ＭＹ　ＦＩＲＳＴ　ＲＯＭＡＮＣＥ
　
03年：スター・シネマ・プロダクションズ
第一話
ＯＮＥ　ＬＯＶＥ
監督：ジョン・Ｄ・ラサティン
主演：ジョン・プラッツ
　　　 ハート・エヴァンゲリスタ
　　　 チェリー・ヒル
　　　 アテ・グロー
第二話
ＴＷＯ　ＨＥＡＲＴＳ
監督：ドン・クアレスマ
主演：ジョン・ロイド・クルース
　　　 ベア・アロンソ
　　　 リザ・ロレナ
　　　 チャンダ・ロメロ
　　　 ジョエル・トーレ
　　　 チャット・シラヤン
　　　 ドミニク・オチョア
　くだらないと片づけてよい二話構成のラヴ・ロマンスながら、野球とサッカーというフィリピンではほとんど人気のないスポーツをサブに置いているのが興味深い。
　第一話はジョン・プラッツとハート・エヴァンゲリスタ演じるティーン・エイジャーの初恋劇。周囲のいらぬチャチャや相互の誤解から別れそうになるも、ジョンの誠意ある告白で結ばれる、ただそれだけの話。アロヨ大統領のそっくりさんとしてデビューしたアテ・グロー演じるハートのヤヤがコメディーっぽいイメージをつくる一方、ジョンの飼い犬が人間の言葉を話すアイディアは生きず、ちょっとサムーイ内容といえる。ジョンが貧民街の子どもたちをかわいがっている設定がでてくるとはいえ、中流階級のハートを中心にした、しょせんイイ気なドラマなのが印象ダウンの要因だろう。ラストでハートが二人だけの野球でヒットを打つ、フィリピンにはめずらしいナイター設備を持つ球場も、舞台の活用としてイマイチ。
　フィリピンの観客はホントにこんな内容に共感するのか、聞いてみたいところ。
　途中、タイアップのスポンサーであるねり歯磨きをワザとらしくハートが使うシーンがご愛嬌ながら、横磨きしてるから、歯を痛めるよと思ったりして。ハートは学校で女友だちとエンジェルズというグループをつくっていて、フェアでまたもグループが歯磨きのキャンペーンを行っているから、宣伝映画かとあきれさせる。
　ダイアン・テハダ、マウイ・デーヴィッド、ポーリーン・ルナ、サリタ・ペレス・デ・タグレ、カルラ・フンフリーズ演じるエンジェルズのメンバーがみんなかわいい点が、まずまずの長所かもしれない。とくにポーリーンはハートよりずっと美人。
　なお、ジョンの両親をエドウィン・レイエスとスーザン・アフリカが、ハートの両親をホンゴイ・マナハンとチェリー・ヒルが演じていて、パーティー会場でハートへの思いを打ち明けるジョンのスピーチを入れ替わりになった娘のハートのために携帯電話で伝えるチェリーが、うっとりするほど熟女の色気を放つから、もーう、寝てみたい。ピチピチの若いギャルがわんさかでているというのに、自分の年増趣味をあらためて実感するじゃないか。現実にはハートと同じくらいの年齢の、親子以上に世代差のあるカノジョとつき合っているのだが…
　第二話はジョン・ロイド・クルースとベア・アロンソ演じる二十代の男女の恋愛劇。ドミニク・オチョア演じる最愛の婚約者を交通事故で亡くし、ベアがどうしてもドミニクを忘れられないため、ジョン・ロイドの求婚を受け入れることができず、悩むストーリーになっている。
　まずドミニクがトラックと衝突する原因が携帯電話をとろうとしたせいで、こんな運転中に平気で通話する安全意識欠如野郎は、さっさと歩行者をひく前に死ねばいいわけで、まったく同情の余地がなく、いきなりドッチラケ。ジョン・ロイドとベアの出会いは、ベアがパンクで困っているときにジョン・ロイドが声をかけたことにより、直しかたを教えようとするジョン・ロイドの態度にベアが怒っていて、この手のお高い性格ブスは相手にするなと忠告したくなるから、とんでもなく乗れない展開。リザ・ロレナ演じるドミニクの祖母がジョン・ロイドを孫と勘違いすると、やさしくフリをしたり、ジョン・ロイドがイイ奴だけに、いっそうベアのしょうもなさが目立つ。結局、心臓の持病をかかえるジョン・ロイドが倒れ、心配したベアが交際を決意する流れで、セコー！　と声をあげそう。
　第一話、第二話ともに甲乙つけがたい駄作。ジョン・Ｄ・ラサティンもドン・クアレスマも丁寧に撮っているぶん、もったいないはもったいないが…
　途中、ジョン・ロイドとベアの再会するスーパー・マーケットで、ちょうどねり歯磨きを買おうとしたときにバッタリだから、またもタイアップに笑いが生じる。ベアと一緒にいたアンナ・ラルセアとアリソン・ルアルハティはみごとに引き立て役を演じるも、アンナはベアより美人っぽく、気になる存在。ドミニクの妹役のカトリーン・ヘルモサは清楚はタイプながら、キュートさに欠けるかな。なんて、しょせん女優にしか興味が起きないのが本音。それでベアだが、ジョン・ロイドが初対面のとき、魅力にボーッとしている描きかたのわりには、それほどの美貌じゃないでしょ。ズボンをはいたお尻のアップや、スリップ姿がでてくるも、セクシーさをそそらない。
　ラストの海に浮かぶイカダのコテージでのデートが水着じゃない減点もあって、ベアに失望。
　演技的にはドミニクの両親を演じるジョエル・トーレとチャンダ・ロメロがヴェテランらしいうまさをみせ、とくにベアとジョン・ロイドが恋人になったと知り、思わずベアが新たな人生を歩みだしたことへうれし泣きの涙を流すチャンダが、内面にふれる心の表現を示す。
　なお、子どもたちにサッカーを教えるシーンでミコ・パランカ演じる同僚とともにジョン・ロイドが「ユニホーム無料」と勧誘したり、「頑張ったらアイスクリームやハンバーガーをあげる」といっているから、動物の調教と同じとの皮肉がわきあがる。ミコが着ているシャツには背番号８でＮＡＫＡＴＡと書かれていて、フィリピンでもサッカーの人気プレーヤーは中田か、と推測したりして…