ＭＩＳＳＩＯＮ　ＭＡＮＩＬＡ
　
87年：オーヴァーシーズ・フィルムグループ／プライムローズ・パス・フィルムズ
監督：ピーター・Ｍ・マッケンジー
主演：ラリー・ウィルコックス
　　　 ロビン・アイゼンマン
　　　 ジェームズ・ウェインライト
　フィリピン・ロケによるアメリカ映画で、フィリピンとの合作でないながら、テッチー・アグバヤニとマリア・イザベル・ロペスの出演にファンとしてとりあげてみる。
　アメリカ合衆国では90年のヴィデオ発売が初リリースらしく、はたして劇場公開の国があるかどうかのマイナー作になり、麻薬がらみの犯罪もの。かつてフィリピンに暮した期間に麻薬中毒となり、更生でアメリカ合衆国へ引きあげたウェブ（ラリー・ウィルコックス）が主人公。フィリピンにとどまった弟のトニー（サム・ヘニングス）が行方不明だとの連絡をうけ、捜索に帰ってくる。
　ゴーゴー・バーを経営と同時に麻薬をビジネスにあつかうボスのハリー（アル・マンチーニ）や、イギリス人と呼ばれる男（ニール・フレンチ）、ハリーと表向きは敵対しないも、なにかを仕組んでいるらしきハリスン（ジェームズ・ウェインライト）、ウェブを麻薬中毒においこんだ過去をもつホステスのジェシー（マリア・イザベル・ロペス）、ウェブとトニーの兄弟ともに肉体関係をもつマリア（テッチー・アグバヤニ）などの暗躍で進むが、現地の犯罪組織というか、フィリピン警察がからまないため、さほどリアル感に乏しい。またフィリピンで結婚予定の女性が飛行機の中で親しく話しかけて、となりの席のウェブを困らせたが、その女性のスージー（ロビン・アイゼンマン）のフィアンセがトニーとの偶然はよいも、ハリーの部下たちに狙撃をうけてピンチのウェブがたまたま通りかかった車に乗れば、運転がスージーとの偶然はありえない設定すぎにバカバカし。さらにウェブが交通手段の必要で庶民のジプニーを平気で盗むのが不愉快なら、ハリーの隠れ家を脱出のスージーとトニーが遠くへいってからすればいいのに、さっさと逃げずに立ちどまって口論がアホかいな。つかまったスージーをトニーがおき去る設定に説得力がゼロ。とピーター・Ｍ・マッケンジーとサリー・マリー・ハラムの脚本がひどい。
　ただし、あやうく鉄道にひかれそうなスージーを間一髪でウェブが救うも、あっさりスージーが狙撃で亡くなる展開は意外かな。
　ピーター・Ｍ・マッケンジーはジプニーが走る渋滞のマニラをはじめ、カレッサのとまるバーの前、マニラ湾の夕景、ルネタで太極拳にきょうじる中国系の住民、闘鶏用のニワトリをもつ男たちや貧民の子どもたちをとらえて雰囲気をプラスながら、ラストでバナウエの棚田や山岳民族をだす必然性がなく、エルミタの歓楽街も全体像をうつさずに迫力を欠く。
　まあ、ハリーが鉄道模型マニアのキャラクターづけはスージーの殺害で農業鉄道の線路に縛りつけて見物のマニアックな残酷さへ結びつける狙いだろうし、労働者を運ぶ蒸気機関車の鉄道は確かに興味を引くところ。見せ場づくりの意識がうかがえるうえ、小人がマネージャーやウェイターのホビット・ハウスでウェブが情報収集で、ちゃんと人気歌手のフレディー・アギラーがライヴのステージで歌うサーヴィスにフィリピンのカルチャーのとりこみが評価できる。
　ビキニのダンサーが踊るゴーゴー・バーをあっさり撮る感覚がよく、舞台の店の“オリエント急行”はオーナーのハリーの鉄道趣味にこじつけだが、実際にあった店だろうか。
　なんてフィリピン好きには刺激的な要素を含む。
　女優ではスージー役のロビン・アイゼンマンが白人でもかわいいし、ミニスカにパンチラや、潜入捜査のつもりでゴーゴー・バーのホステスを志願で赤いナイト・ドレスを着てバストの谷間を強調に、そのままつかまって銃撃戦でスカートの部分のスリットに太腿がのぞくセクシーさがまずまずながら、誘惑に失敗のハリーにビリビリッと服を破られない生ぬるさが不満を残す。やはりテッチー・アグバヤニとマリア・イザベル・ロペスの魅力につきる。テッチーはウェブのかつての恋人で、今はトニーの現地妻でトニーの失踪をウェブに連絡でフィリピンに呼び、実はハリスンと通じる役において、ウェブの回想のラヴ・シーンでスリップなうえ、ハリスンの嗜好でボディーをつつむ黒い下着を披露がそそる。太腿に香水をつけ、ポリスの帽子をかぶって部屋を歩き、ベッドで横になる。マリア・イザベル・ロペスは“オリエント急行”のナンバー・ワン・ホステス役で、白いタイト・ドレスが視線を引きつけ、ウェブに何もしゃべるなとハリーの脅しでピンクの下着をナイフで切られ、乳首があらわなボディーをナイフの先でさするいたぶりをうける。
　あと、ウェブに情報を教える謎の女役のジェニー・Ａ・アンドラダはちょっとブスっぽい。
　とにかく農業鉄道で惨殺未遂くらいしか冴えないＢ級アクションだが、個人的にはテッチー・アグバヤニの黒い下着とマリア・イベザル・ロペスのヌードに興奮をもらった次第。

※　この作品は『Ｓ．Ｏ．Ｓ．マニラ特急』の題名でヴィデオ発売されたことがある。