらず、セックスを拒むアガはチンポが勃起しないのか。
　いやはやロマンティック・コメディーとはいえ、バカバカさばかりで、イライラする。
　ハイ・センスなラヴ・ストーリーに気分よくなれるどころか、腹の立つ作品だ。
　ホセ・ハヴィエール・レイエス監督にすれば、この一ヶ月前に上映禁止となった問題作『ＬＩＶＥ　ＳＨＯＷ』を公開していて、あまりに短期に二本なのでどちらを先に撮影したのかはっきりしないも、貧困の実態をリアリズムで描きだした『ＬＩＶＥ　ＳＨＯＷ』とでは、意欲も完成度もその差歴然。グッと重い題材のあとなので、比較的内容のない、軽いものを狙ったのかもしれないが、いくらなんでも評価外の駄作は勘弁してほしい。別に軽いのが悪いわけじゃなく、人間をきちんと描かないにもほどがある、ということである。
　またジョイスがヌードにならないのは女性映画だからだろうが、さすがに魅力が90％減。確かにピタパンでセクシーなプロポーションをうかがわせるシーンがかなりあるし、ブラになってアガを誘惑するところではバストのフェロモンが全視線を奪ってくれて、さすがジョイスなのだが、これだけじゃかえって欲求不満を招く結果。
　代理店の女性社員を演じている女優の中にはアンドレア・デル・ロサリオやキンバリー・ディアスがいて、それぞれ雑誌でキュートなヌードや水着姿を披露しているのに、まったく見せ場がないのも残念。
　宝のもちぐされのよう。
　あーあ、貴重な時間をさいてまで、みるんじゃなかった。