Ｐ．Ｐ．　ＶＳ　ＡＤＶＩＮＣＵＬＡ
ＣＲＩＭ．　ＣＡＳＥ　ＮＯ．００１−０４５２６
ＭＡＲＩＴＡＬ　ＲＡＰＥ
　
01年：ＲＨＧＦプロダクションズ
監督：ニール・“ブボイ”・タン
主演：パトリシア・ハヴィエール
　　 　レーモンド・バガチング
　　 　トントン・グチェレス
　　 　スヌーキー・セルナ
　　 　エディー・グチェレス
　　 　ペルラ・バウティスタ
　　 　グラディス・レイエス
　　　 デイジー・レイエス
　　　 ヘスロ・ラミレス
　　 　ロビン・ダ・ロサ
　　 　サマンタ・ロペス
　　　 ステラ・Ｌ
　題名から察してドメスティック・ヴァイオレンスを扱う作品だなとわかるが、フィリピン人というのはどちらかというと拳をあげない印象があるので、凶暴性をもった夫がそれほど多いとは思えない。でもいることは間違いないし、妻への暴行が犯罪だとの認識がでてきたことは、よい傾向だと感じる。それは日本でも同じ。
　映画はまずパトリシア・ハヴィエール演じる女医が紹介されて、結婚までセックスしないという、姉妹もあきれるほどの保守的な恋愛観の持ち主であるとわかる。さすがカトリック国というか、実際にこうした女性はけっこういて、看護婦をしている自分のカノジョの一人など25歳にもなろうというのに処女で、いまだにさせてくれない。三年もかけて何とか裸で抱いたり、乳首を吸うところまではいったのだが、絶対に挿入がダメなのはもちろんのこと、チンポをさわってもくれない。目の前でチンポをみせると、すぐに視線をそらせてしまう。そのくせ他にもカノジョがいて、しっかりセックスしていることを知っているにもかかわらず別れる意思がなく、結婚したらどこに住むかなんて話を切りだしたりもする。こちらにすればとりあえず結婚の予定はないものの、いずれ老後は一緒にすごすのもいいし、ボケたら介護してくれるかなあなんて考えているからキープ状態で、ひどいヤツだと指摘されそうながら、一応うまく交際が続いている。それも無理やりセックスしないからだといえて、セックスとはお互いが快楽を満喫し、いかに燃えるかの行為であり、または愛情の表現の一つであるとの認識がある自分は、一方的な征服欲にもとづくレイプや、即物的な買春（これを悪いとは思わないが）に満足を得られるタイプとはセックス観が違うんだなあと自己分析する。正直なところ、どうしてというくらいにレイプ願望がなく、興味すら起きないし、買春で興奮できる人がうらやましいほどで、そのために口説いて相手を本気にさせ、複数のカノジョをつくるとは、買春よりずっと悪質だといわれれば返す言葉がない。
　とまあ、そんなことはさておき、パトリシア演じる主人公は結婚にも理想があって、それを満たさなかったトントン・グチェレス演じる前の婚約者をフった設定になっている。トントンが何度かあきらめきれずにつきまとい、結婚後も現れるあたりはもっとストーリーにからむのかと予想したが、わりと表面的な扱いにすぎなかった。
　前半はレーモンド・バガチング演じる重症患者を治療していくうちに、レーモンドの紳士的な人柄に引かれはじめ、ついに結婚となるまでが描かれていく。レストランで生の弦楽演奏をバックに愛をささやかれれば、そりゃあ落ちるよと共感。結婚式のシーンは、いかにも幸福そうな儀式を演出していて、ニール・“ブボイ”・タン監督の狙いがドンピシャという感じ。
　初夜でのセックスから、早くも違うぞという気持ちがパトリシアに芽ばえてくるのだが、レーモンドが白馬の王子さまでないことはスヌーキー・セルナ演じる姉が市長で、軽薄な人物として登場する点からうかがえ、一応の伏線は張ってあるようだ。でも映画にそんな意図はないだろうが、個人的にはレーモンドが射撃場に勤めていることがとくにしょうもないとの判断にいたるポイントで、銃という凶器に対する認識の差かもしれない。
　中盤はパトリシアが家出したり、女友だちに夫の悩みを打ち明けたりのシーンが長く、ちょっとダラダラした印象。怪物のマスクをかぶってセックスするシーンがきて、自分にそういう趣味がないだけに、あきれるばかり。たまたま訪ねてきたデイジー・レイエス演じるパトリシアの姉がマスクをみつけてかぶったところを、タイミングよく帰ってきたレーモンドがレイプにおよび、異常性欲者丸だしになり、激怒したパトリシアに花を買ってくるなど、巧みに謝る女性のあしらいのうまさが納得の展開である。
　パトリシアの妊娠で、お腹がふっくらの状態だというのにセックスを強要し、拒んだパトリシアに逆上したレーモンドが暴力を振るい、流産どころか、顔面まで傷だらけにするところからがクライマックス。裁判に進み、それまでのチンタラした退屈感とは打って変わって面白くなる。法廷で順番に証言していくだけという単純な構成ながらも、グラディス・レイエスやステラ・Ｌが演じるパトリシアの友人だと思えていた看護婦が意外な内容のことを発言したり、まずまずのサスペンス。
　それで判決は…　への興味の引きつけなど、さすがだと評価したい。
　裁判シーンというのは盛りあがるのが定番なものの、この終盤によってグッと映画の価値があがったように感じる。尻軽な看護婦だったステラが医者とくっつき、うまくいっているという皮肉もプラスされ、とりあえず合格点の作品といえる。
　さて興味の一番の対象であるパトリシアのセクシーさはどうかだが、さすが乗ってるボールド・スターらしく、こちらはみごとに満足をくれる。初夜のシーンで恥ずかしそうに乳房へ手をおいたポーズがそそり、すぐにオッパイ丸みえとなって、いやあ、美乳だなあ。ベッドで背中をなめられたあと、再びオッパイが全開で、乳首のアップまでバッチリ。カメラは嫌がる表情をとらえながらも、乳房を露出したままなのがうれしい。
　あとのセックス・シーンも十分にカッカさせる内容だが、先に述べたようにマスクをかぶってのシチュエーションは、下着姿からパンティーをはぎとられ、バックで挿入となるも、イマイチ興奮が炸裂しない。やっぱり顔がみえていないと、自分としてはダメなようだ。
　もう一人、ステラは正直なところ容姿的にパトリシアより好みで、上半身裸になって医者を誘惑するシーンにパトリシア以上のビンビン感を与えてくれる。オッパイはベロンと丸だしだし、白いピタパンからパンティーをスケさせてしゃがむ姿に視線釘づけ。さらに院内で隠れて愛撫し合うシーンでは、乳首のところだけが紐で隠れた乳房の形があまりに色っぽく、思わずイッちゃいそう。
　他に脱ぐのが常識のようなセクシー・スターのサマンタ・ロペスがパトリシアの姉を演じていて、まったくヌードにならないままなのは、いささか期待はずれ。二番目の姉役のデイジー・レイエスは大ファンなので、犯されそうになるシーンで、ヌードといかないまでも、下着姿ぐらいは披露してほしかった。