ＮＡＮＡＮＡＢＩＫ…　ＳＡ’ＹＯＮＧ　ＰＡＧＢＡＢＡＬＩＫ
（会いたい…　戻ってきて）
　
96年：ＣＶＨプロダクションズ
監督：ブボイ・タン
主演：ウルスラ・オルティス
　　 　 トントン・グチェレス
　　 　オデット・カーン
　　 　アーミー・オーストリア
　　 　シーラ・イズラエル
　　　 レナート・デル・プラド
　　 　ロイス・ロセロ
　　 　ジェフ・ゴンザレス
　　 　Ｏ・Ｊ・モンテリバノ
　　 　ロンメル・フェルナンド
　最初にヒロインを演じるウルスラ・オルティスが登場して、平板な顔だちに興味がうせ、あまり気のすすまない作品になってしまう。
　それでも内容が面白いかもしれないな、とつき合ってみるのだが、安手の少女マンガのようでうんざり。
　ウルスラはいきなりアーミー・オーストリア演じる姉に家を追いだされ、トントン・グチェレス演じる夫の家に住むも、オデット・カーン演じる義理の母など、家族からジャマ者のように扱われる。トントンがサウジ・アラビアへ出稼ぎに行くと、小間使い同然の毎日で、義理の弟にはレイプされそうになり、トントンからの手紙は渡されない。近所にシーラ・イズラエル演じる唯一の友人ができるのだが、シーラの夫にもレイプされ、友情が決裂。
　お決まりのパターンでストリップ・ダンサーの水商売に身を落とすわけで、何が彼女をそうさせたか的な社会ドラマの要素はなく、一方的ないじめ合戦にあきれるのみ。
　麻薬のトラブルから下の息子が殺されたり、手紙を渡してなかったことがバレてトントンから責められるなど、いじめた側に罰がくだるようになってはいるも、くだらないのひと言で片づけていい作品だろう。
　またウルスラの魅力不足は指摘したが、シンデレラじゃないにしろ、いじめドラマの場合、薄幸の美人でないと同情できないもの。まあ個人的には周囲からよく「あきれるほどの面くい」と指摘されるから、自分の女性を外見でしか評価しない傾向を反映した意見かもしれないが、こと映画ではあこがれの対象にもなるような女性をみたいじゃないですか。
　もちろんセクシーなシーンはあって、パンティーをみせながらふき掃除をしたり、乳首のポッチが浮かぶシャツでトントンとの思い出にもだえるポーズや、トントンとのセックスでもまれる乳房、義理の弟に襲われるときにお尻に食いこむパンティーなど、そこそこ挑発的。シーラの夫に犯されるシーンではついにブラをはぎとられて乳首が露わになり、そのあと気持ち悪いと体をゴシゴシ洗うシーンでは、乳首を隠しながら石鹸をこするのは不自然なものの、濡れてパンティーがピタッと貼りついたお尻のアップや、陰毛がスケるカットまであって、一応興奮させてくれる。でもハイレグ水着でブラまでとって踊るバーのステージ・シーンをみるに、スタイルがイマイチだと感じさせ、やっぱりウルスラは脇が妥当で、主役というのはキツいなあとの印象に。
　アーミーはまったく見せ場がないし、シーラは夫とセックスするときに、夫のお尻がみえちゃってるのに、乳房のあたりに紐なしのシャツを着ているのがチラリ写ってしまっているカットがあり、「減点よそれ」ってドッチラケ。じゃぱゆきから帰ってきたシーラがトントンとできてしまう展開で、二人のセックス・シーンにウルスラのステージがダブる構成にも、「ヘター」と声がでそうになってしまう。スリップ姿が色っぽいだけに、シーラはもっと露出してくれなきゃ。
　サウジ・アラビアや日本への出稼ぎ願望が語られるあたりは興味深いものの、ウルスラを取り戻せないままに再びサウジへ出発するトントンに重なって、すっかりスレたウルスラが踊るラストまで、こんなんで怒りや同情を買おうとしてもムダよ、とのウルトラ低級作品。
　まあ美人女優がヒロインだったら、かなり違ってたかもね。