ＭＡＲＫＡＤＯ
（マークされたもの）
　
99年：リーガル・エンターテインメント
監督：エフレン・Ｃ・ピニョン
主演：ゾーレン・レガスピ
　　　 エドゥ・マンザノ
　　　 イナ・レームンド
　　　 ニーニョ・ムーラック
　　　 リチャード・ボニン
　　　 チャーリー・ダヴァオ
　　　 ルエル・ヴェルナル
　　　 ビン・ダヴァオ
　　　 オレステス・オヘダ
　　　 ペク・“トゥガク”・ピニョン
　ひどい映画。
　といきなりいうのも何だが、ホントにどうしょうもない。
　イナ・レームンド演じる女性が裁判でシンジケートの犯罪を証言し、チャーリー・ダヴァオ演じる刑務所に送られる被告が「必ず殺しに戻ってきてやる」と脅す。証人保護のシステムでイナが姓名を変え、スーパー・マーケットのオーナーにおさまる。一方でゾーレン・レガスピ演じる刑事が、エドゥ・マンザノ演じる宝石泥棒を逮捕する。密売ルートの解明のため、絶えず連絡を条件にエドゥを釈放。リチャード・ボニン演じるチャーリーの弟の組織に盗品を売りさばく。たまたまイナの店にエドゥが目をつけたため、リチャードがイナの存在に気がつく。イナの店をリチャード一味が襲ってきて、イナがエドゥに救われ、ゾーレンのもとへ逃げると、警察内部に裏切り者がいたので、今度はゾーレン宅へ夜討ちをかける。エドゥが亡くなり、イナがゾーレンと逃げるストーリー。ルエル・ヴェルナル演じるリチャードの父の愛人で、リチャードにも囲われていた事実をイナが打ちあけ、自分が持ちだした麻薬と現金の隠し場所へゾーレンを案内する。被告となったイナに今度はゾーレンが裁判で証言台に立つ。
　どこがひどいといって、まずチャーリーが復讐にきていない。ニーニョ・ムーラック演じるコメディー・キャラのゾーレンの相棒がうまく内容にからまないし、ギャグもさっぱりおかしくない。エドゥがゾーレンにつかまるとき、女装しているバカバカしさが生きない。イナが店から走りでたら、どうしてエドゥが通りかかるのかに理由がない。ゾーレンとイナが愛へ発展にしっかりした根拠がない。ルエルとリチャードにつかまったゾーレンがスキをみて逆襲に転じるきっかけで、相手がドジすぎてあきれるしかない、といったないない尽くしのうえ、メイン・ストーリーへ入る前にゾーレンの活躍を示す三つほどのエピソードがダラダラ長く、前半にして退屈を誘いまくる。スラムで娼婦とセックス中に踏みこまれ、あわてて真っ裸でドブ池に飛びこむマヌケな容疑者など、もっと笑いをとれたはず。
　スラムに住む家族のためにエドゥが犯罪をおこなう説明での貧民住宅の環境が興味深いのと、中国系の金持ちの屋敷へ電話修理を装って侵入したエドゥが白昼に金庫を開けるのに、ほんのちょっとスリルがあったのが評価点くらい。
　また、すべてにおいてイナのあつかいのまずさが最大の落胆要素になる。黒いスリップのようなボディコン・ミニで嵐の中をずぶぬれになってゾーレンとうろつき、廃墟の小屋へたどりつく。焚き火をしてゾーレンが上着を脱ぎ、乾かしているにもかかわらず、イナは身体に貼りついた衣装をずっと着たまま。両手で上半身をさすって、いよいよ脱ぐぞ、脱ぐぞ、脱ぐぞ、と期待が高まったのに、いつまでたっても肌をさらさないじゃないか。リチャードにら致され、ルエルのところへ差しだされるや、ルエルがビリビリッと服を破るかなとかすかな望みを抱いたが、それもなく、じゃあイナを配役した意味はいったいどこにあるわけと叫びたくなる。
　語り口もアクションもお色気も失格のウルトラ駄作。
　エフレン・Ｃ・ピニョンのドタマをかち割って、これほどひどい映画をつくれる脳みそをのぞいてみたい。