ＮＡＧ−ＡＡＰＯＹ　ＮＡ　ＬＡＭＡＮ
（燃えるような肌）
　
99/00年：リーガル・エンターテインメンツ
監督：ドン・エスクデロ
主演：アラ・ミナ
　　　 ゾーレン・レガスピ
　　　 マチュー・メンドーサ
　　　 ピンキー・アマドール
　　　 ポチョロ・モンテス
　　　 エルニー・サラテ
　 ピストルを丹念に手入れする描写にオープニングのタイトルが重なる。これはアクション映画なんだなあ、と思わせるが、実際はそれほどアクション・シーンを含まない。三角関係を題材にした愛欲の人間ドラマである。
　二人の男に愛される女性をアラ・ミナが演じる点が物語に説得力を持たせたもっとも成功要因で、重厚とまではいかないまでも、まあまあの仕上がりになっている。これにはドン・エスクデロ監督の心理描写へ積極的に取り組んだ演出姿勢や、ホセ・ハヴィエール・レイエスのオリジナル脚本によるところが大きいとはいえ、もし主役がアラでなかったらと仮定してみれば、いかに彼女の魅力に寄りかかっているかを感じる。
　アラをめぐる二人の男はゾーレン・レガスピとマチュー・メンドーサが演じ、ゾーレンの持つ不良っぽいイメージと殺気のようなムードと、マチューのちょっと知的でやさしそうなところを対比している点が、いかにも狙ったなとわかって、ややニヤッとうなずく印象。女性にすれば、この二人が秘めているような陰陽の両方ともに引かれるのではないかとイメージするも、これは女性じゃないのであくまで想像。
　兵隊だったゾーレンが戦闘の後遺症で悩まされているとわかる冒頭からすぐにストーリーは始まり、彼がさっそくアラにカー・セックスを迫るシーンがくる。ここではブラが露わになるものの、まだ濡れ場にまでは発展しない。アラに求婚したゾーレンは、アクシデントから人を殺して懲役刑に服する。刑務所で面会の二人は、このとき初めて肉体的に結ばれる。フィリピンでは受刑者と個室でセックスできるというのがわかって、ちょっと驚くが…　セックス・シーンは実に濃厚で、まず服を脱がされるアラを背後からとらえると、カットが変わってキュートすぎるオッパイをバッチリと拝ませる。そのあと挿入でゾーレンの動きを背中から狙い、あえぐ二人の表情をうつしながらも、ピストン運動が激しくなってゾーレンの射精を暗示。ああ、これじゃ妊娠するぞ、と誰だって思うはず。
　刑務所の中でゾーレンがオカマを掘られるシーンが嫌なくらいリアルで、パンツをおろされるとお尻の穴にゼリーを塗られ、相手がチンポの先にも塗ったことが示されるや、グイッと挿入。みているこちらにその趣味がないから、ウエッと気持ち悪くなるほどの臨場感に満ち、ドン監督の表現力はさすだと感心。
　一方、マチュー演じるのはアラが勤務する工場のオーナーの息子。最初に就職の面接にきたときからアラへ関心を抱いていた事実がわかる。ゾーレンとのセックスで案の定アラは妊娠となり、それでも彼は特別に彼女へ親切を払い続ける。まあアラのような女性に対してなら、たとえ他人の恋人であろうが、妊娠していようが、あらん限りの愛情を注ぎたくなるのは当然だが…
　マチューの援助もあって無事出産のアラが子供の一歳の誕生日にゾーレンへ面会に行ってケンカを起こし、そのあと雨に濡れて困っているところをマチューの車に乗せてもらうシチュエーションは、誰だって彼女の気持ちが移るぞと納得の内容。家へ連れてくるや、アラの着がえをマチューはチラッとみてしまう。上半身裸になって白いパンティー一枚の姿を背後からカメラがとらえていて、これは勃起しないほうが不自然といってよい。このあと何もしなかったらマチューは男じゃない。
　胸にアラの似顔絵の刺青を掘るゾーレンのシーンに、マチューによって全裸にされるアラのシーンがダブると、この映画の最大の見せ場が登場。続くアラとマチューのセックス・シーンは、先のゾーレンのものとはまったく描きかたの異なるタッチで、上に乗ったアラがマチューの胸板を愛撫し、カットが変わると真横からの二人がとらえられていて、騎乗位のアラの腰がゆっくりと上下に動くのがわかる。そのボディーのくびれ具合が古典彫刻にもたとえられそうなくらいアートに輝き、女性の肉体が作りだすセクシーさの頂点とでも形容したくなるみごとさ。さらにカットが変わると下にいるマチューの視線でアラがとらえられ、豊満かつ美乳のアラの上半身が、類いまれなる容貌とともに画面へオーラを放ちながら広がってくる。おそらく地球上に存在する美というものが、視覚で感じとる限りにおいてなら、どんな風景も、どんな芸術作品も、このアラの肉体の前には色あせてしまうだろうと断言しても、それが少しも誇張に聞こえないくらい鮮烈で魅力的。仮に神というものが実在するとしたら、おそらく神によって創造された美はここで極まった、とも思えてくる。
　これはアラのすべてのセックス・シーンの中で、最高のものではないか。
　物語はアラがマチューの求愛を受け入れ、ついに二人は結婚へ。当然ながらゾーレンが黙っているわけがなく、雨の中で護送車が事故を起こして脱獄という設定はあまりに安易だが、とにかく彼が自由にならないと先へ進まないという意味か。
　あとはちょっと予想通りの進行ながら、男が女性を愛すると、また嫉妬するといかにクレージーに変わるかをよく示していて、一応納得できる。二人に愛されたアラの苦悩も、まずまず表現できたのではないか。
　映画はアラがベッドから全裸で起きあがってガウンを着るシーンでキスしたくなるようなお尻をみせてくれるほか、脱獄のあとにアラを誘拐のマシューとのセックス・シーンでは、下にいるアラのオッパイを今度は惜しげもなく披露し、仰向けに寝ても崩れないアラの乳房にたっぷりと酔える。乳首はチラッとしかみえないものの、アラの友人役のピンキー・アマドールの全裸セックス・シーンもあって、とにかくサーヴィス満点。十分に興奮の満足。
　それにしてもアラ以外の女優だと、ここまで物語に何の疑問も抱かずにすんなりとみてこれなかっただろうから、脚本のできよりも、演出のうまさよりも、アラの美貌は偉大だと痛感した次第。