ＭＩＳＳ　ＮＡ　ＭＩＳＳ　ＫＩＴＡ　（ＵＴＯＬ　ＫＯＮＧ　ＨＯＯＤＬＵＭ　�U）
（あなたは私のお嬢さま〔不良たちによる私のティーム　第二部〕）
　
92年：ＶＩＶＡフィルムズ
監督：デオ・Ｊ・ファハルド・ジュニア
主演：ロビン・パディーリア
　　　 ヴィーナ・モラレス
　　　 チャリト・ソリス
　　　 ダンテ・リヴェロ
　　　 フリオ・ディアス
　　　 デニス・パディーリア
　　　 キエール・レガスピ
　　　 アナ・ローセス
　　　 ズバス・ヘレロ
　　　 ハイメ・ガルチトレナ
　　　 グロリア・ディアス
　　　 ケンペー・デ・レオン
　『ＡＮＧ　ＵＴＯＬ　ＫＯＮＧ　ＨＯＯＤＬＵＭ』の続編で、デオ・Ｊ・ファハルド・ジュニア監督など、ほぼ同じスタッフによる。正直なところ、くだらなさにあきれた前作に対し、わざわざ第二段もないだろうと感じたものの、ヒットしたようだから二匹目のドジョウを狙うのは当然か。
　学芸会レヴェルのチンタラ劇を繰り広げ、やっぱりとは失礼ながら、一層アホらしい内容になっている。デオとともに脚本を書いたロビンフッド・Ｃ・パディーリアとは、主演のロビン・パディーリアの変名だろうか？
　ヴィーナ・モラレス演じる恋人の父であるダンテ・リヴェロが経営の会社へ勤めるも、相変わらずトラブル・メーカーとしてロビンが登場。たまたまアナ・ローセス演じる女性をケンカから救い、アナがロビンにほれたのでヴィーナが嫉妬。アナの従姉妹（ジェニファー・ドゥルー？）も助けて、アナがますますご執心で、ヴィーナの怒りが頂点へ。女同士のケンカに発展し、丸顔のアナをヴィーナが「バスケット・ボールみたいだ」と形容に、女って怖いね、と苦笑い。
　一方でズバス・ヘレロ演じるバギオの犯罪シンジケートのボスが香港から帰り、ジャマな存在のロビンを始末しようと狙うのがストーリーの骨格。フリオ・ディアス演じるズバスの子分がレゲエ・ヘアーで、ロビンが「スティービー・ワンダーか」とからかうのがおかしい。でもナンバー・ワン組織のわりには、山岳民族たちの協力を得て、ロビンたちにズバスがあっさりやられてしまうから、しょせんハード・アクションじゃなし、お遊び映画なのねと納得。ロビンがおふざけ演技を優先し、しょーもない奴にしかみえないのは、かなり計算違いを感じる。ファッション・ショーを見物のズバスのところへ馬に乗ってロビンが現われるのはテンションの盛りあげのテンポがうまいのに、結局は悪態をついて帰るだけで、なんだ、コイツ、とあきれるばかり。
　もちろんデニス・パディーリア演じるロビンの相棒がコメディー・リリーフとしての役わりを無難にこなすほか、祖母が亡くなるシーンなど、しめっぽくならずにいい雰囲気をつくり、捨てがたい要素を秘めるのも事実。デンショ・パディーリア演じるオカマの父や、フローラ・ガセルとメトリン・デーヴィッド演じる伯母たち、ＩＣ・メンドーサ演じる幼い弟といったメンバーも、ズバスの一味に誘拐されて、けっこう活躍の場を確保。助けにきたデニスがダイナマイトを爆破で、その破裂音にフローラたちが「ピナツボの噴火か」と反応がマジで愉快。チャリト・ソリス演じる中年の水晶占い師も、今回はうまくドラマにからんでくる。ヴィーナへ思いを寄せるキエール・レガスピ演じるボンボンが「ヒーローになろう」とズバス退治に乗りだし、山を越えるシーンで『サウンド・オブ・ミュージック』の一節が聞こえるのは、音楽担当のジミー（ハイメ）・ファブレガスのシャレっ気か。山岳民族と出会ってコミュニケーションに困ると、彼らが英語で返してくるのがフィリピンっぽい。
　とはいえ、つり橋をわたる最大のクライマックスで、ＩＣが川へ落下するとワニが襲ってきての『インディ・ジョーンズ　魔宮の伝説』ばりサスペンスに、いかにもワニの精彩が欠けるのが困ったもの。ヴィーナがキエールとの結婚を決め、意地っ張りのロビンがどうするかのラストも、ミエミエだからつまらない。もーちょっと本気だしてよ、といいたくなる。
　こんな続編につき合ったオレがバカだったあー！
　なお、ヴィーナはダイナマイトが起こした激流に巻きこまれ、全身ズブ濡れのシチュエーションがあるのに、衣装が貼りついてプロポーションが浮かぶショットがでてこず、セクシーさ不発のまま。
　ヴィーナの母親役のグロリア・ディアスは獄中からズバスに面会のシーンに特別出演し、一応、顔みせをはたしている。