ＮＡＮＧ　ＩＮＩＷＡＮ　ＭＯ　ＡＫＯ
（あなたが私を見捨てたとき）
　
97年：ＶＩＶＡフィルムズ／アヴェーラブル・ライト・プロダクション
監督：ホセ・ハヴィエール・レイエス
主演：シャーロン・コネータ
　　 　アルベルト・マルティネス
　　　 マチュー・メンドーサ
　　　 ディンディ・ガリアールド
　　　 ルビー・モレノ
　　　 マリトニ・フェルナンデス
　　　 マンディー・オチョア
　　　 ジャッキー・カスティリエホ
　　　 アラン・シア
　　　 ジェー・シモン
　　　 ルス・ヴァルデス
　　　 エディー・アレナス
　　　 マニー・カスタニェーダ
　主婦の自立をあつかったホセ・ハヴィエール・レイエスの脚本・監督作。実にウェル・メイドな内容で、それだけにおもしみを欠く皮肉な図式に思える。シャーロン・コネータのための無難な企画かもしれない。
　ジェー・シモン演じる小学生の息子、メル・キムラ、ルビー・クリソゴロ演じる家政婦がいて、いかにも中流家庭におさまるシャーロンが、アルベルト・マルティネス演じる夫から突然「女ができたので、でていく」といわれる。エディー・アレナスとルス・ヴァルデス演じる両親に相談し、マリトニ・フェルナンデス、ジャッキー・カスティリエホ演じる友人たちが励ますも、無気力で怠惰になるばかり。すぐに生活に困って、両親からカネをもらい、こんなことじゃダメと就職活動を始める。なかなかうまくいかない中、ルビー・モレノ演じる友人の仲介でマニー・カスタニェーダ演じるオカマのマネージャーに会うと、一緒にケータリング・ビジネスに活路をみいだす。忙しい日々に翻ろうで放っておかれがちのジェーが寂しくて、アルベルトと過ごすようになる。またルビーからマチュー・メンドーサ演じる弁護士の紹介をうけ、いつしか二人が引かれ合う。ジェーはディンディ・ガリアールド演じるアルベルトの愛人となじめずにシャーロンのもとへ帰ると、今度はシャーロンとマチューがいい感じなのに反発。マニーとのビジネスがレストラン出店まで話が進んで順調な反面、シャーロンはジェーの体調不良に気づかず、ついに倒れてジェーが入院になる。
　いわば典型的な子どものいる夫婦の破綻劇。次第にシャーロンが自信をつけていくのに対し、ディンディとケンカがちでアルベルトが荒れて、シャーロンがアルベルトをなぐさめるまでに変わる。女性の強さをうたった淀みのない展開に、感心こそすれ、感動は起きない。
　頭でつくった映画と評価したい。
　シャーロン、マリトニ、ジャッキーが好演で、身勝手さを表現するアルベルトはうまいが、マチューや、マリトニの夫役のマンディー・オチョア、ジャッキーの夫役のアラン・シアなど、男はでくのぼうに思えるのがおかしい。ディンディはクールな美貌を生かして、いるだけで冷たいイメージを伝えてくる。アルベルトよりも背の高いのがご愛嬌で、シャーロンたちがどんな女か車に隠れて調べにいくシーンにおいてランニングに現われ、短パンから伸びる長い脚が素敵。エクササイズではレオタードを披露してくれる。髪の毛にカールを巻いたり、うるさ型女房っぽい印象をつくるマリトニが、しゃがんだポーズでキュッとヒップラインを浮かべるショットもそそる。ほかにパーティーの出席者やマニーの知人など、気になる容貌の女性がチラホラだった。