ＭＡＳＡＲＡＰ，ＭＡＳＡＫＩＴ　ＡＮＧ　ＭＡＧＭＡＨＡＬ
（愛はおいしい でも痛い）
　
97年：グッド・ハーヴェスト・プロダクションズ
監督：ジョーイ・ロメロ
主演：イネス・ヴェネラション
　　　 アヤ・メデル
　　　 クリセルダ・ヴォルクス
　　　 チャリト・ソリス
　　　 エリザベト・オロペサ
　　　 ジョン・アパシーブレ
　　　 トフィー・カルマ
　　　 アドニス・ラクサマナ
　　　 レオ・ラバゴ
　こじんまりとまとまっていることは、決して悪くはないが、インパクトに欠ける印象があるかもしれない。そういう意味で、無難に仕上がった平均点的な作品よりも、意欲のある失敗作のほうが好きである。
　女性三人の生きかたを平行してみせるという、いかにもといった感じのドラマが展開するこの作品は、よくできているのだが、だから何なのという枠をでていない。
　舞台は地方の島にある高級ビーチ・リゾートで、イネス・ヴェネラション演じるのはここのオーナーの娘。夫が自分に興味を示さないとの悩みをかかえている。クリセルダ・ヴォルクス演じるのは、リゾートでコンヴェンションが開かれていて、そのスタッフとして活躍するキャリア・ウーマン。仕事に対する野望があるものの、人間関係の問題をかかえこんでいる。アヤ・メデル演じるのはリゾートに勤めるウェイトレスで、外国へ行く夢があるものの、家族を支えないといけない。三人にリッチ、ミドル、プアーというそれぞれのクラスを代表させているわけだが、ちょっと設定に計算がチラつきすぎないか。ホセ・ハヴィエール・レイエスの脚本だが、それほど感心しない。
　彼女たちは三人三様に幸福とはいえないのだが、自分のシチュエーションに対峙し、挫折しそうになりながらも、脱却して成長する物語であり、あまりにもストレートな内容で意外性が少ない点も不満である。
　具体的なドラマとしては、やり手のビジネス・マンに適当に遊ばれてしまうクリセルダのエピソードが、いささか感情的でわめきすぎるものの、もっともよくできている。家庭描写のうまさという視点ではアヤの部分が一歩抜きんでていて、エリザベト・オロペサ演じるだらしない母の扱いかたなど、なかなか興味深い。ジョーイ・ロメロ監督から実力をうかがうとすれば、このあたりである。でも夫への怒りでついにピストルの威嚇射撃までするイネスの話など、心理描写をつっこみきれていないので、絵空事になっていないかと感じてしまう。
　まあ、ふっきれたように三人がそろって笑顔をみせるラスト・シーンはそこそこ納得できるので、悪くはないのだが…
　さすがに個人的に不満だったのは、イネス、アヤ、クリセルダというセクシー・スターの共演であるのに、色っぽい表現がまったくない点。女性映画だから、そういう狙いがないのだろうが、イネスは入浴シーンが登場するものの、しっかりバスタオルでボディーを巻いてしまうし、クリセルダはベッド・シーンで胸を手で隠している。アヤは水浴びをのぞき見されるシチュエーションがあるにもかかわらず、いっさい露出のショットなし。アララ、こりゃ、いくらなんでも期待はずれで、不満タラタラタラ…　ビーチ・リゾートなのに、水着姿も意外と少ない。
　うむ、納得できない。
　それでもビーチ・パーティーでイネスが光沢のボディコン・ミニで登場するのはハッとするほど魅力的だし、アヤがウェイトレスの衣装としていつもビキニのブラとパレオというのも、ムズムズとそそるものがある。とくにアヤは美人だから、赤いハイビスカスを髪にさした姿など、うっとり夢見ごこちにさせてくれる。
　まっ、いいか。