ＭＧＡ　ＨＵＷＡＤ　ＮＡ　ＭＡＮＡＮＡＹＡＷ
（偽りのダンサーたち）
　
79年：アグリックス・フィルムズ・プロダクション
監督：ダニロ・Ｐ・カブレイラ
主演：ロルナ・トレンティノ
　　　 チャリト・ソリス
　　　 ピラル・ピラピル
　　　 ベット・バウティスタ
　　　 レス・コルテス
　　　 ロベルト・アレヴァロ
　　　 エディー・ガルシア
　　　 ヴィクトル・ラウレル
　　　 トニー・サントス・シニア
　　　 ラウル・アラゴン
　　　 エレン・エスゲラ
　貧しさからダンサーになった女性三名のドラマで、ジュニー・ガンボア演じるＴＶのホストが順番に取材のファイルを紹介で進む構成に、群像劇ではなくオムニバスといえる。
　ロルナ・トレンティノ、ピラル・ピラピル、ベット・バウティスタのセクシーさに期待がかかる。冒頭のタイトル・バックでベッドのショーやアラビアふうの衣装の踊りが入り、アラビアふうの衣装はパンティーの素材が厚いが、さっそく三人のうちの誰かなと興奮をそそる。
　貧民街に母（ルスティカ・カルピオ）と暮らすロイダ（ベット・バウティスタ）はブルレスクというストリップ劇場のダンサーで生活費をかせぐも、スケベの中年男に母がカネをとって無理やり抱かせようと企んだため、母を捨てて恋人のワルド（レス・コルテス）と住む。また勤めるストリップ劇場のオーナー（トニー・サントス・シニア）にも迫られて仕事をやめる。ワルドはオーナーの息子だが、父に頭があがらず、甲斐性がなくてぐうたら。しかたなくてロイダがダンサーへの復帰を決めて劇場の事務所へいけば、オーナーに犯される。ロイダの妊娠にワルドが暴行で相手を吐かせるや、自分の父とわかる。二人は闇で堕胎をうけおう女性のところで手術を頼む。
　ロイダの母が近所のおばさん連中とトランプに怠け性をあらわし、家出のロイダからカネを同封の手紙をもらって破るも、拾って集めるのに親子の確執と愛情を含ませる。堕胎で殺風景な部屋に新聞紙をしく異様な雰囲気に罪の意識が漂う。ブルレスクのダンサーの練習や採用テストに当時に風俗がうかがえる。
　結局は手術の最中にワルドがやるせなさに荒れて、たまたまからんだ泥棒（テリー・ババサ）とケンカにナイフで刺され、手術の途中で逃げだしたロイダが階段につまずき、転落で亡くなる悲劇。
　本当は母親らしき叔母のベアトリス（チャリト・ソリス）と暮らすクリセルダ（ロルナ・トレンティノ）はブルレスクのスター・ダンサーで、ディスコ狂いのベンジー（ヴィクトル・ラウレル）とつき合う。三人の幼い子をもつアニータ（エレン・エスゲラ　？）をベアトリスが追い返し、ベアトリスの夫（ラウル・アラゴン）が外でアニータとも住んでいる。ベンジーが別の女と寝るのをクリセルダがみつけ、さらにベンジーを嫌うベアトリスがクリセルダを殴る。ベンジーが忍びこんでベアトリスをレイプのあと、ベアトリスの夫を刺殺。葬式でベアトリスとアニータがもめる。ベンジーはディスコでのケンカで殺され、クリセルダがベアトリスを捨ててでていく。
　ブルレスクのステージで男女のコメディアンが芝居を演じたりの幕間がおもしろく、ポポイ＆ポレン、コラ・アダハルといった芸人の名前がクレジットに読めるも、よくわからなくて残念。前のロイダのエピソードでもビージーズの『愛はきらめきの中に』が流れたが、ディスコでは『恋のナイト・フィーバー』がかかり、ベンジーのダンスは明らかに『サタデー・ナイト・フィーバー』のジョン・トラヴォルタのマネで、フィリピンにおいてもこの作品の熱狂ぶりがうかがえる。
　ただし愛憎劇としては底が浅く、もの足りない感じ。
　母（アニータ・リンダ）を養うブルレスクの人気ダンサーのタラ（ピラル・ピラピル）はファンのアドリアン（ロベルト・アレヴァロ）に愛の告白をうけ、アドリアンが友人の経営の会社に就職を斡旋でダンサーをやめさせる。でも友人の社長（エディー・ガルシア）もタラにほれたため、アドリアンが嫉妬。社長が宝石を買うなどでタラの気持ちをつかんでセックスで、いったんアドリアンの追求に耐えられずにタラが別れるが、すぐに戻るも、荒れるアドリアンに愛想をつかせて去る。一緒に住もうと社長の家へくれば、ほかの女性と社長がいて、タラは単なる情事の対象と捨てられる。ふたたびダンサーに復帰で踊るタラを、ブルレスク劇場の客席からアドリアンが撃つ。
　社長の趣味で高級クラシック・カーの横でタラがポーズをとる写真撮影において、カメラマンとディレクターを演じるのは本作のプロデューサーのフランシスコ・Ｃ・サリナスとベルナルド・Ｓ・カスティーリオと思われる。
　カネもちの愛人のせいか、タラがファッショナブルな衣装を着こなし、貧困でもだんだんと各話が裕福さへレヴェル・アップの構成は、脚本のクロイド・ロビンソンの狙いだろう。アンジー・フェロ、サンディー・ガルシアとともにクロイドは特別出演をするも、どこにいるのかわからなかった。この当時の役者の知識が少なくて、クレジットに読めるアル・タンタイも確認できないまま。
　ダニロ・Ｐ・カブレイラの演出は人間の内面に迫れず、イマイチのレヴェルはさておき、セクシーさの表現にも不満を残す。ベット・バウティスタはワルドと愛撫でブラをはずすもオッパイが隠れ、家で蚊帳に入って寝るとき、ブラとズロースに脱ぎ、中年男に襲われてブラとズロースで蹴りをくわえ、ワルドとベッドでシーツをボディーに巻く。ロルナ・トレンティノは水着のブラをつけてダンスを練習する。ピラル・ピラピルは部屋の着がえでブラとパンティーがそそり、アドリアンとセックスで女性上位にオッパイがのぞきそう。社長とのセックスは背中の露出のみで、一応はピラルの着がえにおけるパンティーが貼りつくお尻が色っぽい。ステージはベットの金色水着の生地が厚く、ベッドのショーのランジェリーも大胆さを欠く。ロルナは黄色いセパレーツの水着のブラをはずすがオッパイを隠し、銀色水着では男と踊り、男のほうが前はふんどし型で、うしろは紐が左右にわれてお尻が丸だしのパンツなのに、フルバックのパンティーで刺激をさげる。ピラルは金色のパンティーに布のついたビキニでたっぷりとショーを披露も、やはり生地が厚い。
　またベンジーの別の女を演じるのはクリスティー・マユガと思うが、スケスケのランジェリーにパンティーのお尻がみえる。クリセルダが化粧の楽屋とタラが準備の楽屋にいるビキニの女性たちは、おそらくチャリト・ヴォンギース・モデルスのタレントたちか本物のダンサーだろう。
　いずれも下半身を大きくするパワーにいたらず、挑発的な撮りかたにほど遠いためと文句をいいたい。