ＮＡＧ−ＡＡＰＯＹ　ＮＡ　ＬＡＮＧＩＴ
（燃えている空）
　
01年：タウルス・フィルムズ
監督：ローランド・レイエス
主演：カトリナ・パウラ
　　 　サブリナ・Ｍ
　　 　サラ・ゴメス
　　 　フェルナンド・モンテネグロ
　　 　ハロルド・ピネダ
　　 　シーラ・サンチェス
　　 　ライラ・ロレナ
　　 　ニック・アラディン
　　 　ヴィク・サントス
　　　 エリック・ロドリゲス
　　 　ロラ・モレナ
　　 　ホアキン・シルヴァーノ
　　　 ジュン・アレナス
　相も変わらず本気でつくっているとは考えにくい、少女マンガにもなっていない低レヴェルなドラマを量産してくるから、かえってフィリピン映画はすごいと思う。
　まずはデザイン・センスのかけらもない、オープニング・タイトルからして、トンでもない駄作に違いないぞ、との反対に期待感が起こってくるほど。
　幼い姉妹の姉だけをかわいがる父が登場して、最初はイジメものかなとの予感が走る。大きくなって姉妹をサラ・ゴメスとカトリナ・パウラが演じるようになると、姉のサラはマニラへでていて、妹のカトリナはフェルナンド・モンテネグロとホアキン・シルヴァーノが演じる二人の男に口説かれ、ホアキンには犯されそうなめに合う。ヴィク・サントス演じる父はロラ・モレナ演じる若い女と住み始め、シーラ・サンチェス演じる母は生活苦に。そこでサラを訪ねてカトリナがマニラへと向かうのだが、住所にいなくて、捜し歩くうちに倒れてしまい、ジュン・アレナス演じる金持ちに救われる。入れ替わりサラが母の元へと帰ってくると、エリック・ロドリゲス演じる男に口説かれ、ライラ・ロレナ演じるその妻から誤解を受ける。さらにニック・アラディン演じる地主に犯されて妾になるのだが、ハロルド・ピネダ演じるニックの息子からも迫られるや、無理やり抱かれているところをみつかって、ニックに追いだされる。カトリナはジュンの家の家政婦になっているのだが、そこへフェルナンドが訪ねてきて、サブリナ・Ｍ演じるジュンの妻がフェルナンドを誘惑したため破局寸前に。ヴィクはロラがホアキンとできてしまったため、逆上からロラを刺して…　と狭い人間関係の中で、よくもまあというくらいに愛欲関係がもつれていく。男女の数が多いぶんだけ、心理描写はどれも薄っぺらにすぎず、驚くほど内容がない。
　人間の動かしかたも不自然で、たとえばサブリナが最初にフェルナンドをみたときの色目など、あまりにもわかりやすすぎて、オイオイオイ。
　これまたわざとらしく描かれたきっかけのいじめはほとんど後半に生かされず、実はカトリナはヴィクがサウジ・アラビアへ出稼ぎに行っていた間にできた子で、その父がジュンだったとわかるのも、偶然にしてはできすぎに、アーア、もー、うんざり。
　とにかくフィリピン社会には、もっとやさしさが根底にあり、これほどまでに人間たちがカトリナとサラのヒロインを除いて閉鎖的で、思いやりがないとは思えない。このステレオ・タイプな人物設定そのものが、低レヴェルと感じさせるもっとも大きな要因。
　まあ最後に突然、全員がいい人に変身するのも定番をなし、反省、和解、理解となって、カトリナとフェルナンド、サラとハロルドのＷ結婚でハッピー・エンド。ここまでの軽薄さを堂々と劇場公開するのだから、さすがフィリピン映画じゃないか。
　なんてバカにしているわけじゃなく、そういう作品を自分だって好んでみているわけで、これもパワーなんだとマジで感心しているわけです。
　もちろん興味深い部分はあって、21世紀になったというのに、まだ牛車が普通に使われていたり、並んで田植えをする田舎の田園風景が土の匂いを漂わせる。マニラばかりが近代化されていく歪んだ国家体制がうかがえる。ホアキンがカトリナに接近するとき、野菜をプレゼントするのもやってくれる。
　それに何といってもカトリナとサラはそこそこ美人だから、よだれもののセクシーさにウハウハ。カトリナは池で濡れたり、水あびでの乳ポチ、乳スケに視線を奪ってくれるし、黒いピタパンからでたプロポーションのよさがみごとだが、フェルナンドとのセックスでパンティーを逃がされて挑発的な画面をつくったのに、バストの衣装をおろされ、乳首がみえる寸前でカットなのが残念。
　サラはエリックに脱がされるときに中途半端な露出なのがアレッと落胆させるものの、ニックに犯されるときに乳房丸だしで、うわー、美乳だなあ、とうっとり。乳首が完全にスケたタンク・トップの衣装もすごい。
　あとサブリナは背中が大胆にでた衣装で色気を放ったあと、フェルナンドに迫るときにオッパイをポロンとだすのにキャーッ。
　ロラはスリップまでしか脱がず、ライラは上半身裸になるも、うしろ姿のみだった。