ＭＡＳＡＲＡＰ　ＨＡＢＡＮＧ　ＭＡＩＮＩＴ
（熱いうちがおいしい）
　
99/00年：スターライト・フィルムズ
監督：ウィリアム・パスクアル
主演：クラウジャ・コロネル
　　　 フリオ・ディアス
　　　 バルバラ・ミラノ
　　　 カトリナ・パウラ
　　　 ハロルド・ピネダ
　　　 ヘスロ・ラミレス
　　　 イナ・アレグレ
　　　 アイリーン・ヴァルデス
　　　 サミー・ラグマイ
　　　 ジョナサン・パギオ
　　　 マダム・アウリン
　激しい口論のあと、イナ・アレグレ扮する妻がピストルを持ちだすと、フリオ・ディアス扮する夫に発砲。ヘヴィーなドラマの始まりのようである。でもシーンが変わるとタイトル・バックでいきなり軽い音楽となり、オッパイをもむような手つきで小麦粉をこねるヘスロ・ラミレスのユーモラスな顔が現れる。実はこれ、コメディー・タッチのドラマ。
　クラウジャ・コロネル、バルバラ・ミラノ、アイリーン・ヴァルデスの三姉妹が主人公で、脚を撃たれて車椅子生活している義理の父と一緒に住んでいる。母は亡くなり、その唯一の遺産である家とパン屋をついだものの、借金でそれも失いそうな状態にある。あまり笑えるシチュエーションにはないながら、クラウジャの長女は明るく陽気で、パン職人のヘスロとセックスを楽しんだりに、ラテン気質のフィリピーナをうかがわせる。末の妹のアイリーンと仲よしで、彼女にも同級生のボーイ・フレンドがいる。ただ次女のバルバラは口がきけず、あとの二人の姉妹と距離を置いているだけなく、義父のフリオとアブナイ関係になりつつある。自らシャワーを浴びることができないために車椅子の上で裸になったフリオをバルバラがタオルでふいてあげるシーンが、二人の一触即発の気持ちを暗示する。彼女には母がフリオに発砲したところを目撃した少女時代の悪夢に悩まされるシーンが何度かあり、それがトラウマとなって言葉を失っているだろうことが想像される。
　物語はハロルド・ピネダ扮する義父の息子がやってきて同居から動きだす。ハロルドは姉妹に好印象を与え、ついにはクラウジャとセックス。でもハロルドがアイリーンの着がえをのぞき見しているところをバルバラにみつかるあたりから、くもゆきがあやしくなる。実はハロルドはトンでもない奴だったのだが、彼のおかげでとにかく家の借金は帳消しに。バルバラはフリオとセックスしてしまい、それをクラウジャにみつかり大ゲンカになるも、このことがかえって三姉妹の絆を復活させる。そしてハロルドが父にピストルを買ってきて、それを非難したクラジャともめ、誤って発砲された衝撃音がきっかけでてバルバラが言葉を取り戻す。
　オイオイそれでいいのかといいたくなるような安易さも多いが、強引にハッピー・エンド。どこか笑えない要素を笑い飛ばそうとしている部分もあって、フィリピン人の楽天さがにじむということか…
　クラウジャが借金を申しこむ相手を追いだすシーンや、ハロルドがマダム・アウリンとユーモラスな社交ダンスをしながら身につけている宝石を盗むシーンなど、コメディーぶりが強調されているが、それほどおかしくなくて残念。
　女優はクラウジャとバルバラの美しさが際立っていて、新人のアイリーンは容姿的にかなりイマイチ。川で水遊びするシーンで濡れたブラウスごしに乳頭がみえるも、別に興奮を呼ばない。それより、クラウジャとバルバラの裸身をみせてくれよといいたくなる。クラウジャは普通に歩いているだけで、シャツの下にくるまれたみごとなバストが目に飛びこんできて、いらぬ妄想をかきたたせる。セクシー・スターのフェロモンがムンムンに伝わってくるようだ。ヘスロから強引にセックスをせがまれるシーンで、ブラをはぎとられて乳首がチラリ一瞬みえるものの、それ以上の露出がないのが惜しい。役柄の影響もあるが、バルバラの憂いをおびた瞳を持つ美貌が捨てがたい。車椅子のフリオとセックスのシーンでキュートな乳房と形のよいお尻を披露してくれて、あまりにおいしそうなのにただ指をくわえてながめるのみ。
　ハロルドのガール・フレンド役としてカトリナ・パウラが出演しているが、なんの見せ場もなく、もったいないことをしている。