ＫＡＰＡＧ　ＡＮＧ　ＰＡＬＡＹ　ＮＡＧＩＮＧ　ＢＩＧＡＳ…　ＭＡＹ　ＢＵＭＡＹＯ
（稲が米になるとき…　脱穀がいる）
　
02年：レドシネマ・プロダクションズ
監督：ローランド・Ｓ・レデスマ
主演：ララ・モレナ
　　 　ローズ・ヴァレンシア
　　 　Ｊ・Ｃ・カストロ
　　 　ブランド・レガスピ
　　 　エルニー・サラテ
　冒頭、ララ・モレナ演じる妻が杵でついて脱穀している奥の木陰で、ＪＣ（フアン・カルロス）カストロ演じる夫がローズ・ヴァレンシア演じる義理の妹と抱き合っている。まさに杵のコンコンとつく動きをチンポの挿入の暗示にしていて、実際に脱穀を表わすＢＵＭＡＹＯという単語には、フィリピン人に聞いたところ、セックスの意味もあるそうだ。
　フィリピン映画界のワースト監督と呼んでも差し支えないローランド・レデスマが、またもやロンブロン島のローク市でロケした作品で、四角関係を扱っている。ララとローズが姉妹で、本当はローズが好きだったのに、たまたまララとセックスしたのをエルニー・サラテ演じる姉妹の父にみつかったＪＣがララと結婚。それでローズと不倫なのだが、ローズが妊娠したためにララの知るところとなって家を追いだされる。酔ってケンカしたＪＣはブランド・レガスピ演じる親友から紹介された仕事をクビになり、すさんだ日々に。一方、ブランドはララにもローズにもやさしかったが、落ちこむララをなぐさめて愛が芽ばえる。やり直しを決めたＪＣとローズに、こちらも結ばれたララとブランドが祝福する、といった内容の話。
　しょうもなー、とあきれながらも、ローランドだからこんなもんでしょ、なんてヘンに納得するから、進歩がないのか。
　とにかくダメ男になったＪＣの描写のあと、ヤム・レデスマの歌う主題歌をバックにララとローズが仲よかったときのイメージを丸ごと一曲分流し、それぞれホット・パンツとミニなものの、たいしてセクシーでもない衣装でえんえんみせるな、とイライラすることこのうえない。酔いからさめたＪＣの朝の視線をオイオイと声がでるくらい長い風景のパンで表わすのも、テオ・アンゲロプロスじゃなし、ローランドはテンポという概念を無視しているか、とイヤになる。本来なら60分にも満たない題材を、ＮＧ集まで含めて80数分に伸ばしているのだから、しょせん水増し映画なわけだ。
　駄作の刻印となるのは当然でしょ。
　またタイアップなのか、マテオ・プラザというショッピング・センターが四人の職場で、ここへルディー・ドミンゲス、ベルト・カヤナンなどが演じる強盗が襲ってきたのをブランドとＪＣが退治するのは、アクション要素を加えようとのサーヴィス精神というよりも、ドンパチがなきゃ不安だから無理やり入れなきゃ的な狙いのほうを強くうかがう。このあたりもマイナス点の一つ。
　ただしローズを主役級に押しあげようとした企画だけに、さすがにローズのヌードはみごたえ十分になっている。シャワーでＪＣと抱き合うときにトップレスからパンティーを脱がされて全裸。腰のあたりのカーヴが張ったちょっと独特のお尻や、大きさ、乳首の位置など、美乳と判断しても間違いないオッパイをたっぷりと堪能させてくれる。同じテンポの悪さでも、こういうふうにもたつくのなら、かえって大歓迎。ボディーにバス・タオルを巻いてできたところをララに発見され、怒ってビンタしたララが逃げるローズのバス・タオルを引っぱったため、パラリととれて素っ裸。お尻を丸みえにブランドの前を走り去り、ベッドでうつ伏せになって泣くポーズでのお尻が、実にそそる形。回想での白い砂浜での戯れは、ララが下にブラをしていてオッパイがスケないのに、ローズのほうは白い衣装が濡れて貼りつき、オッパイがくっきりと浮かんでいる。水着姿だけララとローズともに柄のビキニがイマイチ刺激を欠いたのは残念だったものの、かなり高い満足度といえる。
　ローズあってこその映画だ。
　かつては脱ぎまくっていたララが、ブランドとのベッド・シーンでずっとボディーにシーツを巻いたままだし、ＪＣとのセックスでワンピースからパンティーをおろしているのに、中身がみえずに終わるのは意外。
　ＪＣがケンカから入院した病院の看護婦をパール・ジョイが演じていて、こちらは顔みせ程度。
　結局、映画は赤点の不可、ローズは容貌的に弱いといえるので、優とはいかないまでも、良といった評価だろうか。